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お金だけでは入手が難しいアメリカワイン
偉大なワインは、まず噂によって誕生する。
(ミッシェル・ドヴァス「世紀のワイン」より)
ワインを直接購入できるのは「友達」のみ。
そんな会員制クラブのようなワインは「Tusk (タスク)」です。
オーナーであるPhillippe Melka (コンサルとしても世界的に有名)、Tim MartinそしてMichael Uytengsu 3人の友達である必要があります。
この「友達」の定義が興味深いです。2015年のWine Spectatorの記事によれば、”友達の友達まで” だとか…。正確なところは定かでありません。
そしてなんと言ってもラベルが素敵です!
良質なホワイト背景に、かわいい?!マンモスのようなシンボル。
エチケットはもちろん、箱にも強いこだわりがあるようです。
極めて厳選されたナパ (OakvilleやPritchard Hill主体) のカベルネ ソーヴィニョン (通称ナパカベ) を用いており、ファーストヴィンテージから10年経った今でもわずか350ケースの生産となっています。1人3本の割り当てと考えた場合、世界で1400人のみが会員 (友達?!) という計算になります。
生産量をあげることはできるのに、あえてあげない。戦略がうかがえます。
価格は非常に高く、ナパカベで5番目に高いワインとして数ヶ月にwine-searcherで紹介されました。
マーケティングしていないのに、すごい価格を維持できる (実際には価格を徐々にあげてきている) とは…、“会員制”ナパカベ、恐るべしです。“友達”でもお金を出せばすぐに入手できるわけではありません。“友達”でさえ、長い年月待っている状態です。10年以上…?!
不思議なことは、Robert Parker Wine Advocateの評価がないこと。深い理由がありそうです…。
お金だけでは入手が難しいため、カルトの定義の“人気”までは達していないと考え、これまでカルトワインとして取り上げませんでした。しかし、その日は近いかもしれません。
最後に、ワインスペクテーターのTuskに関する興味深い一説をご紹介します。
For some people, getting on the mailing list for an exclusive Napa Valley Cabernet Sauvignon is a sport. For them, bagging an offering from Tusk would be as rare a trophy as the woolly mammoth that graces the Tusk label.
(MaryAnn Worobiec. Wine Spectator. Jun 24, 2015)
HPはこちら。ちなみに樽熟成は2.5年。
Tuskについてもっと知りたい方は、少々古いものですが、以下のTimへのインタビューがおすすめです。
(Photo by Christopher Alvarenga on Unsplash)
追伸:
突然ですが、わたしは温泉にも興味があります!
先日、温泉やワインなどに詳しいぜいぜいさんの記事でご紹介いただきました。
最新の記事は「温泉とワイン」です。興味深いので、ぜひおたのしみください。