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他者は向こうからやってくる

少し前に、大学院で知り合った人がぽつりとこう言っていた。

「他者は向こうからやってくるものだよね」

わたしたち人文系の研究は、目の前の作品を読むっていうシンプルな作業をしているんだけど、面白いことに読めないときがある。読んでるのに。
そういう時ってだいたい、自分ですべてどうにかしようとしている、自己完結しようとしている時な気がする。作品だって、書いているのは「作者」という「他者」で、物理的には本を通して目の前にいる他者と向き合うことになる。だから、読む自分自身が、他者を受け入れる余裕や準備がないと会えない。読みとれない。

人との出会いも、叶えたいと願う夢でさえも同じだと思う。どんなに望んだとしても半分は相手の分。自分の力ではどうにもならない部分が存在するわけで、となるとやっぱりこれも向こうからくるもの。
だから、向こうからきてくれるのを待つ、でも出会えた時に手を差し出せるよう準備をしておく。だから、今そんなに意味がないように見えていることでも、自分のピンときた直感を信じてやり続けることが未来に繋がるんじゃないかなあ、なんて思いつつ、トライアンドエラーの日々を過ごしているわけです。


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