#毎週ショートショートnote 夜からの手紙
夜からの手紙を送ります
愛するアナスタシアへ
僕は塹壕の中で輝く星を仰ぎながらこの手紙を書いているよ
別れる前に僕があげたクマのぬいぐるみ大切にしてる?
このクマは僕だよ 寂しくなったら話しかけてごらん
毎晩 寂しくて泣いてないかい?
今すぐにでも僕は風になって向日葵畑を越えて君の眠る部屋の窓を叩きたいよ
僕は生きていると
夜の静寂だけが自分でいられる時間
そして君のことを思う大切な時間なんだ
もう殺し合いはたくさんだ
銃の代わりに一輪の花を差し出したいよ
君にも愛する人がいるだろってね
向日葵畑に もうすぐ冬がやって来る
暗くて冷たくてやるせない季節
暖炉でアナスタシアとミルクティーを飲みながらおしやべりがしたいな
子供が生まれたら名前はなににする?
庭にどんな花を植えようか
たわいもない話がしたいな
ただそれだけでいいんだ
僕は毎晩 君宛に手紙を書いている
届く当てのない手紙だけれど
きっと風が運んでくれるはずさ
おやすみアナスタシア
笑顔で逢える日が必ずくることを信じて
愛するニコラスより
追伸
争いのない世界が訪れますように