心に残る、余白を活かした歌|コラム
心に残る歌は人それぞれだと思います。
私の場合、歌詞、曲調や編曲がシンプルで、余白を残してくれているものほど心に残りやすい気がしています。
その中の幾つかを感想を交えて紹介します。
軽い気持ちで読んでください。
踊り子 / Vaundy(2021)
Vaundy の『踊り子』です。
良いですよね。
音符の数、楽器の数が少なく、曲自体に余白がたくさん有ると思います。
また、歌詞が抽象的で、歌を受け取る側の余白もたくさん有ると思います。
シンプルなベースギターが軸
儚げな歌声
抽象的な歌詞
シンプルだけど、ちょっとクセになるメロディー
曲名から、川端康成の『伊豆の踊子』を連想しますが、根底には通ずるものを感じます。
何か欠けているような不安定な気持ち。
誰かと通じ合える希望。
訪れる別れ。
この歌は、歌詞の一言一句を取って、何を意味しているのかを考えるものでもなさそうですし、そうしても楽しくありません。
歌詞の通りに聴いてイメージを膨らませば十分です。
私は、この歌に春の印象を持ちます。
環境が変わる時期の少し不安な気持ちが思い出されるからでしょうか。
花 / 藤井風(2023)
藤井風 の『花』です。
ドラマ『いちばんすきな花』の主題歌ですね。ドラマも良かったです。
こちらも音符の数、楽器の数が少なく、比較的に曲自体の余白が有る方だと思います。
イントロのベースギターとピアノのユニゾンが印象的
ドラマ冒頭のイントロに合わせる映像もセンス抜群で相乗効果
サビの前あたりからのドラムの刻みが効果的
サビで厚みを増すコーラスが効果的
ドラマの宣伝では、男女の友情を強調していましたが、実際には、他者に区分される必要のない繋がり方がテーマだったように思います。
歌詞は、そんなテーマをうまく抽出しているように思います。
ところで、歌詞で触れていないのに、曲全体が秋の雰囲気が漂っているから不思議です。
DRIVEに連れてって / 今井美樹(1997)
今井美樹 の『DRIVEに連れてって』です。
ちょっと古いですが…。
楽器の数は決して少なくないと思います。
ただし、それぞれの楽器の音が代わるがわるに顔を出す感じで、全体を見ると音の隙間が多いように思われます。
今井美樹さんの曲で、このテンポで音の隙間が多い曲は珍しいのではないでしょうか。
音の隙間という意味での余白が多い曲です。
それなのに疾走感があります。
今井美樹さんの伸びやかな声が曲の主体
ドラムよりもパーカッションが軸
シンセサイザー(ストリングス?)が彩りに
夏であれば、朝昼晩を問わない良さがあります。
不意にカーラジオから流れて来たら最高ですね。
ところで、今どきは女性を助手席に乗せて男性が運転する光景に限定する必要もないですね。
同じ意味で、女性を助手席に乗せて男性が運転するという価値観も否定しなくて良いですね。
放浪カモメはどこまでも / スピッツ(2000)
スピッツ の『放浪カモメはどこまでも』です。
こちらもちょっと古いですが…。
こちらは、スピッツの中では激しい方に分類されるロックチューンです。
スピッツなら、全部の曲に言えることですから反則気味ですが、やはり歌詞の余白です。
ちょっと珍しいのは、メロディーや編曲、演奏の方に強めの意思が感じられるのに、対比するように歌詞の余白が多いという点です。
歌詞の余白が断然に多い
反するように特にドラムがロックしている
特に好きなのは、美しい夕焼けが上昇し続けないことを綴っている部分です。
直接的な『諦めるな』といったメッセージとは違っていて、曲を聴いた人の中で咀嚼できるので、何だか好きです。
まとめ
余白を活かした曲というテーマで紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
機会があれば、シングルカットされている曲だけでなく、アルバム曲なども紹介していきたいと思います。
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