スベり高等学校 #毎週ショートショートnote
21XX年、世は「笑い」を求めていた。人々の需要は「食」の次に「笑い」であり、つまり人を笑わせる才能がある者がこの時代を生き残る。
時代に合わせて政策も変化していった。中学生までは相変わらず義務教育。しかし志望する高校への進学はそう簡単なものではない。ここでお笑いの道を進める者とそうでない者にふるいがかけられるからだ。
中学生たちは将来一流芸人になるため、日々お笑いを学び、ネタを考え、笑いを研究する。「お笑い塾」なんてものも津々浦々にできた。お金持ちの家庭や教育熱心な親は、そこへ子どもを通わせる。
高校への入学試験は面接によって決まるといっても過言ではない。面接官をいかに笑わせるか、これが最も肝心となる。この登竜門をくぐった者たちは、お笑い専門の高校へ進学できる。
くぐれなかった者たちの行き場、それが俗にいう「スベり高等学校」。彼らは「笑い」という手段以外で世に貢献していくことが求められる。
彼らはひたすら「勉強」に勤しむ。
(413字) 終わり
毎週ショートショートnoteに参加させていただきました。
作者あとがき
一応最後の一文がオチです!
21XX年には今の学力社会じゃ考えられないことが起きている設定です。
勉強に勤しむ高校への入学の方が簡単で、さらにはスベッた先にあるといったことに対して感じる異質さとかを表しました!