【詩】脇道-そして、ブランコと断頭台-
脇道が好きだ
通りから脇に延びる
細い路地
連なる軒が
手を差し伸べるように
影をつくり
植木鉢に挿した棒には
つるが巻き付き
その先にはつぼみが揺れる
少し開いた扉の中には
食べかけの朝食が残されていて
ある時刻、一斉に
違う時空に瞬間移動したような
ほのかな温もりを漂わせた
静けさ
その先には何があるのか
細い石段があるなら最高のご褒美だ
上に登れば、
地元の人しか行かないような公園があって
そこでブランコに乗りながら
海を眺めるのはどうだろう
ときには
石積の塀に阻まれ
ときには
野良犬に吠えられ
それでも、
脇道を行くわたしは
感覚を研ぎ澄まし
いつの間にか手放していた
忘れ物に巡り合える予感に
帰り道を忘れる
そうして
また
わたしは誘われ
引き寄せられるのだろう
たとえ、その奥にあるのが
十三段の階段の上で
誇らしく
陽を受けて輝く
断頭台であったにしても
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