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#シロクマ文芸部 風薫る恋

風薫るキラキラなこの季節 恋をしてみませんか by キァンディーズ

都内に通勤する電車の中で りかこは
ぼんやり見慣れた景色を追っていた
もうすぐ30歳に手が届く なんとかせねば しかしなんとかせねばとは なんぞや と一向に答えの出ない自問自答を繰り返すだけだった
恋が向こうから歩いてきて 「ヤァ 恋です初めまして」なんて 声かけてくれたら「恋ですか……この私に? じやぁその恋って奴に乗っかってみますぅ~」なんて調子の好いこと 言える度胸もない
ならばシチュエーションから
韓国ドラマ風に
りかこ 高級スーパーで紙袋いっぱいのお買い物 青葉揺れる街路樹の通りをコンユ似のイケメンが歩いてくる
りかこ おもわずよろけて派手に転ぶ
コンユ駆け寄り 抱きかかえ
「怪我はありませんか お嬢さん?」
りかこ 「足を捻りました 歩けません」
コンユ「家はどこですか?宜しければお送りましょうか」
りかこ コンユの肩に手を乗せ足を引きずりながら 部屋の前で
「ありがとうございました 足が良くなったらお礼もかねてお会いしたいわ」とニッコリ さり気なく コンユの携帯番号を聞き出す
風薫る恋のはじまり

某テレビ局恋愛ドラマ風
茅ヶ崎の海岸で りかこ砂浜に座り
サーフィンする男子を眩しそうにみている やがて太陽が夕日に変わり辺りを赤く染め始めたころ りかこ 一人花火を始める 風が邪魔して中々花火が付かない そこへ 海からあがってきた 山崎賢人がさり気なく手をかざし 「ほら 付けてごらん 花火」とニッコリ
賢人「どうしたの ひとりぼっちで花火なんて」
りかこ「夏はこの砂浜 恋人たちでいっぱいでしょ 彼氏のいない私には
青葉の頃の砂浜がお似合いかなと思って ひとり電車に乗ってきてしまったの」
賢人「じゃぁ 今日は僕が彼氏になって二人で花火 しようかな」
りかこの横に座り ふたたび ニッコリ
りかこ 嬉しくて涙目 りかこの髪が黒く日焼けした賢人の躰にかかり
賢人 優しく髪にさわる
顔を近づけ 花火を見つめる二人
風薫る浜辺の恋

そんな妄想している内に 駅に着いた
りかこ足早に階段を駆け上がり ビルへと向かう エレベーターのボタンに手を伸ばしかけた時 慌てて突っ込んできた 男子 「あっ 済みません!」
二人して同時に頭を下げたものだから 頭と頭を軽く突く 
りかこ「あっ 御免なさい どちらまで?」
男子「9Fです」
「私は 8F」
エレベーターの中の二人 しばし無言
りかこ「風薫る良い季節ですね 仕事拭けちゃいたいですね」
男子「僕もですよー」
お互いの顔を見合わせて ニッコリ
りかこは8Fのドア前で手を振り別れた

ウゥ~ン これって恋の予感
恋ってこんな近くに突然にやって来るもの? 
りかこはおもわずガッツポーズをした
「ヨーシ! ヨーシ!」
恋は 体質 躰から発する何かが
恋に発展するものよ 
風薫る 恋は風に乗ってやって来る
りかこさん 健闘祈ります!






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