見出し画像

新たな感情、ムの誕生

それぞれが独立した個である私たちは、お互いの生活があり、遠距離恋愛を5年程続けてきたわけだけど、じゃあどうやって会ってるの?というと、あちこち飛び回ってちっとも落ち着かない彼の仕事に帯同している。毎回ではないが、月に数回予定を合わせて出張先で合流する。若い頃から仕事漬けで、あまり遊ぶことを優先してこなかった人生だから、一緒にいてもそれぞれが仕事していることも多い。それでも、同じ空間でただ一緒に居るだけで、心から安心する。たわいもない会話をして、食事する時間は本当に幸せ。私といると、スマホを見ることを忘れるらしく、だらだらしてリラックスしているし、子どものように手放しで好きなことして喜んでる姿は可愛くて仕方ない。


新たな感情

そんなある日、仕事から疲れて帰ってきた彼を迎えに行った。帰宅後、何をするでも、話すわけでもなく、ただベットに横たわる彼をみて、何かをしてあげようとも思わない、何も感じない、空っぽな感情がわいた。お風呂のお湯をわかしていたけど、入らないならそれでもいいや。そんなに疲れてるならマッサージしてあげようか、お茶でも淹れようかとも思わない。寝るなら寝たらいいよ。これが新鮮だった。私はどうしても何かしてあげたい、与えたい気持ちが強い。知らず知らずのうちに、彼がいると意識して、役に立とうと貢献欲がでてしまう。けど、好きでも嫌いでも、嫌悪でもなく、今は何も感じない。無、む、ム、シーン、そんな新しい感情。
翌朝、また無の自分がいて、いつもと同じ毎日がやってくるわけだけど、どこか感じ方が違う。笑顔も、表情もなく、声もなぜかでない。彼にかける言葉も見つからない。何も考えられなくて、無言が続く。あー、これが完全オフな素の自分だ。あれこれどうこうしようとしていない、ただの自分がそこに存在していることに気づいた。その瞬間、何の涙かわからないものが頬をつたい、心の癒しと自分を抱きしめるかのような感覚に包まれた。何もしなくても、ただ、そこに居ていいんだ。

どんな感情でできているか

ふたりで真実の愛を追求し、自分たちらしく進化してきた中で、最近では、もっと遊びたい、旅したい、色んな景色を一緒にみたいと彼は確実に変わった。2日間で映画を3本観たことがあったのだけど(遊びもハードスケジュール)、インサイドヘッド2がとてもよかった!
ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミに加えて、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシの新たな感情が登場する。その感情は一体何なのか?一言で言い現わすことのできない、複雑さ。ひとつの感情では完結しない、複雑に互いが絡み合う、その構造もどうなっているのか?ひとつの感情がコントロールしようとしてうまくいかず、みんなどうすればいいかわからず混乱し、混沌とした中で、感情たちが何も言わず抱きしめ合い、ひとつにまとまるシーンがグッと来る。どんな感情も、どんな自分も自分だから、抱きしめてあげよう。ハグの威力は計り知れない。
さて、彼はどんな感情でできているか?孤独、寂しさ、正義。ひとりぼっちで孤独に戦っている感情が目に浮かぶ。本当は愛して欲しい、仲間が欲しい、執着、嫉妬、妬み、弱さがどんどん出てくるでてくる。彼の心の鎖を解き放ち、開放してあげたい。自分の考えや気持ちを包み隠さないで。隠し事しないで自分らしくありのままでいることを、幸せになることを自分に許してあげて、私の感情たちが彼の感情たちに呼びかける。
私はというと、愛、博愛、貢献、怒り、嫌悪、葛藤、破壊。対立するかのような激しい感情。まぁ、これも自分らしい。これらの感情もどんどん新メンバーが仲間入りしては、自分たちをアップデートしていくことだろう。

ここから先は

0字
コーヒー1杯分の価格設定にしています。よければカフェタイムのおともに、お楽しみいただけると嬉しいです。

DRAGON LADY

500円

今起こっている事実をもとに、ふたりの愛の探求ストーリーを描きます。記事1本380円でお試し読み、もしくはこのマガジンを500円で購入いただ…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?