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【追悼】稀代の名将、故イビチャ・オシム監督が教えてくれたこと『リスペクトの本当の意味をご存知ですか?』
サッカー元日本代表監督イビチャ・オシム氏ご逝去の報に接し、本記事では、哀悼の意を表したいと思います。
【イビチャ オシム元監督の訃報に接して】
— ジェフユナイテッド市原・千葉(公式) (@jef_united) May 1, 2022
2003年から2006年まで監督を務めたイビチャ オシム氏が、5月1日にご自宅のあるオーストリア・グラーツにてご逝去(享年80歳)されました。ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。https://t.co/6GdV5y6oKS pic.twitter.com/mfOJT761x9
私自身、普段は、自身で立ち上げたサッカースクールで草の根の指導者として活動していますが、オシムさんに対しては、指導者を志した頃から多大な影響を受けており、オシムさんの著書はバイブルであります。
生前のご尽力は、日本サッカー界においても、多大なる影響を与えた最大功労者の一人ですが、本記事では、改めて、故イビチャ・オシム監督の功績を振り返りながら、私自身が影響を受けた“オシム語録”を一部紹介したいと思います。
ユーゴスラビア代表監督としての栄光と悲劇
オシム氏は、現在のボスニア・ヘルツェゴビナの首都・サラエボ出身ですが、現役時代は、ストライカーとして、ユーゴスラビア代表でプレーした経歴があり、監督としてもユーゴスラビア代表チームを率いています。
![](https://assets.st-note.com/img/1651604269432-Y243Z20QAn.png)
旧ユーゴスラビアは、現在のセルビア、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、コソボ、北マケドニアからなる多民族国家ですが、民族対立や独立運動が激化する80年代から90年代にかけて、過酷な運命に翻弄されました。
ユーゴスラビア国内で行われる国際試合では、観客がホームであるユーゴスラビア代表ではなく、アウェイのチームを応援することが常態化していました。
1988年、ユーゴスラビア代表と対戦したフランス代表のミシェル・プラティニ曰く、なぜユーゴスラビアの観客がフランス代表を応援するのか理解できなかったと…
しかし、オシム監督は、自民族を招集せよ!という多方面からの政治的圧力やヘイトに屈することなく、理想のサッカーを追求し、民族に関わらず、体現出来る選手を招集し、多民族国家であるユーゴスラビア代表チームをまとめあげました。
フットボールと政治を同一視すべきではないという姿勢を貫き、サッカー人としての強い信念とリーダーシップは、多くのスタープレーヤー達から尊敬を集めました。
1990年W杯での5位入賞
オシム監督のキャリアハイライトとして、『W杯8強』というワードが見出しを飾りますが、厳密には、1990年W杯で5位に輝いています。
これは、PK戦が公式記録上、引き分け扱いの為です。
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又、有名なエピソードですが、W杯初戦でメディアが求めた布陣をあえて選び、大敗した後、オシム監督自身が考える布陣で二連勝し、グループリーグ突破を決めています。
これは、先述した『フットボールと政治を同一視すべきではない』という信念の裏返しとして、語られています。
そして、続く決勝トーナメントでも強豪スペインを撃破し、準々決勝では、マラドーナ擁する前回王者・アルゼンチンを相手に前半31分に退場者を出しながらも、一人少ない中で約90分を戦い抜き、無失点。スコアレスのままPK戦の末、敗れています。
W杯の歴史において、記憶に残るグッドルーザーとして、後生に語り継がれている、まさに、伝説の代表チームなのです。
幻の欧州王者
又、1991年、EURO予選(ヨーロッパ選手権予選)では、無類の強さを誇り、グループ1位で通過し、本大会出場を決めていました。
本大会では、優勝候補の筆頭と目されていたユーゴスラビア代表は、当時、世界で5本の指に入っていた代表チームであったと云えるかもしれません。
しかし、オシム監督の生まれ故郷であるサラエボでも紛争により、多くの死傷者を出し、非常事態を受け、オシム監督は、会見で涙ながらに『サラエボのために唯一自分が出来る事』と、セルビアの侵攻に異を唱え、代表監督の座を辞する事になります。
程なくして、ユーゴスラビア代表は、内戦激化を受け、国連制裁により1992年、EURO本大会(ヨーロッパ選手権)の出場権をはく奪されてしまいます。
尚、『幻の欧州王者』の異名の由来の一要素でもありますが、予選でユーゴスラビアの後塵を拝し、敗退したデンマークが繰り上げ出場の末、優勝を果たしています。
リスペクトの本当の意味をご存知ですか?
ここからは、冒頭に記した通り、私自身が影響を受けた“オシム語録”を紹介したいと思います。
“ 相手をリスペクトするのが負けない秘訣だ ”
オシム監督がここで云うリスペクトとは、日本で一般的に使われるリスペクトや尊敬とは異なります。
『全てを客観的に見通す』
『客観的な価値を見極める』
という意味になります。
具体的には、相手の長所や短所を見極めるという事。つまり、誇張したり、相手を過大評価・過小評価せずに、客観的に現実を見通すという事。
サッカーにおいては、いかなる相手に対しても対策を立てるという事。つまりは、誠意です。
相手をフラットに見て、見極める事がリスペクトということです。
相手を詳しく知りもせず、または、知ろうともせず、ネームバリューや地位だけで媚びる事がリスペクトではありません。
過小評価も然りです。
皆さんは、普段、会社で、学校で、ご家庭で、本当の意味で、リスペクト出来ていますか?
自戒も込めて、今回は、ここまで。
最後になりますが、改めて、イビチャ・オシム監督のご冥福を心よりお祈りいたします。
Ruhe in Frieden, Jahrhundertrainer. 🖤#sturmgraz #osim pic.twitter.com/NK2I490Ad9
— SK Sturm Graz (@SKSturm) May 1, 2022
🇧🇦 #RIP Ivica Osim 🕊#オシム 氏の母国 ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボでは、市庁舎にオシム氏の写真を投影し哀悼の意を表した。 pic.twitter.com/MOyawqw3gD
— GOAL Japan (@GoalJP_Official) May 2, 2022