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【雑記】わたしが女風で求める快楽(1) 〈気持ちと言葉編〉

はじめに

わたしが女風(女性用風俗)という場、
セラピストさんとともにいる時間と空間という“場”で求めている快楽って何だろう。

快楽は、きっと、そのときどき、
会う人、会っている環境、
わたしの身体や心の状態、
初めての人なのか、
何回も会ってきた人なのか、
いろんなことが絡まり合って、わたしの快楽がある、
というあたり前のことにようやく気付いた。だから、ひとつひとつが、
その場とその人との関係性とで違ってくる。
求める快楽も、何を快楽と感じるのかも、
同じ人でも、そのときどきで、
きっと違う。

会っていないときでも、何気ない言葉が快楽をもたらすこともある。

ときには、闇ですら、わたしの求める快楽になるかもしれない。

快楽の顔は、多面だ。



今回は、
「気持ちはいらない」と言いつつも、
やっぱり振り回されてしまう
気持ちのこと、言葉のことについて、初めてリピ(リピート)したソーマさんとの出会いから今までのことを絡めて記します。
今回も、長いです。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ソーマさん


わたしが初めてリピしたセラピストのソーマさん(仮名)には、初めて会ったときに、引退を考えていることを告げられた。

そして、その2ヶ月後、2回目に会った後、引退はほぼソーマさんの中で確定した。(と、思った。)

その2週間後、3回目の逢瀬で、引退はいつかはあることだから、すぐではないよ、と2回目直後の深刻な感じの発言をあっさり撤回された(笑)

そして、わたしは、ソーマさんとの3回の逢瀬と時間を経て(全体で6回、セラピストさん4人)、女風ユーザーとして迷子のビギナーから、何か吹っ切れたような、螺旋状の階段を一廻りしたような、そんな気持ちになっている。

  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ソーマさん、初めて会ったときから、
とても安心感を与えてくれる人だった。

前後のメッセージでのやり取り(わたしが、Xが苦手なため、お店のメッセ機能を使ってやり取りした。)も、言葉遣いが崩れず、人と向き合う丁寧さ、生真面目な性格と誠実さがうかがえ、信頼を持てる人だった。

で…、安心感はどこで感じたのか。
そうですね。
街なかの公道を走るオープンカーで、顔にかかるほど鮮やかにワンピースの裾を払って、太腿に触れてきたりとか、
びっくりして顔を見ると、真面目な顔で「ダメなの?」って聞いてきたりとか、
わたしがショーツの上から舐めてほしいと伝えて、シャワーのときに履き替えたらいいですか?と前日に一応確認してみたら、朝から履いたままのが嬉しい、と返事が返って来て、ほんとにシャワーの前に舐めてきたりとか、
まぁ、変態さんなところ、です(笑)

いたずらっ子のような
カラッとしたエッチに、
かえって安心した。
どんな自分をぶつけても、
この人なら大丈夫だろう、
全て受け入れてくれるだろう、と思えた。
(ここでそう思うわたしも、相当な変態さん、ですね(笑))


初回 固結びの紐


ソーマさんは、事前のやり取りの中で、
わたしを「固結びの紐」と喩え、「一本ずつ解いていくように楽しめたらうれしい」と伝えてくれた。

最初の意気消沈した女風体験に縛られているのを感じとったのか、
わたしの中の何を見たのかわからないけど(最近、「縄連想ですよね?」と聞くと、「心の状態」と答えてくれたけど)、
その喩えは素敵だな、と思った。
その言葉に射抜かれた。

どんなふうに解いてくれるのだろうと、期待に胸が膨らんだ。

席の予約をしたレストランに向かう車中では、あまりにも奔放なソーマさんの右手を包んで、ロックする。
(これってわたしに手を握らせる作戦ですか⁉)

イタリアンレストランでのランチは、それぞれ注文したピザとスパゲッティを分け合う。ソーマさんが選んだピザが、わたしが気になっていたのと一致し(わたしはりんごが気になり、ソーマさんはチーズがお気に入りのようだったけど。)、食べたいものが同じっていいな、と思う。
わたしだけ注文した食後のデザートを、
甘いもの好きというソーマさんの口に入れてあげる。(これも作戦か⁉)

徐々に気持ちがほぐれ、
ソーマさんとともにいる空気が
心地よく馴染む。
一回り以上も年下の男性との食事は、
かなりチャレンジだったけど、
デートを加えて良かったと思う。

初めて会ったのに
シャワーも浴びずに
わたしの身体を開いてくる

ソーマさんの指や唇、舌に、
すぐにわたしの身体は潤った。
今までに経験のないほど。

ソーマさんは悪戯な笑顔を浮かべ、
「濡れにくいんじゃなかったの?これはナニ?」と聞いてくる。

シーツが冷たくなるほど濡れてしまい、
バスルームでも際限なく溢れ出すものに、
自分自身、不思議なものを見ている感覚になる。
つい、これっておしっこじゃないですよね?
と冷静に聞いてしまう。
初めての潮。こんなに身体が反応するとは…。

だけど、気持ちがいいというのとは違い、
快楽とつながつているのかもわからない。
的確な刺激に身体が反応しただけ。
まだ、この時点では、
身体の反応についていけず、
どこか自分が置いてけぼりになったような、そんな気持ちだった。

事前のやりとりで、あらかた希望は伝えていたので、普通は、最初にするオイルマッサージを途中で挟む。

以前は整体師の仕事もしていたためか、凝っているところについ力が入ってしまうようで、「ごめんなさい。つい…」と言いながら、丁寧にほぐしてくれた。
そして、「大事にされている身体ですね」とも。

言われた時は、「えっ!?誰に大事にされてるの?」と思った。
その後、すぐに
わたしがわたし自身の身体を大事にしていると、言ってくれたのだと理解した。
その言葉がすとんと胸に落ちた時、うつ伏せになりながら、気持ちがいっぱいになるのを、嬉しい気持ちにいっぱいに染まるのを感じた。

本当に整体師さんらしい言葉。
身体を主体にして表現すると、
わたしの身体は、わたしに大切にされている身体なんだ、と。

途中で「どのくらい解けた?」と確認されたときに、「まだ、2、3本かなぁ」と冷静に答えると少しショックを受けたようで、
その前に前回の同じお店のセラピストさんが誰かもバレてしまったりとかで、そのあたりから、流れが変わった。

こっちに来てと差し出された手を握ると、
「またがって」とそのまま仰向けになったソーマさんの顔の上にまたがる形になった。

えっ⁉ちょっと待って…。
思う間もなく、下から舌と軽く甘噛みしてくる歯と指で責めあげられる。
その間も潮は吹き出ていたようで、
身体の下から「あ〜、飲んじゃった」と声がする。
飲ませちゃった⁉
この体勢ならそうなっちゃうでしょ⁉

恥ずかしいのと気持ちいいのと
申し訳なさと、
未体験の感覚に、
ぐちゃぐちゃになってくる。
耐えきれず、そのまま横に崩れたわたしを
それでも責め続ける

達することはなかったけど、
その後も、30分(体感時間ですが…。)も
断続的に叫び続けるほどの快感の渦に投げ込まれた。
痛いのか気持ちいいのかわからない感覚、どこかにすがっていないと持ちこたえられない、耐えられない、震えるような刺激の波、こんなに大声で叫び続けた経験はなかったし、固結びの紐もけっこう解けたんじゃないかと思うくらい(笑)。
(ソーマさんは、もう一人いたら途切れなくできるのに…、と言いながら、ときどきバテてた…。バテてる間もわたしの身体は快感の波に洗われ、そして、また続く、の繰り返し。)

そして、初めての緊縛も受けた。
わたしの周りをゆるやかに回りながら、
身体に縄を纏わせていく時間は
とても静かで官能的な時間だった。
時間がなかったので縛ったあとの縄の処理はできなかった、と言われたけど、
鏡に映った、縄を纒った自身の姿は、
とても綺麗に思えた。

ホテルを出るのがギリギリになってしまい、
新幹線に乗る駅まで送り届けてくれた車中は、行きとは違い、とても気遣ってくれて、安心をさらにもらった。

帰りの新幹線の中、触り心地がいいと言ってもらえた肌は、ご機嫌だった。
充分に刺激を受けて熱を持ち、快感に染まっていた。

叫び続けた声と一緒にいろんな迷いも吹き飛ばされたかのように、気持ちも刷新された。

ようやく、見つけた


わたしの身体を預けられる人を、
わたしの身体の声を聴いてくれる人を
わたしの身体を開いてくれる人を
見つけた思いだった。

そして、この人の技術を味わい尽くしたい。
享受できる自分になりたい、と思った。

3回目の女風、3人目のセラピストさん(2人目は女性)にして、ようやく出会えたという思い。

セラピストをやめようかと思っていてという話が出た時は、
「わたしの行き場がなくなってしまう」と
思わず訴えてしまったほど。

わたしにとって、今回の女風は賭けだった。

初めての女風利用が自分にとっては納得のいかないまま終わり、肌のあわあわざわざわ感だけ残された。

また、砂を噛む思いをしたら、
きっと迷子になる気力もなくなってしまう。
また、中途半端な身体を抱えていかなくては
ならないのか。 

失敗はしたくなかった。

わたしのお気に入りのお店のセラピストさんは二人を除き、ほとんどの人が発信も口コミもなかった。ソーマさんもそうだったので、プロフィールとお店からの案内、自分の勘だけが頼り。
ただ、縄師さん、かつ整体師さんだったので
身体のことをよく知っていそうな、
肌の触れ方も熟知していそうな、
そんな勘だけが頼り。

事前のやりとりは、
希望や妄想を伝えるわたしのほうが、
量も回数も断然多めだったが、
ときどき、丁寧に返事が届く。
かっちりした言葉の中に、撫でたくなるような言葉を紛れさせて。

もらった言葉に、何も憂慮を覚えるようなことはなく、会う楽しみだけを募らせた。そして、実際に会ったソーマさんは安心して身体を預けていいんだ、と確信できる人だった。

行き場がなくなってしまう…、わたしの訴えに、もう少し続けようかな、今日はとても嬉しかったし、このお店も開店当初からいてるのは自分だけになったしねと、この時は言ってくれた。 


言葉が溢れる


事前のやりとりの時にも、
どこかは言えないけど関西に時々来ていると伝えられていたが、
雑談の中で、ソーマさんは地名をつるっと口にした。
「わぁ!言ってしまった!」と、
手で顔を隠してベットの上で身体をごろごろとさせ、身悶えている姿に少しあっけにとられながらも、
可愛らしく思える。

関西に来るときは教えてほしいとお願いし、受け入れてもらえた。

地元の関西で会うのは、必然的にホテル待ちしかできないけど、教えてくれたことをとても嬉しく思う。

そして、この人と次がある、と思うと、
気持ちが傾斜することを止められなかった。

次もいい時間を持ちたい。
よりいい状態の自分になっておきたい。

そして、気持ちは言葉になって溢れ出た。

前回、そのときどきで感じたこと、
不思議に思ったこと
疑問に思ったこと 
気付いたこと
次に会うのが待ち遠しいこと、
次にしてみたいこと、
そして、ときどきに降りてくる妄想…、
わたしの中で、届けたい言葉は尽きなかった。

次々と溢れるままに言葉を送り続けた。

言葉は届いているのだろうか。
届いた言葉をどのように受け止めているのだろうか。

何か、言葉を返してくれているだろうか。

ループのように、その気持ちが沸き起こり、
何回も繰り返し、開いてしまう。

スマホから離れられない。
本当に愚かなこと、と思う。

言葉が溢れて
言葉が欲しくて
身悶えしながら
言葉の罠にはまる。

言葉に捉えられて
言葉に感情を煽られて
心が炙られる

そうして、
ただ、ひたすら、言葉を追い求めている。

追い求めているのは気持ちではない。

追い求めているのは、
欲しいのは
言葉、なのだ。
確かな実在と手触りを感じることができる
言葉、なのだ。

当初はお店のメッセージ機能からの通知がいかなかったみたいで、
何日も既読がつかず、
干されることは当たり前だった。
逆に干されてしまうのを前提で、
開けてみた時に溢れていたら驚くだろうな、
と思って、
言葉が生み出されるまま、送っていた。
(寂しくないと言えば嘘になるけど。)


言葉ごと抱いてほしい



言葉を送ってほしいとお願いしたことが
一度だけある。

ソーマさんが、ようやく、メッセ機能から通知がくるようにメール設定してくれたことを(いろいろ面倒だったみたいだけど、ありがとうございます。)、知らせてくれた。
その後関西で会う予約も確定して、送ったメッセージにすぐに既読が付くようになったのが嬉しくなり、
今晩、寝る前に「おやすみなさい」を送ってほしいとお願いした。

そして、本当に送ってくれた。罪な言葉とともに。

じっくり返信したかったのですが、おやすみなさい

ちょっと調子に乗って、「“じっくり”なんて謎掛けしているみたいでずるい。いつ、その言葉は届くのでしょうか?」と送った翌日の朝、ソーマさんから届いたメッセージ

すみません、仕事中もさることながら、男女関係なくその場にいる方の時間を妨げてスマホの操作に時間をかけるのは失礼に当たると思っていまして・・・確認までにしています。ご理解いただきたく、よろしくお願いします。

あっ、これって、迷惑に感じてるってことかな…。
目の前の人との関係を大事にしたいというのは当然のことですよねと共感を示し、調子に乗ったことを謝った。
そして、今までは通知がいかなくて気付かないからと、好きな時間に連投していたけど、通知がいくのならあまり勝手気ままに送るのもどうかと気付いたことも送った。
もう、そんなに送れないのかなと、翌朝「おはようございます。今日もよき1日となりますように」のメッセージを送ると、数日我慢した。

わたしの朝のメッセージから3日後の晩、ひょっこり、ソーマさんからメッセージが届く。

ここまで頻繁にメッセージを送られるお客様がはじめてだったので戸惑っていました・・・
決して嫌では無いのでご安心ください、むしろありがたく思っています。

良かった!嫌とは思われてなかった。
それだけで嬉しかった。

嬉しい気持ちをそのままに送り出す。

「じっくり返信したかった」という言葉が
なぜ、それほど嬉しかったのか、
その言葉からどんな妄想を描いていたのか

またたく間に、埋め尽くされる言葉…、言葉…。

言葉を送り出す手形をもらったかのように、
届けていいんだ、
嫌がられることはないんだ、
と思えることが嬉しくて、
溢れる言葉をそのままに
送り続ける自分がいた。

今度会うときは
言葉ごと抱いてほしいと願った。


2回目 ①結び直した紐



ソーマさんに言葉を送り続けながら、
2回目の予約が確定する前に、わたしは同じ店の他のセラピストさんに、実家のある地で会っていた。

ゴールデンウィークに帰省したにもかかわらず、体調の変化で急遽帰ってきてほしいと言われ、親の気持ちが弱くなっているのを感じた。今後、もしかすると実家に帰ることが多くなるかもしれない。
実家の地で特定のセラピストさんを見つけておきたかった。

でも、この実家の地での出来事は、わたしの闇を引きずり出す。(詳しくは「闇編」に記しました。)

闇は、日が経つほどに広がり
心を巣食っていくかのようだった。

そして、闇を置いていくと、
刃を置いていくと
このnoteに書きながら、
実家の地での出来事を引きずったまま
ソーマさんに会ってしまう。

切り替えることもできなかった。
今日も一日、山積する仕事がなかなかこなせないことに気持ちを滅入らせ、
普段の電車に乗って
普段の景色を眺め
普段の服、靴、鞄、
そして空気をまとったまま
降りる駅で周囲をうかがい
まだ明るい歓楽街に緊張し
約束したホテルに向かうわたしは
女風という場での
迷子にすらなれていなかった。

2回目の油断があったのかもしれない。
日常の空気から離れられず
気持ちを切り替えて
高める術を見つけられない。

会わない前は、
あんなに言葉が溢れていたのに。
あんなに楽しみにしていたのに。

妄想の世界に入れなかった。
現実の世界で、
現実の空気のまま、いた。
ホテルの部屋で
冷たくて偏屈で頑固なわたしは
きりきりと紐を結び直してしまっていた。

性癖や興味に関する簡単なチェックをソファに座ってタブレットに書き込んでいる間に、
横に座ったソーマさんがブラウスを脱がせていく。 
少し疼くが、頭が冷静に自分を見つめたままになっている。

先にシャワーしてくる?の言葉のまま
シャワーをしてあがつてくると
パジャマの上着しか用意されていない。
洗面の扉をところどころ開けても、ない。
仕方なく、バスタオルを巻きつけて、あがる。

ソーマさんがあがってくると、
ちゃんと揃いで着ている。
してやられた!
「あっ!ズボンあったんだ」と間抜けたことを言うわたしに、
「いるの?」と悪戯な顔を向けてくる。
まだ、神経がピリピリしていたわたしは、
黙ってしまった。なんだかイラッとしてしまうほど、神経がささくれていた。

今回はスタンダードにオイルマッサージからお願いしていた。
大きな手でしっかりほぐされていくのは
気持ち良かったけど、
性感に移っても、気持ちが乗らない。

あんなに楽しみにしていたのに。
2ヶ月も待っていたのに。
刺激で潮は出るけれども、
身体も心もなかなか開いていかない。

どうしてほしい?と聞かれて、
責めてほしい、と伝えると
「咥えて」と言うや否や
仰向けになったわたしに
またがった。

ソーマさんが切り替わったのを感じる。
初めて見る
ちょっとSなソーマさん。

でも、苦しい…。
噛んでしまわないかも気になって
行為に集中できない。

わたしの横で
はぁ〜っと仰向けになり
顔をこちらに向けた。
「どうしたいのかなぁ」
わたしが目を合わせると
ニコッと笑い、
「私自身のこと。しおんさんはそのままでいいから。」

わたしが、何かにとらわれていて
集中できていないのをお見通しなんだろう。
 
メッセージではあんなに多弁なのに、
向き合うと貝のように口を閉ざしてしまう。
扱いにくいよね。
申し訳ない気持ちで一杯になる。


2回目 ②闇の触手



その後のこと。
わたしの闇が引きずり出されてしまった。

ソーマさんとの前に、実家の地で会ったセラピストYさんには「入れたい」と、何度も言われた。
しつこく感じたので、
駄目ですよと、
目を見て、伝えたが、
その時にしていた行為が、
ペニスで、秘部をなぞる行為だった。
なぞるだけでなく、突いてきたり、
際どい体勢になったりしたので、
気が気ではなかった。

ソーマさんが、わたしの秘部を
ペニスでなぞり始めた。
何度もこすられる。

あの時と同じだ。
入れたいと何度も言ったYさんは、
その後のメッセージのやりとりの中で
わたしとの行為を細かに描写した。
わたしが何に感じていたのか。
身体がどんな状態だったのか。
いや、わたしも煽ったのだ。
「わたしを貶めるつもりなら存分に貶めたらいい」と。

闇の底を知りたいという、自分の中の歪みに気付きながら、まだそんな自分を受け入れられずにいた。でも、それはYさんとの関係の中で起こっていることで、
ソーマさんには、真っ直ぐな気持ちで会いたかった。

気持ちも感情も混乱してしまった。
混乱が限界に達し、
わたしはソーマさんを拒絶した。
突き放すと、
背中を向けて手で顔を覆う。
身体が小刻みに震えてくるのがわかる。

突然のことに、ソーマさんが驚いて、
「ごめんなさい。ごめんなさい。」と傍に寄る。
「触れてもいい?」
わたしが頷くと、
大きな手でそっと背中に触れる。

自分の中では、
なんでまた、こんなことが。
なんでソーマさんまで同じことするんだろう、という思いがぐるぐるまわって
収拾がつかない。

前回と今回の間に会ったセラピストさんに同じことをされて嫌だったこと、
気持ちに整理がつかないまま引きずってしまっていることを伝える。
できたら知られたくなかったので、
NGと事前に伝えられなかった、とも。

でも、「入れたい」と言われたことは伝えられなかった。
同じお店のセラピストさんのNG行為なんて聞きたくないだろうと思った。
それに、そんなふうに言われたことをソーマさんに話すことで、自分の身体がけがれるような、そんな怯えみたいなものもあった。
そして、もちろん、闇に魅入られそうな歪みのことも伝えられない。

ソーマさんは初回に会ったときから、女風での本番行為には批判的で、「入れてほしいとか言われると悲しくなる」と言っていた。
だから、不安に思う必要などない。わたしも、技術でイカしてくれることを望んでいる。

ソーマさんは、ペニスを秘部につけるのは身体を引くときだけだから、膣には絶対に入らないよと説明してくれる。
でも、この時はその言葉を素直に受け取ることもできない。

この時に、ソーマさんに、もうひとつ伝えたことがある。わたしがペニスと膣が直接触れるのを避けたいのは、「欲しくなるから」ということ。
何十年も挿入を伴うセックスをしておらず(夫とはしているけど、挿入はほぼうまくいかないので。)、気持ちの奥底ではとても欲しているし、そこを煽られるのはとても辛い。

その後、「縄、する?」とたずねてくれたけど、頭を振ることしかできない。
ひんやりとした空気が落ちてきて、どうしようもない距離が開いていく。

虚しさとやるせなさ、
自分自身への怒りと悔しさがわき起こってきて、完全に自分の感情に呑まれていた。
ソーマさんが何を感じているか、何を思っているか考えることもできなかった。

ずっと、優しく触れてくれていたソーマさんにしがみつき、
「もっと叫びたかった…」と独り言のように言葉をこぼした。

終了までの残された僅かな時間、
初回と同様に責めてくれて、少し叫ぶことはできたけど、前ほどの耐えられないような快感はこないまま時間がきてしまった。

湯船で、わたしの背中を預けられながら、
ソーマさんがつぶやく。

こんな思いをさせるなんて、
もう辞めどきかなぁ。

辞める⁉
何でそうなってしまうの?
でも、その言葉にもイラッとしてしまう。
こんな時にフォローにまわらないといけないようなこと言わないでほしい。

辞めるなんて言わないでほしい。
やっとの思いで口にした言葉は、
でも、届く前に力を失ってしまっていた。

ソーマさんが身支度をする間、わたしはタオルを巻いたまま、ぼーっとベットに腰掛けていた。

「しおんさんは出ないの?」
「ここで。先に出てください。地元だから、一緒には出られない。」 
そして、最後にようやく素直な気持ちを押し出せた。
「また関西に来るときは教えてください。」
「えっ⁉いいの?」
いぶかしがるような表情がわたしには浮かんでいたのだろう。
「もう、会ってもらえないかな、と思ったから」
こちらが戸惑うほど、嬉しそうな笑顔を向ける。

このときは、ソーマさんがかなり傷ついていることに思いが至らなかった。自分の感情に閉じこもっていた。

テーブルに置いていた水ようかんを見て
「これって一緒に食べようと思ってくれてたんだよね。ごめんね。帰りに食べるよ。」とソーマさんが荷物の中に入れる。

ホテルに来る途中で寄った、歓楽街の中の和菓子屋さん。

仕事を終えてすぐに駆けつけてきたソーマさん、お腹すいてるかな?と喉越しのよさそうな水ようかんにした。

そう、わたしは、テーブルに置かれたままぬるくなった水ようかん。
食べて欲しかったのに、それすら言い出せず、気持ちも、想いも、心も、言葉も、放りっぱなしだった。

ひとりになった部屋で、心が炙られる

部屋には、木の表面を薄く削ったような背景に人物の群像を浮き彫りにした絵が飾られていた。
でこぼことした表面を、意味もなくなぞりながら、波打つ気持ちをとどめることができないわたしがいた。


引退予告



次の日、わたしは、二人のプレイのことを、お店の運営者にラインで伝えた。
プレイ自体はそれで気持ちがよくなる人もいるのだろうからとやかく言わないけど、身体を大事にしてくれていることがわかる配慮が欲しい、配慮を感じるような行動をしてほしいと伝えた。

運営者さんからすぐに返事がある。 

しおん様いつもありがとうございます。
この度は不安な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。
性器接触については、実際お客様から求められるケースも多く
店の方では特に禁止等はしていないのですが、お客様との意思確認が必要ですね。
一度店全体に周知をさせて頂きます。
話しずらい内容をお知らせ頂きありがとうございます。

二人ともに、運営者さんからの指導が入る。

noteでの女風ユーザー仲間に話を聞いてもらったり、いろいろ振り返る中で、気持ちが落ち着いてくると、ソーマさんは何も悪くなかったんだという思いが強くなる。
わたしが気持ちよくなるだろうと思ってしてくれていた行為だったのに。
わたしがその前の出来事を引きずっていただけ。
運営者さんにまで伝えてしまったことを詫びるメッセージを送ると、ソーマさんから返事が届く。

しおんさま
おはようございます。
昨日、風葉さん(作者注:運営者さんの名前(仮名))より意思疎通をしっかり行うよう指導をいただきました。
今回のこととは関係なく、引退も考えているので、また近いうちにタイミングが合いましたら、よろしくお願いします。

本当に、引退を考えているんだ。

わたしが原因ではないと言いながら、引き金を引かせてしまうきっかけをわざわざつくってしまったようなものだと思ってしまう。

引退は近々で考えているのだろうか?もう、運営者さんにはお話しているのだろうか?
やむにやまれず、運営者さんにラインを送る。

風葉さま
先日は、ご対応ありがとうございます。
お二人からも、それぞれ、指導があったこととお詫びのご連絡をいただきました。

ソーマさん、引退されるつもりともうかがいました。
今回のこととは関係ないとありましたが、でも、わたしがソーマさんのプライドを傷つけてしまったんだろうな、引き金を引いてしまったんだろうなと思い、かなり落ち込んでいます。
初回のときから、引退の話はしていたので、突然のことではないのですが。
ただ、ほんとに悪いことしたな、と思っています。

Yさんの時に嫌だったんだから、事前にNGとして伝えておけば良かったのに、できたらYさんに会ったことは話さずにいたいと思ってしまって。

ソーマさん、わたしにとっては安心感をすごく与えてくれる人で、誠実な人だなと思っています。
メッセージのやり取りはほぼ事務的で生真面目で言葉も少なめなんだけど、一つ一つの言葉が信頼できます。
とても得難い人に会えた気持ちが強かったのに、わたしがYさんとの間で起こったことを解消できずにいたことで、本当にソーマさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ソーマさん、風葉さんには、引退のことはどのように話されていたのでしょうか?
いつごろというようなことも話されていましたか?
回遊はあまりしたくないんだけど、また、していくしかないなぁと思うと、辛いな、と思います。仕方ないですけどね。

いつも長くなってしまい、申し訳ありません。お話聞いていただき、ありがとうございます。
      ***************

しおんさん こんにちは😊
ソーマくんから具体的に退店のタイミングなどは聞いてませんが、以前より忙しくてQ 店で活発に活動出来ない事は承知してますので、いつ退店の連絡来てもおかしくないかな…とは思っています。
しおんさんからお伝えした件は特に影響は無いかと思いますよ💡
男女関わらず風俗業はリスクもあり、働く人の入れ替わりが激しいものなので、ずっと同じ人と…というのも難しいですね😖

本業が忙しいのは本当なのだろう。
メッセージに時間をかけられないのも、仕事のことがあるからだし。
でも、黙っているわけにもいかない。
言葉を送らないと、気持ちは伝わらない。

お返事ありがとうございます。
引退ですか…。
初めてお会いしてから、またメッセージのやりとりで、ソーマさんへの、安心感と信頼をずっと持っていました。
ずっと、わたしの軸になってもらえたらと、深めていきたいと思っていました。
だから、徐々でいい、ソーマさんの技術を楽しめるようになりたいと、少しずつわたしの身体も成熟していけばいいと思っていました。もう、そんな除々も、少しずつもないのかもしれないのですね。
タイミングはつくります。
本当に引退されるなら、最後は、最初と同様にデートもしたいです。
引退は今年中のことと考えておられますか?
それなのに、先日はあんなふうにしか時間を過ごせなかったなんて…。自分がいやになります。
最初にお会いした時も、引退を考えているというお話があって、わたしが、行き場がなくなってしまう、と訴えたのは覚えていますか?
初めて会った時から、本当に、ソーマさんに身体を預けたい、開いていってほしいと思ったのです。その気持ちは今も変わりません。
言葉が少々大層になっても、ちゃんと受け止めてもらえてる、なんだかそんな気がするのです。
引退を考えておられるのは、諸処の事情があってのことだと思いますし、1ユーザーのわたしはソーマさんを応援することしかできないのでしょうね。
前々から考えていたこととはいえ、でも、今回のことが引き金を引く要因になってしまったような気がして、自分でも辛いです。
今度、会うときは、ソーマさんとの時間を楽しみたいです。ぜひ、ご都合を教えてくださいね。

でも、返事はない。

今も嫌ではない、と思ってくれているのだろうか。
それすらもわからない。
ただ、待っている。
でも、楽しい時間にならなかったのは確かだし、次も楽しみと、思ってくれるかどうかもわからない。


ソーマさんの中に見ているもの



ひたすら待つしかないという、この状況が、高校の時の恋に似ていた。
違う高校に行っていた彼。

中学の時から気になっていた。
高1の夏に思い切ってわたしから電話をしてみると(当時は固定電話しかない時代でした。)、偶然、直接電話を取った彼がわたしのことを覚えてくれていて、とても嬉しそうに話をしてくれたことに安心し、思いの外話が弾んだ。
ときどき、会ってくれるようになった。

でも、
各種の活動をしていて忙しい彼とはそんなに会う時間が持てなかった。

それなのに、突然、家を訪れてきたりとか、気まぐれにわたしの心を乱す。

いつも真っ直ぐな言葉をくれる。詩を交換する手紙の中の愛おしい言葉たち。

ソーマさんは、彼の話し方や仕草に少し似ているところがあった。

自身のことを「わたくし」というのも。

高校生だったけど、その自称をとても自然に言えて、ふっとその言葉が入ってくる人だった。

真っ直ぐなところが、大好きだった。
その分傷だらけなところが愛おしかった。
でも、待つのは、やはり辛かったのだ。
それに、本当にそれでいいの?という彼の口癖を、ずるいわたしには受け入れることができないときもあったのだ。

待つことしかできないことを、詩の中で‘“甘さと苦さ”と表現したこともあったけど、その時は苦しさしかない。
繰り返している思いがする。

わたしが、初回からソーマさんに傾斜してしまったのは、このこともあったからなのかもしれない。
ループのように、乗り越えられなかった試練を仕掛けられているような気がする。


月の舟は、待たない



七夕の日、旧暦の七夕はいつになるのだろうと調べると、旧暦の月の動きに人々の思いが託された素敵な伝承を見つけて、
ソーマさんにメッセージを送る。

こんばんは。
昨日は七夕でしたね。
夜空は見上げましたか?

でも、本当に織姫が彦星に会えるのは、今年は8月10日なんだそう。
旧暦の七夕は必ず半月で、舟のように横になった月が、天の川の西岸の織姫のいる場所から、徐々に彦星のいる東岸に、毎日少しずつ移動するそうです。

そんな夜空の星と月の巡りに思いを寄せて、織姫が月の舟に乗って彦星に会いに行くという伝承が生まれたということ。
素敵なお話ですね✨

わたしらしからぬ、今日はきれいな妄想(笑)
素敵なお話を知って、伝えたくなりました。
旧暦の七夕、織姫が彦星に会うのと、わたしがソーマさんに会えるのとどちらが先になるのかな?そんな思いも、月の舟に託したい。

ちょっと私の中の乙女が全開してしまいました😅
ご迷惑だったら、言ってくださいね。
おやすみなさい。

次の日になって、
月の舟をわたしは待てるのだろうか、待つんじゃなくて、会いたいんだったら、自分から動いたらいいんじゃないのかな、という思いに突き動かされる。
ソーマさんに、そちらに行っていいですか?
と打診する。
「月の舟が横付けされるのをただ待っているのは、やはり、辛い。」と書き添えて。

折しも、わたしの沈黙を心配した女風ユーザー仲間から、わたしの状況を気遣ったコメントが届く。本当に、嬉しかった。
そして、ひとつの詩が生み落とされた。

月の舟は、待たない。
阻む流れは、わたしが渡ればいいだけのこと。


流れを渡る



川の流れを渡る。

このイメージは、どうしても、安珍清姫の清姫を思い起こしてしまう。
自分を焦がす一途な想いに、蛇に化身してしまう哀れな清姫。
脱皮するんだから、蛇連想はありなのかも。
焼き殺さないけど、ね。
文楽や歌舞伎の舞台で、清姫は波に翻弄されながら、蛇に化身していく。
熱情が人間性を失わせ、
取り戻しのきかない次元に誘い込む。

琵琶湖でも男の元に、
湖を泳いで通う女の物語があるらしい。
男は自分の元に通う女のために灯火を掲げる。だが、毎晩湖を渡ってくるほどの、女の一途な想いが怖くなり、ある晩、灯火を消してしまう。
女は方角を見失い、溺れて死ぬ。

月の舟の伝承で、広く親しまれているのは、
彦星が月の舟に乗って織姫の元を訪ねるものらしい。
そもそも、月の舟の伝承は日本独自のもので、彦星が向かうのも、妻問い婚を前提にしているためだとか。

伝承のなかで、
女が流れという障壁に自ら身を投ずると、
その結末は無惨だ。

モデルはない。
わたしの脱皮のあり方も、
流れをどのように泳ぎ、
向こう岸に辿り着くかも。

どちらにしても、
女風は、女性が決断して動かないと
何も始まらない世界なのだから。


3回目の打診



わたしの打診にソーマさんからは、すぐに返答があった。

予約の問い合わせを待っていたわけではないのですが、早めのお返事の方が良いと思い連絡させていただきます。
☓日でしたら、12〜17時くらいであればお時間取れそうです。
ただ、私自身、期待していただいてるのは嬉しいのですが満足していただける自信が今はありません。
それでもよければ精一杯楽しんでいただけるようにさせていただきます。

自信がない…、そう言わせてしまったのも自分のせい。
以前のように、楽しみと思ってくれるようになるだろうか。
わたしには、言葉を送り続けることしかできない。

自信がないなんて…、ソーマさんは、“固結びの紐”をちゃんと解いてくれたんですよ。
まだ、頑ななところがあるのは、それはわたしの問題だから。
初めて会った時のこと、わたしの中でかなり美化されてしまった感があるのは確かなんだけど、今のソーマさんに会いたいんです。
☓日、エッチで変態さん(そこは、変わっていないことを信じて!)のソーマさんに会いに行きます😊
     
      ***************

こんばんは。
準備してもらうもの…、
「今回は」、縄だけでいいかな。
(中略)
自信がない、なんて言わせない。
だって、ソーマさん、もともと、そんな自信たっぷりで踏み込んでくる人じゃないもの。でも、ちゃんとわたしの頑ななところには届いている。
わたしにとってはそれが大事。
疲れてるから、そんな目一杯頑張れないよぉ、ということでしたら、考慮しますけど、ね😉
それから…、
今日が最後です、なんて絶対に言わないでくださいね。
それだけは、約束してほしい。まだ、次があると、もう少し先があると、信じたい。
でも、考えている時期があるなら教えてほしい。
いつの間にかフェードアウトするようなこともしないでほしい…。
ごめんなさい。
セラピストさんが引退を考える時にユーザーがどうすべきかなんて、ビギナーのわたしにはわからない。

でも、困らせるようなことはしたくない。
決断を応援するしかないことはわかっている。
でも、「そのとき」は、まだ、もう少し先のことと思っていたい。祈るように、そう思っています。

      ***************

しおんさま
明日はなんとか昼くらいには雨止みますかね?
お会いするの楽しみにしています😊

良かった!
楽しみにしていると届けてくれた。


3回目① 優しい嘘



「私がしおんさんに入れようとしたんですよ。だから注意を受けて当然なんです。」

わたしが、運営者さんに伝えたこと、
ソーマさんは悪くなかったのに怒られたよね、ごめんなさい、と伝えると、そう言われた。

いつ謝ろうか、どんなふうに謝ろうか、
今回、会いに来たのも直接謝りたかったというのがあった。
性感がちょっと途切れてふっと沈黙が降りた時に思い切って伝えた。
ほんとは2回目での自分の態度とかもっと謝りたいことがあったけど、ソーマさんが慕っている運営者さんから指導が入ったのも不本意だったろうな、と申し訳なく思っていた。

でも…、えっ⁉「入れようとした」って…。

直後、わたしは言っていた。 
「それはない!絶対にない!
わたしが悪かった。
ちゃんとNGを伝えてなかったし、
前の時のこと引きずっていただけだから。
それはわたしが悪い。
ソーマさんは悪くないし、
そんなこと言わないでほしい。」

「じゃあ、しおんさんも、自分が悪いとか言わない。謝ったりとかしない。」 

虚を突かれた。

なに、これ、
ソーマさん、何言ってるの⁉

頑固なわたしは、それでも言い募ろうとする。
「でも…、わたしが悪いんだし…」
「私も入れようとしたんだし。」
「そんなこと言わないで。」
「じゃあ、しおんさんも言わない。」
ニコッと笑って言う。

あかん…、これはエンドレスだ…。

すべて、被ってくれた。
セラピストとして一番あかんこと言って
わたしが引きずっていたものを断ち切ろうとしてくれた。

わたしの頑固な性格をよくわかっているなぁと思った。
そして、わたしがソーマさんに全幅の信頼をおいていることも。

今、思い出しても、とても柔らかな気持ちになる、
こんな優しい嘘をもらったことなんてあっただろうか。

わたしの人生の中で
最大級の優しい嘘

救われたよ、わたし。

ありがとう、ソーマさん


3回目② 引退撤回



嘘といえば、引退も撤回された(と、思っている。)

引退はいつかはあることだから。
人がいつか死ぬのと同じ。

でも、今すぐではない。
応援してくれる人もいるし、ね。

しゃらっとした顔で言う。

ここは、もっと突っ込んで聞いておくべきだったのか?
わたしは、口をあんぐりと開けて
間抜けた顔になっていたに違いない。

今日の予約の問い合わせの時も、
待っていたのかな?という気もするし、
だんだん何が嘘で何が本当なのか、
わからなくなってくる。

でも、そんなことを詮索してもなんの意味もない。
わたしも、いっぱいの嘘を持ってここに来たのだ。
引退という言葉が重すぎると思ったのだろうか。この場でいずれ来る現実のことを話すことに意味はないということなのだろうか。

引退という言葉が、その言葉を引き出してしまったいう悔恨が、2回目の辛く苦しい記憶が、わたしをここに呼んだ。

ソーマさんも、軌道修正したかったのだろうか。
ぐるぐるとまわっているわたしを
いったんリセットしたほうがいいと
思ったのだろうか。

会うことでしか
2回目の記憶を塗り替えることはできない。
そんな考えがソーマさんにもあったのだろうか。

わたしは渡ってきた。
わたしの意思で。
そして、あなたに導かれるまま。

来てよかったんだと思えるから、ソーマさんのしゃらっとした顔を少しにらむ程度にしておこう。まなじりに笑みを少し浮かべながら。

ソーマさん、エッチで変態さんで、そして、嘘つきが加わりました。


3回目③ 潮と精液


3回目の時間は、本当に逢瀬だった。
ただ、会いたいがためにやってきた。
特定の人との刹那の逢瀬のためにやってきた。

1回目と2回目にはなかったほど、
たくさん抱き締めあった。
欠けたものを、絶たれたものを
繋ぎ直すように。
勃起するものが秘部に接触しないように
気遣ってくれるのも伝わってくる

もう、大丈夫だよ。
ソーマさんだから、もう大丈夫なんだよ。

3回目は縄もしっかりしてもらったけど、ここに入れるととても長くなるので、別編で。

3回の逢瀬を経て、
何か吹っ切れたような気がしている。
何を吹っ切ったのかはわからないけど、ひとつだけはっきりしていることがある。

こんなことを記すと、
引かれてしまうかな、
目を剥かれるかなと思うんだけど、
自分の中では
精液を初めて飲んだことが
大きな意味を持っているような気がしている。

わたしの潮を飲んでしまうソーマさんに、
それなら、
わたしはソーマさんの精液を飲みたい、と
初回後のメッセージで伝えた。

ソーマさんからは、素っ気ない返事が返ってきた。

飲んでみたいですか?その辺りはその時の雰囲気でお話ししましょう

素っ気ないけど、わたしには、勢いで言ってない?無理してない?と言ってくれているようにも感じた。
本当に勢いで言っているかもしれない。

夫のでも飲めない。
恋人のでも飲めなかった。
セラピストのソーマさんのなら飲みたいと思ったというのも自分でおかしいな、と思っている。

今まで、自分の中でずっと拒絶していたこと。トラウマもあった。
この行為は、学生時代の恋人が二股の相手にしてもらっていたこと。
あるとき、突然、射精したものを飲んでほしいと言われた。今までそんなこと言われたことなかったので驚いて断ると、やっぱり?みたいな感じで流れる。後に二股を告げられた時にこのときのことを思い起こして、そういうことだったか、と気付いた。

今までも拒絶していたこと。
拒絶して見ないようにしていた傷。

自分自身の意思で受け入れられたことの意味が大きいんだろうな、と思う。

そして、自分の身体の一部になっているような感覚。決してひとつにはならないと思っていたけど、こうして溶け合っている感覚がある。

自分の中で何かを乗り越えた感覚がある。

今回、自分の潮も飲ませてもらった。

勧められて水を飲んだ後、ソーマさんは飲まないの?と尋ねると、
「潮、飲んでるから大丈夫」と言われた。
確かに、シーツが全然濡れないほど、ずっと、ソーマさんの顔にまたがってる…。

苦笑いするしかないわたしに、飲んでみる?と聞いてくる。
好奇心のまま、「飲んでみたい」と答える。
でも、飲むってどうやって?コップに入れる…とかじゃないよね。

ソーマさんは、わたしの秘部に顔を埋めると、そのまま口づけをしてきた。
頭の中で何かが弾ける。
わたし、口移しで、自分の潮を口に含んでいる!
唾液と混じったそれは、意外にさらっとしていて、味はなく、そのまま喉に送り込まれる。
(潮は無味無臭のようです。)
ソーマさんとの初めての口移しが潮とは…。お互い変態さん同士で良かったのかも。


気持ちと言葉


安心や信頼を感じると
溢れてしまう言葉に、
翻弄されてきた。
言葉を封じ込めることはできない。
ときどき、詩の形にして昇華するのが精一杯だった。
(ときどき、ん〜、しょっちゅうかな…、女風ユーザー仲間(同志⁉)のノートのコメントにも吐き出させてもらっています…。ごめんなさい。でも、そこでの会話に本当に救われているし、教えられているし、学んでいます。ありがとう。)

何気ない日常のことを送りたくなるときもあるけど、それは違うのだろうな、と思う。忙しい人だけになおさら。
送ったらやっぱり返事が気になるから、なおさら辛くなるから送らないほうがいいんだろうな、とも思う。

好きというのではない。
言葉が届いたか、どんな言葉が届くのか、は気になるけど、でも、それは好きという感情とは違う。

好きになるにはあまりにも知らなすぎるし、知らないと思うことで、感情を抑制できる程度の気持ちしかないということ。

ふと思ったのは、わたし、まだソーマさんに壊されてないから、こんな冷静なのかな。
壊されたら好きになってしまうのかな?ということ。
好きだから壊されたいんじゃなくて、壊してくれるから好きになるのかな。

その場を楽しめたら、技術を味わえたら、快楽を追求できたらと思って飛び込んだ女風だけど、“身体を預けるのは特定の人にしたい”、その思いが強くなりすぎてしまった。

最初のきっかけのまま、自分の身体を満足させることに軌道修正すればいいだけなのだろう。
そこから付随する、特定の人に身体を預けたい、身体を開いてほしいという願い、言葉でも繋がりたい思い、そこは、思い詰めると辛いだけ。

知らない人に生身の身体を差し出す、その行為はいつまでたっても慣れないだろうと思う。
怖くて、震えて、でもその先の快楽のために、自分の欲望に跪くのだろう。
そこを乗り越えないと、
また、中途半端な身体を抱えていくだけ。

ソーマさんはソーマさんでゆるゆるとつながっていけたらいい。
わたしとソーマさんは、そのときどきの点。
ゆるやかに繋がる点でいい。
これから、わたしとソーマさんでどんな星座を描いていくのだろう。

今回の感想と質問を送って(この質問は大人気なく失礼な内容だったので、ソーマさんから注意されてしまいました。最後の最後にあかんところが出てしまった。)、しばらくはメッセージは読み返すだけにしようと思う。

何が嘘で何が本当で、
わからなくなることがいっぱいだけど、
引退の話も本当はどうなのか、
まだ先のことと安心していていいのだろうか。

でも、今は、今すぐではないという言葉を信じて、しばらく、わたしはソーマさんに言葉を送るのを控えようと思う。

嬉しい言葉も、嬉しい嘘も、
いっぱいもらえた気持ちがあって。
今は、もう感謝の気持ちでいっぱいで。
今までにもらったもので満足しないと、本当に罰が当たるような気がする。

これまでのような調子で言葉を送っていると、今度こそ本当に嫌がられてしまうかも。
嫌われてしまうかも。
会うのが楽しみって言ってもらえないかも。

「応援してくれる人かいるから」と言ってくれたけど、良くて季節ごとぐらいにしか予約できないのに、応援してる、なんて言えない。
そうしたら、会わない時間、どうやって応援しているということになるんだろう。
今は、日常を邪魔しないということしかできない。

このお店のメッセージ機能は、2か月経つと内容が消えてしまう。すでに最初の方のやり取りが消えてしまってから気付いたんだけど。

日常を乱すほど、やみくもに届けたくなったら、この雑記を読み返そう。
別のところに保存したメッセージを読み返そう。

また、何ヶ月かのち、予約を入れる頃
メッセージはまっさらになっているはず。
わたしの言葉はどんなふうに、
ソーマさんに届けられるのだろう。

でも、8月10日、旧暦の七夕には
月の舟の話をしたい。
月が見えますか?と送りたい。



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