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If you wake up in the morning, then It's a good day.

恥ずかしながら、昨日まで私はアウシュビッツとビルケナウは全く同じ収容所だと思っていました。
違うということを小説『The tattooist of Auschwiz』で知りました。
(『アウシュヴィッツのタトゥー係』という題で邦訳になっています。)

「(主人公の)LaleがAuschwizからBirkenauまで長時間徒歩で移動する」っていう描写が何回か出てきますが、出てくるたびに、引っかかって仕方がない。
え、どういうこと、説明どっか読み飛ばしたかな?って思って一章分丸々読み返したけれども、理解できず。

Wikipediaを調べました。

アウシュヴィッツ第一強制収容所は、ドイツ占領地のポーランド南部オシフィエンチム市(ドイツ語名アウシュヴィッツ[注 1])に、アウシュヴィッツ第二強制収容所は隣接するブジェジンカ村(ドイツ語名ビルケナウ)に作られた。周辺には同様の施設が多数建設されている。

Wikipedia『アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所』

そういうことだったか…。
日本語では「アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所」とひとまとまりで表現されるから、調べもせず、ひとつの収容所を指すものと思い込んでいました。思い込みコワイ。

ちなみに、第一・第二だけでなく、第三強制収容所「モノヴィッツ」まであります。
どれだけ残虐の限り…。


『The tattooist of Auschwiz』は約2日で読み終えました。悲惨過ぎて途中吐きそうになったけれども、それよりも結末を知りたすぎて一気に読みました。

amazon.co.jpのレビューである方が書いていました。

It has no poetry, no soul, no dramatic tension, no suspense.

アマゾンレビューより

「詩ごころもないし、魂も感じないし、ドラマも、サスペンスもない」
…酷評だけど、まあ、わからんでもない。
私も小説にしては、描写が淡々としすぎじゃないかな?とは正直思いました。回想シーンと現在のシーンの切り替わりが早すぎるし、余韻というものがない。

ただ著者の方はこれが処女作なので、多少荒削りなのは仕方ないのかなとも思います。
なによりフィクションとはいえこんな凄惨すぎる内容を、ホロコーストサバイバーLaleその人から聞き出して小説として構築できたのは、著者の人間力と傾聴力の賜物だと思います。それだけで尊敬です。
未読の方には、小説っていうより、アウシュヴィッツルポにエンターテイメント要素を少し加えたものだと割り切って読まれるのをオススメします。

'If you wake up in the morning, then It's a good day.'
(意訳: 朝を迎えられたなら、それだけで僥倖である。)

Lale Sokolov

最愛の妻Gitaを亡くしたあと、87歳になったLaleは「it would never happen again(二度と同じようなことが起こらないように)」と著者にレコーディングを託したそうです。

昨今のウクライナでのジェノサイド疑惑をテレビで観るたびに、溜め息。
こうも歴史に学ばないかね…。
ウクライナとポーランド、目と鼻の先ですよ…。

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