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愛知県公立中間一貫校の話題について その2
先日のnoteの続き。
今日はここまでで発表されている公立中高一貫校の中身を見ていきながら私が思うことや感じていることをまとめていく。
定期テストの方針は以下のような発表があった。
半田…廃止
明和、津島…検討中
刈谷…年4回の実施
「定期テストを実施しない」と唯一明言している半田について詳しく書いていく。そもそも今年度から半田高校が従来は年5回だった定期テストを3回に減らしている。
開校準備に携わる県教育委員会の後藤氏のコメントは以下。
「一夜漬けで勉強しテストの答案にアウトプット。そしてすぐに忘れてしまう。そんな『最大瞬間風速』のような学力を計ることでいいのかと改めて考え直した」
定期テストの代わりには各教科で単元が終わった後にチェックテストを行うことになるそうだ。再び後藤氏のコメント。
「短い区切りだと生徒ごとにどの知識や技能が定着しているのかを確かめやすい。同じテストでも実施の意義がある」
方式もペーパーテストに限らず、リポートの提出や口頭での発表などで行う可能性もあるとのこと。
「多様な視点で生徒たちが日々積み重ねたものを測りたい」
一つくらいはこのような学校が設置されると想像していたので驚きはない。しかしいつもこの定期テストを廃止して単元テスト方式に変えるときに出てくる文言の「一夜漬けを防ぐため」には首を傾げてしまう。「一夜漬けの回数が増えるor一夜漬けどころか一時間漬けの学習になる」と想像されるからである。
また仮に半田のみが廃止になった場合、その方式に是か非かで学校を選択することは実質できないのが厳しいところだ。半田を受験しようと考えているご家庭はほとんどが半田市、常滑市、知多市、東海市、大府市、東浦町、阿久比町、武豊町等に住んでいると推測される。ここから定期テストを求めて明和や刈谷に変更できるケースは1割くらいだろう。中学生が通学するには遠すぎる家庭がほとんどである。そのあたりがどのように影響するのかは注目している。知多半島という保守的な土地柄で半田の取り組みがどう評価され生徒を集めるのだろうか。
一点釘を刺しておきたい。それは半田の取り組みをすぐに公立中学校で模倣するのは止めてほしいということだ。多分1年後くらいにこの半田付属中の取り組みがある程度マスコミで好意的に流されるだろう。元々が学力が高い子が集まるので立派な生徒のコメントが並ぶことは想像に難くない。しかし少なくとも3年、できれば6年後に数字で評価していただきたい。高校から入学してきた同級生との学力比較、大学進学の実績、それらの結果が伴えば公立でも導入していけば良いし、振るわないのであれば定期テストは続けるべきである。まあ本音を言えば様々な学力層がいる公立中学はある程度「圧」のある学習指導やテスト方式にしなければ、驚くほどのスピードでの学力低下や機能不全に陥ることは間違いないので…
次に部活動については以下のような方針が発表されている。
刈谷、半田…部活動は設置しない
津島…まだ決定していないが「部活の実施は難しい」
明和…検討中
こちらは刈谷が最も明確なメッセージを発信している。以下は開校準備に携わる県教育委員会の木村氏のコメント。
「付属中学は探求学習重視型の学校。一番重きを置くことは、探求学習であってほしい」
公立中高一貫を検討しているご家庭を2軒知っているが、どちらのご家庭も部活については気にしていた。
「部活動はやってほしいんですけどね。でも下校時間が遅くなるから難しいですかね。でも私立中はやっていますよね」
両方のご家庭とも大体こんな話であった。
部活動が無いこと自体に驚きは少なかったが、刈谷が最も強くメッセージを発したことには少々の驚きがあった。それは刈谷高校が県下では最も部活動が強い公立高校だからである。サッカー部は全国大会に出場したことがあるし、野球部もあと1勝で甲子園という所まで進んだことがある。刈谷=部活の強い三河の進学校のイメージなのである。
でもだからこそ強いメッセージを出したのかもしれない。そうしないと高いレベルでサッカーや野球その他に取り組めると考える人が多く集まるからである。
これが受験するご家庭にどのように響いているかは掴みかねている。ネットでは部活動に対して否定的な意見が多いものの、近い距離で県内の中学高校を観察していると学力が高い層の部活熱はむしろ高まっているように見えるからである。
例えば今年の全国高校サッカーに愛知県代表で出場した名古屋高校。愛知の高校サッカーは選手の流出や分散が激しく過去10年で全国で1勝しかあげていなかった。そんな中で初出場ベスト8。東海や滝に続く偏差値66の私立の進学校である。ハーフタイムにスタンドの生徒が参考書を開いていたのが話題になった。
高校野球では公立トップの旭丘がプロも注目するエースを立ててファンを沸かせた。近年同じような事例は明和や千種でもあった。向陽は15年連続で初戦突破している。また私の塾から近い範囲では、小牧南が昨秋ベスト4で21世紀枠候補に推薦。西春や一宮南も毎年強いチームを作っている。ここまでのnoteで何度か触れてきたように、これらの高校は厳しい進学指導が敬遠されて近年倍率を下げたり定員割れを続けたりしている。しかし部活動の成績は上がり続けている。厳しい指導を求める層の意欲が部活動に向くと好結果を残しやすいのであろう。
公立中の1年の軟式野球部に所属する長男が8月に新チームで初めての大会があった。その時に敗れた相手が私立の名門滝中学校であった。以前からレベルが高く強いと聞いていたが、実際に観戦してその能力の高さには驚いた。また観戦に来ていた保護者の人数が別格でベンチからの指示や声出しも意外と厳しいものであったことを記しておく。
こんな感じで県内の高学力層が部活で活躍、謳歌しているのが直近の傾向である。ここに逆行する形になる点がどのように出るだろうか。
最後に参考として私の市内の公立中学生の部活動所属率を挙げておく。市内の中学は4年前から全員参加ではなく希望者のみの参加となった。
A中…92.2% B中…82.9% 市内合計…89.4%(965人/1080人)
加えて私の塾には部活動に参加していない市内の中学生が6人在籍しているが5人が外部や民間のクラブに所属している。つまり95%以上の中学生が何らかの課外活動を行っていると推測される。