パンケーキのパワー
大学院でジェンダー・フェミニズム研究に出会った。
別にすごくその研究がしたくて入ったわけじゃなかったから、論文書く時、どうしよう。と思った。
途中まで、「ケア労働」について調べていた。なんかそういう論文書けたら、研究した感すごいあってかっこいいな、と思ってた。けど、難しすぎて、何より自分がワクワクできなくて、挫折した。どうしても自分ごとにならなかった。
私の指導教授は「ファッションの研究」をしていた。
いつもおしゃれな(ちょっと変わった)スーツを着たアメリカ人。
そんなことでも研究になるんだ!と思った(失礼。笑)
教授はずっと私に、「なんでも研究対象になるよ。」「あなたは何に興味があるの?」「何が好きなのか?」と問うてくれていた気がする。
結局、私は「Pancake Politics」というタイトルで、「日本におけるパンケーキの流行と、そこにみる女性の社会行動」について論文を書いた。
今から10年くらい前。
パンケーキ、めっちゃ流行ってたよね!?
Hawaiiから来たEggs'n Things!
Australiaから来たbills!
しあわせのパンケーキ!
など、新しいお店が出来ては長蛇の列だった。
ミーハーな私は、3時間くらい並んだこともある笑
そして、私は思った。
「女ばっかり並んでるなぁ。」と
スイーツ男子とか言われ出していた頃で、男同士で来ている人もゼロではなかったし、男女カップルもいた。
でも圧倒的に、パンケーキに、「女」か「男」かを振り分けると、「女」になる。
今でも、「パンケーキ」と聞いて「男っぽい食べ物だよね😊」と思う人はいないだろうと思う。
こういう視点を持つこと自体がジェンダー研究なのであった。
もうなんでもジェンダー研究になりうる。面白い。
こういうことに気づいて、教授に、言ってみたら、「それは面白い研究になるね!」と言われた。
「まじで?!そんなことでいいの!?」と思いながら、私の論文のテーマは「ケア労働」から、まさかの「パンケーキ」に変わった。
それから、
「なんでパンケーキに女は並ぶのか」
「パンケーキを食べながら、何が行われているのか」
「どんな社会的な意味があるのか」
そんな問いを持ちながら、観察し、研究し始めた。
たどり着いたのは、
私たちは純粋にパンケーキを食べることに喜びを感じているのではなく、パンケーキを囲いながら、女子同士で話をすることに喜びを感じている。
ということだった。
私たちは話をする。
もしかすると大半は何かの愚痴かもしれない。
だけど、そこでパンケーキを前にし、
写真を撮り、話し、笑い、共感しあうことで、
また次の日を生きるパワーを得ている。
「またあんなに並んでっ」と呆れられながらも、
それでもあれだけ並んで、パンケーキを食べることは
その人たちにとって社会を生きる上で必要な行動なのだ。
ただ流行に流されているとも見える行動は、
実はとても社会的で、強く生きていくための行動なのだ。
みたいなことを、書いた。
ケーススタディのような論文が出来上がった。
今、私は対話を大切にしているし、
話を聞く、する、を仕事にしている。
対話の場をもっともっと届けたい!と思っているけれど
パンケーキ日本初上陸やん!
気になる!ワクワク!
なんか分からんけど食べに行こ!きゃー!
みたいな気軽さの中でしか生まれないパワーもあるな。なんてことも思う。
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