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霊の話 1 霊とともに
私は子供の時から霊の見える体質でした。
この世界の仕事をしている人にはありがちな感じですけど、霊とか妖精とか妖怪とかが比較的普通に見えていて、人の感情とかも割と敏感に感じ取るような、割と面倒くさいタイプの子どもでした。
おそらく、母の家系が霊的能力のある家系だったようで、母自身も多少勘の良いところがあり、幼少期、見えるものについて話しても否定も批判もされませんでした。
ただ、それについての前向きな取り扱い方や、考え方なども特に話してもらえる事はなく、そうした霊的な事について、母の雰囲気から私が子どもなりに学びとったことは、霊的なことに関してはうかつに他人に言わないのがエチケット 的なものでした。
ただ漠然と、霊的な事は他人に軽はずみに言わないようにするのがマナーなのだと思い込み、なんとなく話題に出さない方がいいらしいという勘違いをしていたのです。
それは、例えば、目の前の人の鼻毛が出ていた時、
「鼻毛出てますよ」とは言わないように、
「肩に手、乗ってますよ」とか
「背中に女の人くっついてますよ」と言わないような、そういった感じの、大幅に間違った認識です。
今思うと、私は馬鹿なのかなとも思わなくもないのですが。
割と素直な性格で、悩むこともなく、大半の人が、霊は見えないという事を知らずに大人になるまで普通に過ごしていました。
言わない事がマナーだと思っていたので、特に話題にもせず、みんな見えていて気にしていないのだという途方もない勘違いををしたまま思春期を過ごすことができてしまいました。
そして、否定も批判もされずに育ったせいでそれらに関して自己否定もなく、逆に霊的なものに関心も持たなかったせいで成長期に何も問題が起きず、能力は消えることなく順調に大人になるまで残りました。
ただ、現実に夢中になる10代の頃は、あまり霊的なものを意識した記憶はありません。きっと、その頃は現実的なものに夢中でどうでもいいものだったのだろうと思います。
霊を見ることよりも、楽しい事がたくさんあった時期だったのでしょう。
続く