モヒカンゲームの作り方③「人の手番がヒマ問題」
現在クラファン中の『クソッタレ!! 世紀末モヒカン野郎300匹大行進』のゲームデザインに関する裏話シリーズ第三弾。今回は開発中にものすごく苦慮していたダウンタイム問題(人の手番がヒマ問題)です。
ゲームデザイナーの多くはダウンタイムの問題に悩んでいると思いますが、実際これは難問です。というのは、ダウンタイムにはジレンマがあり、待ってる人たちはヒマだけど、手番で悩んでるプレイヤー自身は楽しいのです。なんならその時間こそがゲームの核と言っても過言ではありません。
本作開発段階における「手番時間の長さ」には幾つかの要因がありました。
一つ目は、スキルカードを積み増しできることによる「やれることの多さ」。スキルを3つ4つ重ねたところの出目が出ると思考時間も思考負担も莫大になります。しかし一方で、プレイヤーにとっては大打撃のチャンスになるし、エキサイトメントに繋がります。
この問題はスキルカードのスキルのシンプル化と、積み増しに制限を付けることで調整しました。スキルがシンプルであれば(例えば「即座にリソース入手」など)思考時間も思考負担も掛かりません。また、積み増しに制限を付けることで、「シンプルなスキルなら積み増し可能」にしました。
要因の二つ目はダイススキルの問題です。開発当初はダイススキルは「ダイスを2つ振って、どちらかの出目か、もしくは合算の結果を選べる」としていたのですが、これだと3通りの出目の結果を検討しなければなりません。3通りの出目があった方が運要素を抑えられるけど、思考負担は大きくなる……。
結論としては、プレイ感を重視して「ダイスを1つ振るか、2つ振って合算にするかを選べる」という形に落ち着きました。これは正解だったと思います。その分、ダイス目をコントロールするスキルカードを増やすことで、運要素を抑える方向に舵を切りました。
そして、三つ目の要因がスキルカードの設置位置です。開発段階のかなり中盤まで、スキルカードは一度設置したら入れ替えできない仕様でした。そうなると、スキルカードを購入後、「どこに設置するか」で思考時間を要することになります。
ここが変わったのがダウンタイム問題解消に至った最大のポイントで、ゲーム会に持っていった時に、「いつでも自由にスキルカードを組み替えできても良いのではないか?」という意見をもらったのです。ダウンタイム問題は「人の手番にもやれることがあれば」解決する時があり、本作においてはまさにそれでした。自分の手番が来るまでスキルカードを組み換えしていればよいのです! これにより戦略の柔軟性も上がり、カードの価値も高まり、良いことづくめ! これは最高の助言でしたね……。
ダウンタイム問題にはかなり苦慮しました。ここには書いていない他の解決法を試したり、他の同種のゲームをプレイしてそれを真似してみたり……。「この問題を解決できないとリリースできないぞ……」という焦りをずっと感じていましたが、最終的には良いところに着地できてホッとしています。
そんな試行錯誤の末に形となった『クソッタレ!! 世紀末モヒカン野郎300匹大行進』は現在クラファン中です。気になった方はぜひチェックしてみて下さい!
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こちらの連載は次回で最終回となります。最終回のテーマは「逆転性と収束性」です。
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