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アサクリ問題 論点整理

 トーマス・ロックリー氏が主張・流布しているという「戦国時代の日本で黒人奴隷が流行し、イエズス会がそれに反対していた」という説は、鼻で笑うレベルのトンデモ論(学者がそれを主張しているというのは怖いが)。  そもそも弥助を連れてきたのがイエズス会であり、弥助が織田信長に気に入られていたことは史料が残っている。  実は(?)こういったトンデモ論に対して、歴史学者がほったらかしの姿勢を貫いていることは前々から問題視されている。百田尚樹氏が『日本国紀』を出版したときなど話題に挙が

    • 07.公地公民制の動揺と荘園

      「正確さ×わかりやすさ×記憶に残しやすさ」。ちゃんと説明できてるか怪しいです。 1.律令運用期(8~9世紀) 7世紀の中央集権化政策によって,律令を運用する時期。この時期はいわゆる公地公民制が展開された。 ・国司制度:四等官制  まず律令制度における国司は四等官制であったことを確認しておく。任国には上から守・介・掾・目の4名が派遣され,朝廷の指示・監督のもと,共同責任で行政を行った。国司の行政において,現地の有力者である郡司の協力は必要不可欠であった。 ・公有地:班田

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