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神父はヴェスパに乗って(レビュー:『ヴァチカンのエクソシスト』)

オススメ度:★★★☆☆

1987年7月――サン・セバスチャン修道院。アモルト神父はローマ教皇から直接依頼を受け、憑依されたある少年の《悪魔祓い》(エクソシズム)に向かう――。変わり果てた姿。絶対に知りえないアモルト自身の過去を話す少年を見て、これは病気ではなく“悪魔”の仕業だと確信。若き相棒のトマース神父とともに本格的な調査に乗り出したアモルトは、ある古い記録に辿り着く。中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判。その修道院の地下に眠る邪悪な魂――。全てが一つに繋がった時、ヴァチカンの命運を握る、凄惨なエクソシズムが始まる――

 評価が難しい作品で、個人的には満足度が低かった。

 良い点で言えば、何と言っても主人公のアモルト神父のキャラが強い。話題になった「ヴェスパに乗って現場に駆けつけるエクソシスト」の絵面も何度も出てきてサービス精神も旺盛だ。

 アモルト神父は現場に着くとまずウイスキーを呷り、ヴァチカンの上層部に呼び出されてもケンカ腰で丁々発止するなど、只者ではない感を強く出している。一方で、冒頭部のエクソシズム描写により強者感もしっかり出しており、「クセの強い無頼漢だが実力は確かで義理堅い」という少年漫画の主人公のようなキャラクター性を早々に確立していた。

 アモルト神父のキャラの強さや、映画全体としての構成の面白さなどはあるものの、それでも最終的な満足度が高くならなかったのは、おそらくだが、

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