紀元前のメソポタミア文明で数字が発明されてから人類は、0か1の演算の世界を発展させ、コンピューターを誕生させた。 コンピューターの誕生は、通信技術の飛躍的発展に繋がり、人々の行動は知らぬところで管理され、標準の範囲外、つまり0か1からハミ出した存在の把握が、簡単に出来るようになった。例えば、今までなら犯罪を犯すまで分からなかった人間の心理が、それ以前の段階で分かるようになった。 確実ではないがー。 ただ、これからの未来、コンピューターからAIへの発達がそれを容易にするだ
波打ち際を、探してもそれは見つからなかった。 「何処にあるのかしら、伝説のハート石は?」 背中を丸め、パステル柄のスカートを上げ、足を濡らして探しても、一向に見つからないくせに、さざ波の音色だけは心地よく聞こえるのだ。 「私にお金があれば、あの薬が買えるのに…もう!」 その音色を嫌い、耳を塞いでも、サーヤがハートの石を探すのには理由があった。それは、ひまわりの見える家で、息苦しそうに、高熱がもう3ヶ月も続き、ベッドの上で寝ている母を助けたいがためだったのだ。そう、ひ
私がガラスの靴をいつも履いているのは、母の遺言を守っているからだった。 「シンデレラ、お母さんはもうすぐ死ぬ…」 「バカな事を言わないで…元気になるから」 母はベットの上から窓の外を見て、 「あら、かわいい蝶々さんね」と、聞こえるか聞こえないか分からない小声で言ったのだった。 弱ってる…明らかに昨日とは違うー。 私は悲しみを我慢するように瞳を一度閉じて、外に視線を向けた。そこには蝶の恋人が、時の流れを楽しんでいるように飛んでいた。 ゆっくりと、ひらひらと…。 「