ノータイム暴力家族(レビュー:『感染家族』)
オススメ度:★★★★★
> 平和な田舎を襲う、史上最恐のゾンビ大群!命がけの家族の攻防、果たして彼らの運命は!?田舎の寂れたガソリンスタンドで暮らすパク一家。定職もなくその日暮らしの彼らは、突然現れたゾンビ(チョン・ガラム)に噛まれた父親マンドク(パク・イナン)が若返ったのを見て、一攫千金の<ゾンビビジネス>に乗り出す。日和見主義の長男ジュンゴル(チョン・ジェヨン)と妊娠中の妻ナムジュ(オム・ジウォン)、口八丁の次男ミンゴル(キム・ナムギル)、芯の強い末娘ヘゴル(イ・スギョン)ら、適材適所の家族運営で若返りの依頼人も日々増えていく。ついにはガソリンスタンドの再建にも成功、一見順調なビジネスだったが、若返りを果たした人々に思わぬ副作用が勃発してしまう。そしてゾンビと化した人々が次々に道行く人を襲い、大群となってついにガソリンスタンドにも襲い掛かる……。
★4寄りの★5。とても斬新だとか、ものすごく見る価値があるとか、心に強く残る何かがあるわけではないが、減点方式で採点すると特にマイナス点を付けるところがないので、「★5だよなぁ」という意味で★5。
さて、本作だが、あらすじの「ゾンビビジネス」の文字列を見た方はまずこう思うだろう。「そんなアホな」と。登場人物がこのビジネスに行き着く過程にリアリティが生まれるはずがなく、チャランポランな映画に決まっている、と。それはある意味正解であり、不正解でもある。
というのは、この家族は本当にクズであり、序盤の彼らの描写がクソカスなので、「こいつらなら、ゾンビビジネスやりかねないなぁ」という変なリアリティ(?)が生まれているのだ。
で、チャランポランな映画という点ではこれは本当にチャランポランであり、「いや、そうはならんやろ」みたいなことも山のようにある。あるのだが、何せ最初からチャランポランなので終始一貫しており、「そういう持ち味」になっているため、これはこれでマイナス評価とはならないのだ。
この家族のクソカスっぷりだが、冒頭の描写が特に酷い。彼らは潰れかけのガソリンスタンドを経営しているのだが、道路にマキビシを撒いて、ツーリストの車を事故らせ、修理してボッタクリするという犯罪ど真ん中直球のビジネスを行っているのだ。主人公の好感度をスタートダッシュからここまで下げるのはすごい。「こいつらがどんな酷い目にあっても全く心が痛みそうにないな!」と思うほどのクズ描写だが、なんのかんので最後の方になると「みんな生き残ってよかったね!」くらいの気持ちになるのが不思議である。おかしいな、特に好感度を稼ぐポイントはなかったはずなのだが…。
また、この家族だが、暴力をふるう動機が生まれてから、実際に暴力を振るうまでのタイムラグがほとんどない。「怪しい男(ゾンビ)」が走って近付いてくると、躊躇なく金玉を蹴り上げる。父親がゾンビに噛まれた疑惑が持ち上がるや否や、フライパンで
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