櫻第三機甲隊 0. エンゲージ
この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
格納庫に佇む人型の機体。
そのコックピットにて、谷口愛季は静かに目を開いた。
一呼吸置き横に並ぶ味方機へと告げる。
「いい? ブリーフィングの時も言ったけど、私たちの任務は捕虜となった人たちの救助だからね」
「うん」
「は~い!」
「出来るだけ戦闘は避けようね」
「分かっとるって」
「愛季の言う通りにするよ!」
「ふふ、じゃあ行こうか」
そう言って本部へと通信を飛ばす。
「こちら第三機甲隊所属、谷口小隊。これより作戦に入ります」
間髪入れずに相手側が応えた。
『こちら第三機甲隊本部、了解しました。以後、オペレーターは小島凪紗が努めます。それでは谷口小隊、出撃してください!』
そのGOサインに愛季は操縦桿をぎゅっと握り絞めた。
「谷口小隊、谷口愛季――出ます!」
「同じく、山下瞳月――出る」
「同じく、村井優――行きます!」
地上母艦最後尾の射出口から三体の”機甲”が飛び出した。
”機甲”それは人間の約十倍の大きさをした人型兵器である。
高く舞い上がった機体を巧みに操縦し、豪快に地面へと降り立った。
背部から噴出されたガスと、足裏に取り付けられたボール状の球体を利用して、地面を滑るように移動を開始。
風を切り高速で疾走する機甲、その時速は最大で140㎞に到達する。
これはそんな機甲による戦いの物語。
そして――
「愛季! 目標の位置を確認できたよ!」
「うん、いよいよだ」
「やっぱり敵もいるんやね」
「……だね」
「頑張ろうね!」
「本部、こちら谷口小隊! これより敵戦闘区域に入ります!」
その機甲を操る少女たちと――
「こちら『灰狼』、シオン・グラスフォード。これより任務を遂行する」
一人の男が織りなす物語でもある――
「敵影捕捉!」
「謝罪はしない」
「瞳月、優――いくよ!」
「これは戦争だからな」
「エンゲージ!!」
「エンゲージ!!」
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