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No.7 誘拐未遂……?【微閲覧注意】

どーもヴィヴィです。微閲覧注意って書いてあるけどそこまでしんどい話じゃない……と思う。念の為につけてるだけ。

俺らが持ってる記憶の中で一番古く、印象に残っていることから、恐らく最初に解離した原因と思われている話がある。

これは僅か二歳の話。二歳のことを覚えてるのってだいぶ珍しいらしいな。覚えてるってことは怖かったんじゃないの?とか、しんどかったんじゃないの?とか言われてるけど、怖かったって気持ちはあんまり感じてない。
人格によって覚えてる範囲はまちまちで、莉々なんか楽しかった記憶として残ってる。

俺はどうかって言うと、前半は楽しい。後半は今思うとちょっと怖いな、くらい。当時の気持ちを再現するなら、圧倒的に不思議だなって気持ち。

この記憶ってある日突然思い出したんだよな、中学くらいに。それまでは覚えてなかった。思い出した時はなんとも思ってなかったけど、多分気付かぬうちに統合してく中で受け継がれた記憶だと思う。

前置きが長くなってすまんな。本題に入ろう。

二歳のいつ頃だろうか。暑くも寒くもなかったから秋とかかな。人懐っこくて、人見知りなんか全くなかった頃。そして、遊び盛りだった頃だった。
その日、母親は姉を迎えに幼稚園に行っていた。午後だな。家には当時二歳の莉々と父親の二人だけ。暇だった莉々は父親に遊んで欲しいとせがんだ。だけど父親はそれを拒んだ。

父親は子どもに興味がなく、一度も遊んでくれたことはなかった。二歳に遊んでほしいと言われたら遊ぶのが普通の親だろう。ましてや家事もせず、テレビを見ながら寝ているだけなんだからな。でも父親は言った。

「寝てんだからあっち行って」

酷い父親だよな。莉々は「もういい!」と怒って家を出て、家の前の道で遊んでた。家の前は砂利道になっていて、そこでお砂場セットを持って遊ぶのが好きだった。しばらく穴を掘って石を集めて遊んでたんだが、ひとり遊びにも飽きてきた。そこで思いついた。

母親のところに行ったら母親が遊んでくれる、ってな。

母親が幼稚園に行っていることはわかっていたが、幼稚園までの道はわからなかった。なんとなく思い出しながら歩き始める。

家のそばには車がずっと行き交うくらい大きな道路があった。そこを渡らずに幼稚園には行けるんだが、渡っちゃったんだな。家から道路に出るとすぐに信号があるが、青信号が渡れるなんてわからない。そこの記憶が曖昧だからどうやって渡ったのかはわからない。でも気づいたら渡っていて、声をかけられていた。男の人だった。

「一人?お母さんかお父さんは?」

拙い言葉で一生懸命、母親に会いに行きたいことを伝えた。すると男の人は言った。

「じゃあお兄さんが連れてってあげるよ」

そう言って手を引かれ、連れてかれたのが信号を渡った目の前にあるコンビニだった。

「好きなお菓子ある?お兄さんが買ってあげる」

好きなお菓子はよくわからなかった。パッケージを見ても、知ってるお菓子は見当たらない。と思っていたら一つ見つけた。

「これ」

指さしたのはコアラのマーチ。それを買ってもらい、近くにあった車に乗せてもらった。トラックかな。助手席に乗ったんだが、乗るのが大変で、抱っこして乗せてもらった。

ドアを閉めてもらいしばらく乗ってたけどその車は動かなかった。後ろの方ガサゴソやっているのは聞こえたけど、助手席に乗ったのが初めてで、そこから見える景色に釘付けだった。

全てが新鮮でずっとワクワクしてた。莉々が知ってた楽しい記憶ってのはここまで。これからの記憶も最近思い出したみたいだけど。

こっからちょっとゾッとするから注意な。

突然助手席のドアが開けられた。そこにはさっきの男の人ともう一人、男の人が立っていた。

「後ろ広くしたから後ろ乗ってみよっか」

言われるがまま後ろに乗る。椅子を畳んだようで、広いスペースができていた。そこに立つと突然体を触られた。服を脱がされて、冷たい指が体を滑っていく。くすぐったくて、ケラケラ笑っていた。

乱暴はされなくて、ただすべすべと肌をひとしきり撫でるだけ。なんでこんなことしてるんだろうって不思議に思いなながらふと窓の外を見ると、自分を探しているような焦った様子の母親が自転車を漕いでいるのが道路の向こう側に見えた。思わず母親の名前を叫んでいた。

途端に男の人たちは服を着せ、車から降ろす。そして何事もなかったように、最初とは違う男の人と手を繋ぎ、歩道を歩き始めた。

そのすぐ後に血相変えた母親とママ友たちが莉々を見つけてくれた。

「どうしたんですか!この子」

母親の問いに動じることなく、道を歩いていたから保護したといった話をしたそうだ。(後日、母親から聞いた)

その後母親とママ友たちと家に帰り、父親と共に叱られたが、なんで怒られたかなんか当時の莉々にはわかんねぇよな。

この件で母親が不思議に思った点を莉々が小学生の時に教えてくれた。実は莉々が発見されたすぐそばに交番があったんだ。保護したなら交番に連れていけばいいのに、という話をしていた。その話をされた時はこのことを覚えていなかったから自分も不思議だなくらいだったが、今考えると、莉々が母親を見つけて叫ばなければこのまま連れ去られて誘拐されてたんじゃねぇかって思ったな。

誘拐未遂かな?って思ったちょっとした事件でした。

多分これが解離のきっかけだったんじゃねぇかな?他に思い当たることねぇもん。
ちなみに俺が生まれるのはもうちょい後、次で語ろっかなって思う。閲覧注意でw

じゃ、またなー。

【ヴィヴィ】

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