【エッセイ】蛙鳴雀躁 No.10
『アルカンシェル』パリに架かる虹
2月27日 15時30分開演
きょうは2階席からの観劇。前回(2月13日)、1階席で観たときと印象が変わり、うれしい驚きでした。ストーリーも台詞も舞台装置もまったく同じなのに親娘3人、大満足。
1階と2階で、こんなにも見え方が異なるのかと、ふしぎな気持ちになりました。フィナーレの虹色のスモークが見えたからか?
いやいや、そのくらいのことでは、この違いは説明できない。
3人で協議した結果、バックで踊ったり、歌ったりする生徒さんたちの団結力が増していたからだという結論に達した次第。
2回公演の午後にもかかわらず、みな、おのれの持てる力の限りを尽くしているように、私の目に映りました。
主題歌の「誇りもち、誓い合おう、たゆたえども沈まず……」の歌詞のままに――。
夢のあとには、現実が待っています。
551で豚まんとギョウザと焼売を買って帰ると、いつも健気に留守役をつとめる夫とひとり息子のチャワワは、お腹を空かして待ち切れず、インスタントラーメンとジャーキーをそれぞれ食べている最中。
まずチャワワをテーブルにのせて、蜂蜜で溶いた心臓のクスリを服ませます。それから遅い夕食がはじまり、チャワワは私以外の家族から、豚まんや焼売をもらって食べることに。
いままで数えきれないペットと暮らしてきましたが、テーブルでいっしょに食べるのは彼がはじめてです。
私たち家族はたぶん、犬の毛もいっしょに食べていると思います。
食後に、甘いものを女3人で食べていると、かいがいしくお茶を煎れる夫が、「きょう、テレビでタカラヅカのパワハラがどうとかこうとか言うてたデ」
一気にテンションが下がる。
「16あるうちの半分がそれらしい」
夫は雄弁ではない。実際の放送で何が話されていたのか、明確に再現することは不可能です。
わが子を亡くされたご両親様のお気持ちを思うと、言葉がありません。諦めきれない悔しいお気持ちは重々、承知しています。
私にも双子の娘がいます。
そのうちのひとりに何事かあれば、けっして許す気持ちになれないし、報復したいと心底、思います。
しかし――きょうの舞台を観ていただきたかった。
弁護士による記者会見を、出演中の彼女たちが知っていたのか、知らなかったのか、私にはわかりません。合唱に気合いが入っていました。
「誇りもち、誓い合おう、たゆたえども沈まず……」
阪急電車の中吊り広告に、花組公演の宣伝チラシはありません。
みな、見えない何かと戦っていると思います。
ファンの間では、宙組は、なくなるのではないかと言う人さえいます。
花組公演のプログラムの巻末に「2024年・宝塚歌劇公演スケジュール」が載っていましたが、そのよこに小文字で(予定)と書き添えてあります。
宙組 5/17~6/23
「宝塚110年の恋のうた」「ファイナル・ファンタジー16」
主演 芹香斗亜 春乃さくら
号泣しました。
どうか、宙組公演の幕があがりますようにと祈るばかりです。
「誇りもち、誓い合おう、たゆたえども沈まず……」