夜があけたら
深夜2時 街には人が少なくなりいつもの2階にあるワインバーに私達は向かう
席について いつものワイン
一番最初の頃 あなたは 私が迷っている時にワインの選び方を教えてくれた事を思い出す
私はそれから いつも同じものを頼むようになった 少しうんちくも添えて
口数の少ないあなたは 私から誘った理由をなんとなく察してるのだろう
座ってから ワインがきても 何も話さない
私は 緊張と同時にワインを飲み干す
話したい事は 2杯目の途中から
あなたは ただグラスの中のワインを眺めていた
沈黙の中 溢れる涙
子供が出来たの
それを言うまでに 随分と時間がかかった
あなたは何も言わない
だんだんと遠くなっていくあなたを感じる度に 涙が溢れる
周りには 酔った人達のたわいのない会話が聞こえる
少なくともここにいる人達の中で 私が一番不孝なんだろうと思う
場所を変えようか
あなたが言った
あなたの部屋で いつものグラスにワインが注がれる
飲んでも酔わない自分が怖い
あなたの答えはすでに決まってるのに どうしようもない時間だけが過ぎていく
これで最後だと
持っていたグラスが割れた途端
私の恋も粉々に散っていった
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