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同期の大園 AFTER_STORY 2. 一畳バトル


 
 六畳一間。
 我が家の和室の大きさである。

 その中央にて、背筋を伸ばし正座をする玲。
 正面から見つめるとよく分かる。 くるりとした大きな目に綺麗な鼻筋。 自慢じゃないがかなりの美人さんだ。

 そんな玲を見据えながら、

俺「本当にすまないと思っている。この通りだ!」

 頭を下げた。 そう、できるだけ申し訳なさそうに……

 
 ……

 
 数分前。

俺「こんな所にいたのか」

玲「……」

俺「何? まだ怒ってるの?」

玲「……」

俺「え~、たかがプリンじゃんっ」

玲「……そこ、座って……」

俺「え? お、おう……」

玲「正座」

俺「あ、はい」

 言われた通り正座をして向き合った。

 
 ……

 
 そして現在。

俺「スマン。玲が楽しみにしていた最後の一つ、食べちゃって……。代わりにコンビニのプリン買ってきたんだけど」

玲「798円」

俺「え?」

玲「櫻屋のプリンの値段……」

俺「高――ッ!?」

 いきなり張り手が飛んできた。
 背を反ってそれを躱す。

玲「避けないでよ……798円分殴らせて」

俺「いや、なんでだ――ッよ!」

 今度はガシリと掴んで止める。

俺「798円分のキスじゃダメ?」

玲「は? 意味わか――んむっ」

 強引に口を塞ぎそのまま押し倒す。

玲「…ん、はぁっはぁ……許さないから」

 言葉とは裏腹、潤んだ瞳。

俺「これであと698円な」

玲「……馬鹿っ」

俺「ごめん」

「……」  

玲「……んっ」

俺「ん?」

玲「……あと……698円あるんでしょ……」

俺「あ、ああ……うん」

「ごめんな」と、彼女が満足するまで謝り続けた。

 
 黄昏色に染まる畳一畳、仄かに香る藺草いぐさの匂い。

 今年の夏も暑くなりそうだ――
 そんな予感がしてきた夏の一日であった……




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