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自分軸の作り方#127 さよなら私のハルミちゃん

これは、私と母の物語です。

我が家は兄弟が多く、決して裕福とは言えない家庭でした。
けれども両親の職業柄(宗教法人でした)
いただきものが多かったと思います。

時にはお菓子メーカーにお勤めの方から
某有名キャラクターの顔の形のクッキーが
ひび割れて売り物にならなくなったため
箱でドサッと届いて、
飽きるほど毎日クッキーを食べたこともありました。

私の母の得意技は「横流し」でした。

たくさんギフト品をいただくので、
箱のまま手をつけていないものを
誰かへのギフト品とするテクニックです。

いただいた喜びだけは味わって、
中身を味わうことなく、人にプレゼントするという…
母には自己犠牲が素晴らしいという信念がありましたから、
私も20歳すぎるまでは
貰いものに手をつけることに躊躇する癖がありました。
独り占めなんてだめだめ、
誰かに分け与えなくては…

遠距離恋愛中の人から
果物が実家にドサッと届いたこともありましたが、
実家に来るお客さんに配ってしまって
私の口に一個も入らなかったことがありました。

彼から電話がきて聞かれた時のこと。

彼「味はどうだった?」
私「みんなあげちゃって、私は食べてない…」

彼「えっ…」

あなたに食べて欲しかったんだよ。と
言われるまで
私はそんなに彼をガッカリさせるとは
爪の先ほども思っていなくて

私が味わうことを犠牲にして 
みなさんに喜びを分け与えたことに満足していたんです。

ま、そんなちょっと変わった価値観の家でした。

誰かにもらったものを
他の人に分け与える。
私の母はずっとそうでした。

私が小学生低学年の頃、
姉が2人で、私に誕生日プレゼントをくれました。

ピンク色のドレスを着た
リカちゃん人形のお友達のハルミちゃん人形です。

たぶん、安かったんだと思うのですが、
両方の手に右腕がついていました。

私は自分だけのお人形を手にしたことが生まれて初めてのことで、嬉しかったのですが

お人形遊びをしたことがなかったので
時々手に取って眺める程度で、
積極的に遊んでいるわけではありませんでした。

で、ある時に

両親の宗教関係の子供連れの来客があって、

私の母はハルミちゃん人形を、その子どもに貸してあげたわけです。
私に無断で、です。

そしてあろうことか

「あの子が欲しがっているから、
このお人形、あげてもいいかな?いいよね?」

と言って

初めて来たその子に!!!

そしてもう2度と会うことのない、その子どもに!!!

私のハルミちゃんをプレゼントしたんです!!!

そういう母親でした。

私は長年、この出来事を消化しきれずにいたのですが
やっぱりこれは、消化しないといけないでしょうよ
と思って、

その時の幼い自分の気持ちを思い返して、

自分の母親への罵詈雑言を(心の中でです)
浴びせました。

怒っちゃいけない
悲しんじゃいけない
誰かのために自分を犠牲にすることは美しいことだと

私に刷り込んだ母親。

ハッキリ言って、
ありえないクズヤロー!


そしたら、泣けてきました。

我慢していたんだね。私。
あの時、ヤダー!!
ひどいよお母さん!!!って怒って
泣きたかったんだよね。


生まれて初めてもらった
綺麗なドレスのハルミちゃん。

2度と会えないハルミちゃん。

お姉ちゃんたちから 初めてもらった
お姉ちゃんたちがお小遣いで買ってくれた
大切な大切なお人形。

手放したくなかったよね。
でも、お母さんにそう言えなかったんだよね。


母親にも考えが…とか
母親だって、愛情不足で育ったから…とか
もう、そういうのは、なしにして。


私は怒ってます!
そして、悲しい!!!

でも、
もう過去のことです。


私に大切なことを教えてくれて、
ありがとう、ハルミちゃん。

これからは、
ちゃんとイヤなことはイヤって言うね。

私の子どもたちにも、
イヤなことはイヤって言えるように
育てていこうと思います。

さよなら。

私のハルミちゃん。



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