周樹(小説家)

Amane Itsuki小説家。Webライター。古代史、SF、神話好きですnoteではエッセイを中心に書いてます。 あーだこーだ言われるのが好きです。

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最近の記事

丸の内Bookcon2022 最終日行ってきました🌸✨

サンクチュアリ出版さんでは企画相談コーナーに参加させていただきました。スナックサンクチュアリのオンライン飲み会でお馴染みの方々にお会いできたのは感動でした😊✨✨ やっぱり、対面で話せるのが好きだなあ〜〜🌈✨ その他ぐるっと回らせていただいて、 兵庫明石からお越しのライツ社さんや、幻冬舎さん、中央公論社さん、その他たくさんの出版社の方々とお話ができて嬉しかったです💕 あらためて、自分の人生って本と共にあるなあって実感しました。 早川書房さんのSFアンケートも面白かったなあ

    • 丸の内BookCon2022 !!

      行ってきました! ほんっとうに楽しかったです!なんで今まで行かなかったんだろ〜! それぞれの出版社の編集者さんとお話しできたのもすごく楽しかったです! I looooove this event! I can't believe why I didn't visit this event so far. I could get to talk to each publisher's editors. 興奮しすぎてまだくらくらする😂 岩波文庫の編集長さんとお話ししたりとか、

      • 010 誰もが世界を変えることを考えるが、自分を変えることを考える人は誰もいない。【明石さんのスパイ飯大作戦ーモスクワ編

        --誰もが世界を変えることを考えるが、自分を変えることを考える人は誰もいない。   と、使い古して二股に分かれたほうきみたいな白髭の男が言った。一見不機嫌そうなもさもさの長い眉の奥の瞳はつぶらで愛嬌がある。にんにくの塊みたいな大きな鼻を持つその人はレフ・トルストイ。彼は小説家で、キエフで神学を学ぶ瀬沼格三郎と文通しているのだと言った。  ニコラ通りに出版人やら小説家が仕事欲しさに集まる料理屋があると聞いてきた。わけではなく、たまたま腹が減ってたまたま入った店がそこだった。た

        • 美しきすばらしい世界。What a wonderful world.

          心のうちを五月晴れの田んぼの中にそっとひそめるように、空を見上げて太陽と月を追っていた日々が終わろうとしている。 ひかりは突然やってきて、そっと目の前に降り立つのです。そのうつくしさにとらえられたら迷いなんてなくて、声を出さずにはいられない。 冬を越えやっと見つけた新芽に、あ、と思わずにはいられないように。 ありがとう。 It's the time for me to come out in broad daylight. Why had I been in a rice 

          009 きのこと名乗ったからにはかごに入れ。【明石さんのスパイ飯大作戦ーモスクワ編】

             ピロシキ。ピロシキ。揚げピロシキ。  くん、と鼻をすする。チーズに肉、そして甘酸っぱい香りはシーリウスの言っていた干し葡萄だろうか。ピロシキ食いたさに広い通りを進んでゆくと、レオンチエフと呼ばれる横丁の真向かいに周りと違う面構えでひとを惹きつけている店――  フィリッポフが死んだパン屋は今はパリ風の二階建ての珈琲屋になっていて、思っていたのとはだいぶ違う近代的な建物だった。けれど想像通りだったのは熱いピロシキの箱のまわりに群れるひとびとの嬉しそうな顔。 「はい、おまちっ

          009 きのこと名乗ったからにはかごに入れ。【明石さんのスパイ飯大作戦ーモスクワ編】

          008 モスクワは涙を信じない。【明石さんのスパイ飯大作戦】

           俺、明石元二郎のモットーはひとつしかない。  ”働きながら遊び、働きながら飲む”    飲み屋のあたりはずれ?そんなのはどうでもいい。まずくてもうまくても話のネタにはなる。けれど、どんな店でもひとり床に着いたとき、にやにやできるものがいい。ひとりさむい布団の中でも、群像にまじり飲み屋の卓子でつっぷし眠る夜でも、目を閉じたまぼろしとうつつのはざまで、希望に満ちた明日を夢見られるものがいい。  諜報というのはどれだけその街に溶け込めるかが問題だ。飲み屋で酒を飲み交わして美味い

          008 モスクワは涙を信じない。【明石さんのスパイ飯大作戦】

          【閑話休題】シドニーライリーの諜報飯

           007 旅順より愛をこめて。    シドニーライリー。イギリスの諜報員だ。よく気が触れずにいるものだと思うほど変わり身立ち回りの早い男。数年前まではサンクトペテルブルグの英大使館にいたらしい。卵料理が本当に好きな男で、やつが日本に来たら京都にでも連れて行ってやろう。京都のだし巻きたまごをライリーに食わせたらどんな顔をするだろうか。ともかく、彼の作ったスクランブルエッグは完璧である。    あれは旅順だった。明治三十三年から去年にかけて起きた義和団事件といい、話題にことかかな

          【閑話休題】シドニーライリーの諜報飯

          愛はじゃがいもではないから、窓から投げ捨てることはできない【明石さんの諜報飯大作戦】

            俺、明石元二郎のモットーはひとつしかない。  ”働きながら遊び、働きながら飲む”    飲み屋のあたりはずれ?そんなのはどうでもいい。まずくてもうまくても話のネタにはなる。けれど、どんな店でもひとり床に着いたとき、にやにやできるものがいい。ひとりさむい布団の中でも、群像にまじり飲み屋の卓子でつっぷし眠る夜でも、目を閉じたまぼろしとうつつのはざまで、希望に満ちた明日を夢見られるものがいい。  諜報というのはどれだけその街に溶け込めるかが問題だ。飲み屋で酒を飲み交わして美味

          愛はじゃがいもではないから、窓から投げ捨てることはできない【明石さんの諜報飯大作戦】

           005 飢えは叔母さんではないから、ピロシキはくれたりしない 【明石さんの諜報飯大作戦】

           俺、明石元二郎のモットーはひとつしかない。  ”働きながら遊び、働きながら飲む”   飲み屋のあたりはずれ?そんなのはどうでもいい。まずくてもうまくても話のネタにはなる。けれど、どんな店でもひとり床に着いたとき、にやにやできるものがいい。ひとりさむい布団の中でも、群像にまじり飲み屋の卓子でつっぷし眠る夜でも、目を閉じたまぼろしとうつつのはざまで、希望に満ちた明日を夢見られるものがいい。  諜報というのはどれだけその街に溶け込めるかが問題だ。飲み屋で酒を飲み交わして美味

           005 飢えは叔母さんではないから、ピロシキはくれたりしない 【明石さんの諜報飯大作戦】

          004 風邪は胡椒とウォトカで治す

           仕事が段落がつき、ほっとしたらサンクトペテルブルグの広場の空に、半月がぽっかり浮かんでいた。寒気がする。どこでもらってきたか、風邪をひいたかもしれない。  ぷぅっと煙草のけむりを吐くと寒さで白くなった息が立ち上って湯気のように月を包む。あれに似てる。東京の中華料理屋で食食ったことがある、あの、ほらなんだっけ。小麦粉をこねた皮の中に肉やらねぎやらを入れて……焼いたのと茹でたのがあって。 「なんだっけ」  あの味、あの匂い、形。頭の中にはっきりと浮かんでいるのにどうしても

          004 風邪は胡椒とウォトカで治す

          003 謝肉祭-マースレニッツァ-【明石さんの諜報飯大作戦】

           一九○三年二月。ロシアの寒さは最高潮だ。  つい最近こちらにやってきたかと思ったら、あっという間に年が明けてしまった。家族は、妻の国子はどうしているだろうか。楽しく正月を迎えられただろうか。 「それじゃあ、また」  店の外に出て、パリッとする寒さに手をこすりながら言った。 「また、連絡するわ」  すらっと背の高く、いかにもロシア美人という感じの、切れ長の瞳に金の髪がさらさら揺れた。彼女はそう言ってコートの首元をきゅっと締めると、そのまま通りの向こうに消えて行った。 「明石

          003 謝肉祭-マースレニッツァ-【明石さんの諜報飯大作戦】

          したいかどうかそれだけ。

          なにを食べたい どこに行きたい なにをしたい。 なにになりたい。 それだけ。 それは、必ずしも、頭で考えることと一致しないし、 体が感じてることとも一致しない。 それを選ぶ。 それって、すごい、選択権。 選ぶことができる。 それがすごい。 正しさも間違いも関係ない。 選べるってことが、 ものすごい。 って言うことを、 今日も、 君と出会えた奇跡とともに感じている。

          したいかどうかそれだけ。

          『たのしかったよー』

          家の近くの高校の前を通り過ぎたとき、 高らかに響いた憂いと喜びと照れに満ちた声。 先週末は多くの学校で卒業式が行われていたようだった。 胸に刺した花。 学校の周りの空気はやわらかくあたたかな空気にふくらんでいてね。 私が通った道すがらに、声が聞こえたのだ。 『楽しかったよー』 って。 同時に、高校時代の友達の声が私にも聞こえた。 駅のホームのこっち側とあっち側で 「愛してるよー!」 って叫び合ったあの時。 一緒にいてくれてありがとう。 お前がいてくれたから、

          『たのしかったよー』

          いつだって綺麗事を言いたい。

          空が綺麗だねと言いたい。 風が気持ちよくて幸せだと言いたい。 芸術がいつだって、生きることを勇気づけるものだって信じて作り上げていたい。 真理を知らない。 正しさもわからない。 けど、いつだって、 どうありたいか理想を見つめていたい。 ばかかもしれない。 思春期の頃のまま何も成長していないかもしれない。 それがなんの役に立たないかもしれない。 けれど、、 あー、なんて、なんで、こんなに切ない気持ちになるんだろう。 やっぱり、一人でもこの世界に笑顔の人が増えれば

          いつだって綺麗事を言いたい。

          ありがとう。

          みんな、ありがとう。 出会ってくれて。 みんなありがとう。 あなたの意見を聞けて私は幸せだ。 この世は本当にすごいなって思う。 人間として暮らすのはそんなに容易くないことも多いよ。 けれど、その中で私は自分を知ることができる。 それは時として、心地よくないものかもしれない。 聖者になんてなれない。 嫉妬もするし、自分の間違いも認められないこともたくさんある。 自己嫌悪に陥りながら、 私はそれでもそれに気づけることとか、それを元にして成長できることが嬉しい。 あなたがいな

          ありがとう。

          言葉のもたらす影響について。雑文。

          もし、目が見えなくなったとしよう。 その時に、かぐわしい梅の匂いを感じていたとしよう。 誰かが隣にやってきた。それはおばあさんでもおじいさんでも、子供でも、誰でもいい。 このトップ写真は梅だけど、桜でもいいや。 『この木の下には死体が埋まっているんだよ』 そう言った。 一体、どちらのイメージが私に事実として残るだろう。 事実でなくてもいいか。 どちらが深く刻まれるだろう。 私の場合は、その梅の美しさよりもより深く、 見たこともない、本当かもわからない、誰のものかも

          言葉のもたらす影響について。雑文。