同期の大園 8. UNO
今日も今日とて、いつものメンツ。
井上「はいリバース」
武元「ほいドロー2」
俺「ってんめ」
悪態を吐きながらも山から二枚引いた。
井上「はいリバース」
大園「いひひ。井上リバースばっか出すね……ごめんね~スキップ!」
俺「OH」
武元「それにしてもさ~」
と真面目な顔をする武元。
武元「なんかあったん?」
大園「なんかって?」
井上「はいリバース」
武元「どんだけ持っとんねん!」
我慢ならなかったのか、井上の頭をはたく武元。
よくやった!
心の中でサムズアップする。
武元「あんたら二人……なんかいつもと雰囲気違くない? 妙に近いというか……」
俺と大園に向かって顎をしゃくる。
井上「そうなの?」
武元「唯衣の勘なんやけど」
井上「武元の勘は当たるからなぁ~。……それで、どうなん?」
武元「どうなん?」
大園「どうなんですか?」
串に刺さった餅をマイクのように向ける大園。
なんでお前もそっち側なんだよ!
と呆れながらビールを飲み干す。
俺「別に、なんもねえよ! っとほれ、UNO」
一枚になった手札をこれみよがしに見せつけた。
武元「ダウト」
俺「それ違うゲームだから」
武元「ちゃうちゃう。そっちじゃなくて……今の発言」
俺を指差しながら――
武元「なにかあったんやろ?」
俺「……」
鋭い。
大園「あったんですか?」
味方からも刺される。
俺「……はぁ~」
俺に任せるってことか?
酔いも回り思考が鈍ったこともあり、
どうでもよくなってきたな……。
と考えるのを止めた。
俺「……実はな」
前のめりになる俺。
井上「……ごめん、ホンマにごめん」
同じく前のめりになる井上。 四枚目のリバースカード出しながら、
井上「――オボェッ」
本当にリバースしたのだった。
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