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80歳夫婦イタリア絵画旅行記 (27)

【イタリア・あの愛しい人達に】
 扉絵はマントーヴァのピサネロのフレスコ画

ヴェローナ(1)
 マントーヴァのマンテーニャに別れを告げ、私達はベローナへ向かいました。ベローナはマントーヴァから北へ50km弱、列車で約1時間半ほど。シェークスピアのロミオとジュリエットの物語で良く知られる街で、市街地全体が中世の佇まいを残してユネスコの世界遺産となっています。見るべき所は沢山あるものの私達が真っしぐらに向かったのは、下記画像のサンタ・アナスタシア教会でした。

サンタ・アナスタシア教会前の妻

 ヴェローナで一番大きいとされるこのサンタ・アナスタシア教会ですが、その正面は意外と質素な感じがします。

3色の大理石によるアーチ型の正面入口

 いつだったか夢うつつで、イタリアの何処かの街角の壁を撫でて、イタリアへの郷愁を募らせる自分がいました。現にイタリアにいる今、忘れかけていた夢が蘇り、この時思わずこのサンタ・アナスタシア教会の3色の大理石の壁を手のひらで撫でました。今、まさに自分がイタリアに居るという感慨を手のひらの感触で感じ取ろうとしたのでした。3色の大理石は珊瑚色のように淡い赤みと、また青みを帯びたような灰色、そして柔らかな白でした。夢の中の壁はもっとザラザラした石壁のようで粗野な感じでしたが……。夢うつつと今ある現実との狭間、イタリアに居るんだと言う歓喜がしみじみと心に染み入るようにありました。

サンタ・アナスタシア教会の内部
サンタ・アナスタシア教会の天井

 教会内へ一歩踏み込むとそこはまるで別世界のような装飾に満ち満ちた空間でした。壁と言わず天井と言わず床や柱にさえも、フレスコ画や大理石の装飾などで埋め付くされていました。

3色の大理石による立体的構成の床

 堂内の床の大理石は正面入口のアーチと同じ赤みと黒みと白みの3色で装飾され、堂内の端の床ではその3色が立体表現の騙し絵のように構成されていました。 日本でもいっ時、3色の塗料で車道に立体的な変化があるように見せかけて、車のスピードを抑える効果を狙った場所がありましたが……。ここでは置かれた椅子(上の画像)が、転げ落ちそうに見える錯覚が……。

*拙い文をお読み頂きありがとうございました

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