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【書評】 君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間
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視点と考え方を実感する4時間
「目的×資源」で導く"勝てる戦略"の思考法
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戦略というと、多くの人にとって捉えどころのない、どこか曖昧な概念かもしれません。
「戦略を立てましょう」と言われても、具体的に何をすればいいのか、どのように考えを整理すればいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
本書『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』は、そんな戦略の本質を「目的達成のための資源利用の指針」という明確な定義で示し、実践的な戦略立案のプロセスを丁寧に解説しています。
著者の音部大輔氏は、P&G、ユニリーバ・ジャパン、資生堂など、世界的な企業でマーケティング組織を率いてきた実務家です。
その豊富な経験と知見を基に、2017年に刊行された『なぜ「戦略」で差がつくのか。』の内容をさらに発展させ、実践的なワークショップや講座での検証を重ねて生まれたのが本書です。
本書の特筆すべき点は、戦略立案を6つの明確なステップに分解し、それぞれのプロセスを具体例とともに示していることです。
まず第一に、戦略の本質を「目的」と「資源」という2つの要素に絞り込んでいます。
一般的な戦略論では、SWOT分析や5フォース分析、PEST分析など、様々なフレームワークが提示されますが、本書ではあえてシンプルな2要素に集中することで、本質的な戦略思考を可能にしています。
第二に、「目的の再解釈」という独自の概念を導入しています。
単に目的を設定するだけでなく、その目的が達成された未来の状態を具体的にイメージし、そこから逆算して戦略の選択肢を広げていく手法は、非常に実践的で応用範囲の広いものです。
第三に、「資源優勢」という考え方を明確に示しています。
自社が保有する内的資源(人材、製品、予算など)と外的資源(取引先、メディア、ユーザーなど)を総合的に評価し、最も優位性を発揮できる戦略を選択するという考え方は、極めて合理的です。
本書は以下の6つのステップで戦略立案プロセスを解説しています:
1. 目的を明示する:組織全体で共有できる明確な目的を設定
2. 目的を再解釈する:目的達成時の具体的な状態をイメージし、戦略の選択肢を創出
3. 資源を探索する:利用可能な内的・外的資源を洗い出す
4. 資源優勢を確立する:各戦略案に対して投下可能な資源を評価し、優位性を判断
5. 文章に書く:選択した戦略を明確な文章として表現
6. 組織に展開する:戦略を実行に移すための組織的な取り組み
各ステップには具体的な事例やワークシート、実践的なアドバイスが豊富に盛り込まれており、読者は自身の課題に即座に適用することができます。
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本書を読んだ感想として
本書を読んで最も印象的だったのは、戦略立案という複雑な課題を、実践可能な具体的なステップに分解している点です。
著者の豊富な実務経験に基づく知見が、極めて実用的な形で提示されています。
特に「戦略構築の思考能力は身体技術である」という著者の指摘は、非常に示唆に富んでいます。
つまり、戦略立案は生まれつきの才能ではなく、適切な方法で練習を重ねることで誰でも上達できるスキルだということです。
また、本書が提示する「目的×資源」という視点は、大企業から小規模企業まで、あらゆる組織に適用可能な普遍的な価値を持っています。
複雑な分析フレームワークや理論に依存せず、本質的な要素に焦点を当てることで、より実践的で効果的な戦略立案が可能になるという示唆は、非常に説得力があります。
本書を特におススメしたい人
- マーケティング部門のマネージャーやリーダー
- 事業戦略の立案に携わる経営企画部門の方々
- 新規事業の立ち上げを担当する方
- 組織改革や変革を推進する立場にある方
- 戦略的思考力を高めたい若手ビジネスパーソン
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本書のまとめ
本書は、戦略立案を「目的達成のための資源利用の指針」という明確な定義のもと、実践的な6ステップのプロセスとして示しています。
著者の豊富な実務経験に基づく知見が、具体的な事例やワークシートとともに提示されており、読者は即座に実践に移すことができます。
戦略構築の能力は練習によって磨くことができるという著者の主張は、多くのビジネスパーソンに希望と具体的な成長の道筋を示しています。
シンプルでありながら本質を突いた「目的×資源」という視点は、組織の規模や業界を問わず広く適用可能な普遍的な価値を持っています。
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