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「何をしたいの」という問いかけに明確に答えられる人は、「実現したに等しい」と経験上断言できる
米粉パン店の起業を目指している人から、私の話を聞きたいと打診があった。横浜のパン店を閉めて長岡へ移住して初めてだ。
米粉を広めるために作った事業だから、ハナから受け入れるつもりでいる。
相談に来た人
30歳前後の女性で、スーパー内のパン屋で半年前から働いている。パン屋を起業しようと思い試験的に働くことにしたそうだ。
何故パン店を始めたいのかと聞いたら、5つくらいの答えが返ってきた。
・子供の頃パン屋になりたいと思っていた
・故郷の田んぼが工場に変わっていくのが忍びない。耕筰放棄地を何とかしたい
・小麦粉のパンが自分の体に負担だ
・会社勤めが合わない
・自然豊かな環境にある親戚の古民家を利用できる
今まで会った起業の相談に来た人たちの傾向から、ある程度の予想はできる。
相談に来た人たちの「その後」
・私の起業から閉店まで運営を共にしたKさんは、最初お店は持たないと言っていたが、楽しそうにやっている私の姿を見ていて起業を決断した。自宅を改装して営業許可を取り、マルシェなどに定期的に出店している。
・私の開業と同じ時期に相談に来たIさんは、マルシェ出店を3年体験した後、田園風景の広がる地にプレハブ店舗を開店し利益を上げている。
・マルシェで出会ったDさんは、テナント誘致の会社に勤めながらスキルを磨き、近々お店を出す予定。
・パン屋で働いていたときに相談に来たOさんは、私の店でボランティアをしながら米粉の知識を得て、マルシェでオリジナル商品販売を続け、昨年お店をオープンした。
・飲食店に勤めていたHさんは、ネット検索で私のHPを見つけ、ボランティアをしながらスキルを身に付け、現在は素敵なカフェで中心的な役割を担っている。
相談に来る経路から見えること
起業してお店の運営が安定した頃から、起業相談の受入を公開した。相談に来る人の辿るケースは4つのパターンに分けられる。
・やりたい内容をネット検索して、私のホームページに辿り着き、メールで打診する
・私の友人を介して面談を申し込む
・マルシェや納品先で知り合っている人が、直接私に打診してくる
・テレビや新聞などマスメディアを見て来る
ネット検索経由の人は、すでに起業を決意して行動を起こしているので、環境が整えば起業までが早い。マスメディアを見て来る人は、思い付きや軽い気持ちがあるので、あっさりと辞めることが多い。何らかの方法で私のことを知っている人は、いつか起業したいとは思っているが、とりあえず概略を知っておきたいくらいの気持ちなので具体化しない。
起業に漕ぎ着ける人の特長
・打診してくる時の連絡の取り方が丁寧でスムーズに進む
・やることを決断している。または将来はやってみたいと思っていて、手掛かりをつかもうと思っている
・行動力がある
・前向きで熱意がある
・下心(安く習う、レシピを盗む)がなく、誠実で好感が持てる
共通するのは、やることを前提にしていること(環境が整ったら行動する)、こまめに連絡・報告してくること
起業実現までの行動パターン(工程)
・面談で何がしたいのかを打ち合わせし、方向性を決める
・厨房で実際に手伝ってもらい、作り方や店舗運営を学ぶ
・マルシェに同伴して、売り方を体験する
・既存商品の真似をしながらオリジナルを試作していく
・(私の厨房で)営業許可を取る
・自身の屋号でマルシェに出店する
・私の人脈を一部使いながら、独自の人脈を開拓する
・自店舗を持つ
ビジョンが描けている人
何がしたいの?どうしてそう思ったの?という問いかけに直ぐに答えられる人は、すでにやる決心ができていて、後はきっかけがあり、タイミングが合えば踏み出せる。選択肢が絞られているので、私も具体的なアドバイスができ、起業までスムーズに行動できる。
参考 決意ができている人
まとめ
・起業相談に来る人には幾つかのパターンがあるが、最初のやり取りで方向性が見える。
・実現した人に共通しているのはやりたいことが決まっている人。
・ビジョンが描けている人は、環境が整えば踏み出せる。
・起業実現までの道のりはほぼ同じである。