【書評】 ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密
『日本の3倍休んで成果1.5倍!ドイツ式早起き習慣が教えてくれる究極の時間管理術』
本書は、17年にわたるドイツ駐在経験を持つ著者が、ドイツ人の効率的な働き方の秘密を明らかにした渾身の一冊です。
特に注目すべきは、ドイツ人社員が実践している「早起き習慣」を軸とした時間管理の手法です。
著者は1990年代前半、日本の半導体メーカーで早朝から深夜までの残業続きの生活を送っていました。
しかし28歳でドイツ支社に赴任したことで、働き方に関する価値観が180度転換します。
ドイツのオフィスでは、社員たちは朝早くから仕事を始め、17時には颯爽と退社。
年間30日の有給休暇を当たり前のように取得し、2〜3週間の長期休暇も躊躇なく消化します。
にもかかわらず、厳しい納期にも確実に対応し、日本以上の給与水準を実現しているのです。
本書の特筆すべき点は、単なるドイツ式働き方の紹介に留まらず、日本の職場文化に合わせたアレンジ方法を具体的に提示していることです。
その核となるのが「15分早起きチャレンジ」という革新的なアプローチです。
従来の早起き指南書では、いきなり数時間単位で起床時間を前倒しすることを推奨するものが多く見られました。
しかし本書では、体内時計への負担を最小限に抑えながら、確実に習慣化できる方法として、15分という小さな変更から始めることを提案しています。
また、14時以降のカフェイン摂取を控えるという具体的な指針も、科学的根拠に基づいて説明されています。
カフェインの半減期や体内での作用時間を考慮し、就寝8時間前からのカットオフラインを設定する考え方は、実践的で説得力があります。
さらに、早起き後のルーティン設計についても、細やかな配慮が感じられます。
単に「運動する」「読書する」といった漠然とした目標設定ではなく、それらを具体的な数値目標や期限と結びつけることで、習慣化の動機付けを強化する方法が示されています。
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本書を読んだ感想として
本書の最大の魅力は、ドイツ式働き方の本質を「早起き習慣」という具体的な行動にまで落とし込んでいる点です。
多くの働き方改革に関する書籍が、抽象的な理念や制度の紹介に終始する中、本書は実践可能な方法論を提示しています。
特に印象的だったのは、著者自身の経験に基づく「無理のない変化」という考え方です。
日本の職場では「できる人は朝5時に起きている」といった極端な例が持て囃されがちですが、そうした急激な変化は長続きしない可能性が高いものです。
15分という小さな変更から始めることで、誰もが実践できる現実的な目標設定になっています。
この「小さな成功体験の積み重ね」という発想は、あらゆる習慣形成に応用できる普遍的な知恵だと感じました。
また、カフェイン摂取のタイミングや起床後のルーティン設計など、早起きを習慣化するための周辺環境の整備についても、具体的かつ実践的なアドバイスが満載です。
これらの知識は、読者が自分なりの早起き習慣を確立する上で、貴重な指針となるでしょう。
本書を特におススメしたい人
・長時間労働からの脱却を目指す会社員の方
・仕事と私生活のバランスを改善したい方
・朝型生活への転換を考えている方
・効率的な時間管理術を探している方
・海外の働き方に関心のある方
本書とあわせて読みたいおススメの書籍
・『習慣の力』チャールズ・デュヒッグ 著
・『なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術』佐々木正悟 他1名 著
・『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル 著
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本書のまとめ
本書は、ドイツ式早起き習慣を通じて、効率的な働き方と充実した私生活の両立を実現する方法を提示しています。
15分という小さな変更から始める習慣化の手法、カフェイン摂取の適切な管理、目的を持ったルーティンの確立など、すぐに実践できる具体的なアドバイスが満載です。
日本の職場環境に合わせたアレンジも考慮されており、誰もが無理なく取り入れられる実践的な指南書となっています。