見出し画像

回復期で心房細動がある人にリハビリしていいの?

はじめに

お疲れ様です。四年目理学療法士の西です。
このノートでは専門学校時代の同級生3人と日々感じたことや勉強したことを発信していくアカウントです。

みなさんの担当患者様の既往に心房細動(以下AF)があることは経験したことがあると思います。
心房細動ってそもそもリハビリしていいのか?
回復期病棟で働いていて、どのくらいの負荷でやったらいいか?と疑問に感じることが私はありましたので調べわかったことを共有できたらなと思います。

エビデンス

現時点でAF患者に対する運動療法を推奨したガイドラインはまだないが、AF患者に対する運動療法の有用性についてエビデンスが蓄積してきていると記載されています。

「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」より引用


推奨クラスⅡa、エビデンスレベルB
* 運動耐容能が低下した、または心不全を合併する心房細動患者に対し、運動耐容能とQOLの改善を目的に運動療法を考慮する

* 肥満を合併した心房細動患者に対し、心房細動の負担と症状の軽減を目的に体重減量および他の危険因子の管理を考慮する

※推奨クラスⅡa:エビデンス・見解から有効・有用である可能性が高い
※エビデンスレベルB:単一のランダム化介入臨床試験またはランダム化介入でない大規模な臨床試験で実証されたもの
つまり、現時点では心房細動患者さんに対して、

上記のような目的でリハビリを行うことは有効である可能性が高いということです。

実際、心房細動を持つ多くの患者さんにリハビリが実施されています。回復期の病院であれば算定疾患に限らず以前から心房細動を有している症例も多いように感じます。ここで大切なのは、運動療法の目的を明確にすることが大切だと感じます。

実際の臨床場面で意識すること

実際の介入だけでなく事前の情報収集も大切な評価の一つだと思います。
確認する点としては

* 基礎心疾患の有無
* 心不全増悪の有無
(心不全がコントロールされているか)
* 投薬状況
* 脈拍の状況(安静時、活動時など)
* 脳梗塞発症リスク

心房細動に対してどのような投薬がされているのかを確認し、「リズムコントロール」、「レートコンロトール」目的の治療がされているのか、脳梗塞リスクに対して抗凝固療法がなされているのかなどが確認のポイントになると思います。

また随時心電図をモニタリングできる場合には、心電図リコールを確認し、夜間・安静時の心拍数や、活動時の心拍数を確認することで、リハビリ中の心拍応答の予測をすることができ医師、看護師、担当セラピストとの情報共有に活用できると思います。ADLレベルの動作で脈拍が過度に上昇している場合などは、リハビリ中の心拍数上昇に注意が必要ということになります。

心拍数コントロール不良の頻脈性または徐脈性不整脈」は運動療法の相対禁忌です。


リハビリ介入で注意すること

* 活動時の心拍反応(心拍数がコンロトールされているかを確認)
* 運動中の自覚症状、他覚所見
運動中の心電図が確認できる場合は、リハビリの運動前・運動中・運動後の脈拍変化を確認しましょう。

運動療法の進め方としては、運動強度を徐々に上げていくことが重要です。まずは、起き上がりなどの基本動作や、座位での簡単な運動での心拍反応を確認します。
これらの動作で心拍数がコントロール出来ていることが確認出来たら、立位→歩行と進めていきます。

終わりに

今回話したことは基礎中の基礎だと思いますが私自身も調べていて意識できていない点など多々ありました。訓練での負荷量は若手のセラピストであれば一度は悩むことがあると思います。この記事を読んで気付くきっかけになれば嬉しく思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?