喋る人形からIoT家電へ(レビュー:『チャイルド・プレイ』)
オススメ度:★★★★★
「うーん……チャイルド・プレイか。レジェンド作品のリメイクではあるが、そもそもオリジナル作品がそんなに好きじゃないんだよな」
と、思いながら見た本作であったが、これは思った以上の良作だった。いま、この時代にリメイクする価値のある作品と言えるだろう。
もしオリジナル作品を見ていなくても、皆さんもおそらく「人形(チャッキー)が人を殺す」というコンセプト自体はご存知だろう。これはオリジナルにおいては、殺人鬼の悪霊が人形に乗り移ったことで惨劇が発生している。
しかし、「人形が人を襲う」というのは、襲われる人にとって恐怖なのは間違いないのだけれど、一方で、殺人鬼からしても大変である。当たり前だが、卑小なる人形の体など不便で仕方がないのだ。その点でチャッキーにはある種の悲壮感がつきまとっていた。ジェイソンやフレディと並ぶホラーアイコンのチャッキーだが、彼はなんとも窮屈な存在なのだ。
ところが、だ。本作ではその設定を大きく変えてきた。なんと殺人鬼も悪霊も出てこない。「喋る人形」であったグッドガイ人形は最先端のAIを備えたバディ人形(IoT家電)となった。超高性能なAlexaといったところだ。本作では、生産工場の末端労働者がクビになった腹いせに、AIのプロテクトを外したことでバディ人形が暴走、それが本作における惨劇のきっかけとなる。
つまり、かつては殺人鬼の悪霊によって引き起こされた惨劇は、今やAIの暴走にその立場を譲ったのである。それだけ「AIの暴走」が現代においてリアリティを獲得したと言うことだろう。
もちろん「AIの暴走」自体は手垢のついたネタではあるし、実際に本編の中でもメタ的にネタにされているのだが、
ここから先は
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?