「囀る鳥は羽ばたかない」 8巻 44話 感想と心理考察

またしても囀る熱が沸騰したので、ここで色々と私なりの解釈と感想を吐き出したいと思います。

カラーの扉絵、百目鬼が矢代の後ろから手首をおさえて、ネクタイを外す感じ、、

いいですね。

百目鬼が矢代を捕らえてる感じがたまりません。強気な百目鬼好きです。

43話のおさらい

桜一家に泊まることになった矢代達
お風呂に入ってる矢代のスマホに井波から着信があり、それを見た百目鬼

ショックと怒ってるかのようなトーンで矢代に詰め寄りますが

矢代『たかが四年でどうして変わると思ったんだ?』


と返されてしまいます。

百目鬼は変わっててほしかったんですよね。俺だけを求めてほしい、そういう期待があったのが、百目鬼の落ち込んだ表情から伝わってきます。

でも大丈夫!ちゃんと変わってるよ!
矢代は百目鬼と体を重ねて以来、勃たなくなってるんだから!

『変わってほしいと思ってるのはお前の期待だろ?お前とセックスしたぐらいで変わるか』と言わんばかりの冷たい言葉を返されてハッとした表情になる百目鬼

変わっていてほしいという期待があったことを自覚する百目鬼

百目鬼『そうですね そう簡単に変われるわけがない』

と、自分では頭を変えることはできないんだと..自分の無力さを責めているような落ち込んだ表情の百目鬼。

切ない。。

そうして

『お前は変わった。良かったじゃねえか』と言われる百目鬼

『あなたのために変わったんです』『あなたが逃げないように、あなたにこの気持ちが気付かれないように』と言いたげな百目鬼

もちろん何も言い返せない。言ったら逃げられちゃうからね。

でもそんな百目鬼の気持ちが微塵も伝わってない八代に気を立てる百目鬼

百目鬼 『命令ですか だとしたら聞きません もうあなたの部下じゃない 変わらないのなら俺ともできますか 矢代さん』

と、あなたの思い通りにはしませんから宣言をする百目鬼

強気!!
主導権を握ろうとする百目鬼どうなる、、!

いいぞ、いけいけ
攻めろーー攻め入れーー

とここまでが7巻43話

強気な百目鬼に対して

八代『ホント変わったな お前』

と詰め寄ります。
八代中では
自分→変わってない
百目鬼→変わった
なんですよね。

でも実際は八代は変わってるし(他の男じゃ満足できなくなった)、百目鬼は変わってません。(相変わらず八代のことが好き&慕ってる)

百目鬼は八代のことをずっと思っていて、八代が望む"俺のことを絶対好きにならない相手 "を演じてるんですよねぇ

でも八代には伝わってなくて、一見冷たくなってもう俺のことを好きでも何でもないように見える百目鬼にイラッとしてますね、これは

百目鬼に好きでいてほしい、変わらないでほしかったやちろ。可愛い。

そして、百目鬼に腰を引き寄せられビクッとするやちろ。うん、可愛い。

百目鬼に『やれと言ったのにどうして抵抗するんですか?』と図星をつかれてむっとするやちろ。可愛い。
攻めるね百目鬼。

見つめ合ってこのままキスするかーと思いきやお邪魔が入って中断。
読者もお預けをくらう。

こういうとこで無理やりやらずに、周りに見られないように八代を庇うというか優しくするとこ百目鬼らしいですよね。さらっとでイケメンな行動できるところかっこいい。

神谷に『あんな態度取られてよく平気だな』と言われる八代。

八代『恨んでるんだろ俺のこと 嫌がらせだ嫌がらせ』

と、百目鬼が嫌がらせしていると思ってる八代。そんなことないのに、、
でも、八代にそう見えてもおかしくない言葉を言ってますからね。

でも、嫌がらせも好きだからするんだよ、と八代に教えてあげたい。その好きが思い通りにいかないから、嫌いなんだよ。好きが伝わらないから、イライラして強気な攻める発言になっちゃうの。

『今も変わらず誰とでもするんですね』とか、本当はそういうことを言いたいんじゃないの。これは『俺だけを見てほしい』の意味だと私は思うの。百目鬼は八代に気付いてほしいんだよ。

て感じですねぇ。しみじみ。

そして、神谷から百目鬼がモテるけど誰にもなびかないのがバレる。いいぞ、神谷。

七原が『なんか冷や冷やすんだよな 綱川とこの人見てっと』と心情が描かれますが、それもそのはず、八代と綱川は百目鬼を取り合う構図になると思います。

いいですね。どんな風に八代が百目鬼を自分のもとに置こうとするのか今から楽しみです。一度捨てたしね。ここで百目鬼への愛が垣間見えると思います。綱川にも百目鬼にもなんて説明つけるのかなーと。うふふ


そして、先程引き寄せられた百目鬼の手を思い出してムラムラするやちろ。もう好きじゃん!

でもはっきりとは描かれていませんが、表情や陰部が分からないようになってるところから推測するにこれは八代勃ってないのでは?と思います。

百目鬼の変わってしまった目を思い出して、悲しげな表情を浮かべる八代。そして切なく『―よねん…』とつぶやき、百目鬼と離れていた時間の長さと重みを後悔するのでした。

八代は百目鬼に変わらないでいてほしかったのですね。そのまま自分を好きで、ひよこのようにぴよぴよと慕っていてほしかったと。

まーでも自分がしてしまった(捨てた)ことなので、後悔の念もあって、自分を責めているのではないかと。こうしたのは俺だろ..俺が望んだことだろ..と思ってるように見えます。

好きだから、離れたい
でも離れたくない
でも離れないと大切な人を失うことになる..
そんな葛藤が垣間見えます。

八代にとって百目鬼の存在はすごく大きなもののように感じます。自分よりも大切にしたい。百目鬼を側に置いたら自分のせいで命を失うかもしれない。それに耐えられない。百目鬼を失うのが怖いと感じている。

でも、本当は側にいてほしい。
本心と恐怖との葛藤で八代は自分ではどうすることもできないところまできてるように感じました。


翌日

百目鬼『…すみません』
八代『何が?』
百目鬼『神谷さんのことです』
八代『てっきり昨日のこと謝ってんのかと思った』
百目鬼『謝ることは何もありません』
八代『あっそ』

この会話、なんか可愛い。
八代的には謝ってほしいんだろうなーと。『頭、昨日は無理やりすみませんでした』って。そうやって、百目鬼が精神的に下の立場でいてほしいみたいな。今は八代が振り回されてますからね。

八代は『昔なら謝ってたのに、謝らないんだふーん』と百目鬼の変化をまた感じていそうですね。

でもここで謝らず、対等、いや上な立場を維持する百目鬼、偉いぞ。八代を分かってるなーと思いました。今までは百目鬼が振り回されてましたが、今度は百目鬼が八代を振り回す番です。

いいぞ、いけいけ!
というところで44話おわり。

今回の44話は"変化"がキーポイントだと感じました。

八代には百目鬼の変化ばかりが目に入ってきます。もう自分のことは好きでないのか、慕ってないのかと落ち込みます。

一方で百目鬼は八代が変化していないことばかりが目に付きます。あれから少しも変わっていないのか..と。自分の無力さと、今だに自分自身を痛めつけてるようなことをする八代にイライラしています。

そんなことはもうしないでほしい。八代に自分自身を大切にしてほしい。そう願っているものの八代は自分自身を大切にできないんですよね。

八代は自分をまったく大切にしていません。むしろ雑に乱暴に扱うのです。それが俺にはお似合いだからと言わんばかりに、、

だから大切にされることも拒否します。"自分は大切にされるような人間ではない"と。なのにこいつは俺を大切にする。おかしい、気持ち悪い、そんな風に(大切に)扱うなと、居心地の悪さを感じてしまうのです。

養父に犯され、大切に扱われなかったことが原因で八代のセルフイメージがそうなってしまったんだと思います。

このトラウマは本当に本当に根深いものだと思います。八代はこの"自分は大切にされるような人間ではない"という信念で40年生きていますからね。変えるのはなかなか苦しいことだと思います。そして、その信念で生きてると大切にしないような人ばかりが集まってきます。信念はますます強固になっていきます。

なので八代は本当に大切にされたことがない人なんだと思います。大切にしてくれる人が現れたとしても、その気持ちを自分の信念に都合よく『俺の体目的だ』『金や権力がほしいだけだろ』と言い訳して受け取って来なかったんだろうなぁと思いました。

これを変えるとしたら八代は未知の世界に行くような、生き方が180度変わることだと思います。百目鬼と一緒に乗り越えてほしいですね。

つづく

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