鬼さんこちら 手のなるほうへ poetry 11篇
冷たい雨が煙る 青磁色の街
路地裏を
駆け抜ける 黒猫
家路を急ぐ 人たち
軒下に しがみついてる 雨垂れ
それぞれの 居場所を
確かめながら
誰もが 今日を 生きている
街灯に 僅かな影灯し
夜は あえかに 目を瞑る
あの日の僕を 置き去りに
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キライ キライ
好き、、、、、
嘘を ついちゃ いけないよ
ライオンが
大きな口を あけている
週末のサガン
痛いくらいに キスしてくれる?
rely on rely on
あなたに
あたし rely on
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不意に 激しくなる雨音に
繰り返す 夜の輪郭をなぞる
長い夢から 目覚めたように
気まぐれに 僕を抱く君と
薄い銀紙の チョコレート
剥がれ落ちる
褐色の吐息
音のない夜に くるまって
熱のない音に くるまって
不意に 静まり返る雨音に
繰り返す 僕のリグレット
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光をうけた花々が
光をうけて
萎れてゆく
優しき絶望の雨よ
触れ
もう少しだけ
君に触れ
咲いていたいのです
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今宵 月はトンガリ
僕は 君を欲しがり
届かぬ love song
綴る
窓辺で ジンライム
痺れる jive
夢のなかでも 君の姿は
遠ざかり
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気まぐれで ツレナイ態度を
嘆いてみたり
行き場のない 想いを
持て余してみたり
けれど
君を 嫌いになんて なれないよ
小さく折った紙飛行機
銀色のすべり台 飛ばせてみせた
短絡的な思考を
砂場に 濁しては
夏虫の行方を 目で追った
ジリジリ 舌の上に
焦げついている
マーマレードの 恋模様
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朽ち 朽ちて 土に還れし病葉も
麗麗と
仄かに 秋 薫らすならば
金の糸 銀の糸
織りなす 風の 語らいに
ただ その身を委ね
瞼を 伏せる
一筋の光 雲のみち
鬼さん こちら
手の鳴る ほうへ
******
ふんわり ふんわり
花びらのせて 漂う 花いかだ
舞い散る 幾千の飛花
薄紅色に ひかり映せば
あの日の ふたり 蘇る
ゆうらり ゆうらり
時の小舟に 誘われて
君を想えし 春の日か
******
歪んだ青空 朽ち果てた廃屋
瞼の奥には 震えた肩
愛し方 不器用で
そんな君だから 愛しくて
ダメね
離れ方も 分からない
真夜中の砂時計
鳥かごに翳した 青いブローチ
どこまで続くの
ふたり 揺らす 螺旋階段
******
朱に染まる 鬱金香
時の狭間に
惑わされ
誰もが 悲しみ競う
あの子が欲しい
この子も欲しい
はないちもんめ
彷徨える 鬱屈よ
遠い空
見上げれば
見知らぬ使者が
降りて来そうで
******
素肌に纏う 波の音
夏の雫に きらめく漣
ひと 寄り添いて
生きること
ふたり 縒られて
強き 糸
旅立ちの 入江
朝日を 待とう
・*:..。o○☆*゜
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