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【エッセィ】蛙鳴雀躁No53<タカラヅカ>
2025年2月17日(月曜日)
キキちゃん(芹香斗亜様)Dinner Show
「The Royal Banquet」
阪急梅田駅の近辺に似た名前のホテルが林立している。独りで出かけることが不得手な私は、どこへ行くのもヅカトモか娘たちのどちらかと一緒。地図を持っていても、よくわからない。梅田芸術劇場に近いとわかっていても、どの方角かがわからない。
まったく見当ちがいのビルに入り、うろつき、ようやく行くべき場所にたどりついたときは、食事ははじまっていた。
急いで席につき、食べはじめる。
早食いの私は遅くはじめても、隣の人にすぐにおいつく。
「皿は大きいのに、ゆで卵とおんなじくらいのステーキやな」とつぶやいたのをきっかけに、隣席の女性と話すことに。神戸から来たと知り、帰りの電車はこれでひと安心。人の多い梅田に来るのがいやで朝から憂欝だったが、気分がよくなる。
ノンアルコールのカクテルを二杯飲み、小さなパンを五個、胃袋へ。
しゃべりたおす。
そのせいで、メニュー表も曲名のリスト表もどこかにいってしまう。
そのうえ、オペラグラスも観劇用の眼鏡も忘れている。
キキちゃんが登場しても、麗しいお姿が鮮明に見えない。
両脇にならぶ、歌ウマでなおかつ長身の男役二人が名乗るまで、だれかもわからない。
なんと!
マイティ(水美舞斗様)とまゆぽん(輝月ゆうま様)だったとは!
隣の女性に確かめると、「封筒に入ってたチラシにも、チケットにも書いてありましたよ」。
チラシを見ても、キキちゃんの顔しか見ていない。詳細を読まない私は、まさか、マイティとまゆぽんに会えるとは夢にも思っていなかった。
三人ともイケメン。
美形男役三人の共演なんて、神戸牛三枚がひと皿に乗っているよう。
選びぬかれたどの曲も、キキちゃんの低音で響きのいい声質にぴったりだった。耳は知っているのに曲名は記憶していない。「マイ・ウェイ」は別。キキちゃんの心情が溢れていた。
キキちゃんとマイティが組んで、タンゴの調べに合わせて踊ったときは、陶然とした。よく見えていないからこそ、蜃気楼のようにはかなげで美しい。男役は、現実の存在ではない。けっして手がとどかない。
三人そろい踏みで、「エキサイター」と歌ったとき、すでに盛り上がっている客席がさらにヒートアップ。
女性が大半の観客席だけれど、地鳴りような歓声が会場に満ちた。
客席下りもあり、マイティとまゆぽんの二人とハイタッチ。
キキちゃんには、お茶会のときに、お手ずからおかきを頂戴した。
食べるのがもったいないと思いつつ、その夜のうちに食べる。
間近で見たキキちゃんはすらりとした長身で手足が長い。まぶしい笑顔で、関西弁を話す神戸っ子。ほんまに男前やわ。
夢のようなひとときをありがとう。
あなたの人生が幸せに満ちたものであるようにと祈りつつ、会場をあとにした。
もちろん、あらたにヅカトモとなった人と一緒に。私より若いので、早足で歩くのが難点か……。
夜中に、足がつる。あとどのくらい、夢が見られるのだろう。
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