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【社長インタビュー】CafeGroupの2024年総括と、新たなビジョンに向けて
CafeGroupは創業13年目を迎えた今年、新規事業「Cafe AI」および「Cafe Engineering」をスタートさせました。また、広報活動の一環としてnoteとX(旧Twitter)を開設するなど、多くの新しい挑戦に取り組んだ1年となりました。
今回は、代表の岸本に2024年の振り返りと来年にむけてのビジョンをインタビューしました。ぜひ最後までご覧ください。
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岸本 浩一 (きしもと こういち)
経歴 :1982年生まれ、兵庫県出身。好きなゲームや映像を仕事にするために、中学時代から絵やCGの勉強を始める。神戸芸術工科大学を卒業後、CGプロダクションに6年間勤務。
2012年に日本初の3DCGモデリング専門会社ModelingCafeを創業し、2014年にAnimationCafe、2019年にはバーチャルヒューマンをプロデュースするAwwを設立。
投資家としても活動し、スタートアップへの投資を続けている。
X: @nikusakana (https://twitter.com/nikusakana)
大きな節目を超えた1年
ー今年のハイライトを教えていただけますか?
AnimationCafeが10周年を迎え、ModelingCafeが13年目に突入しました。大きな節目を超えたことで会社の規模も大きくなり、次の10年をどう成長していくかを考え、その準備を進めた1年でした。
ー具体的な取り組みを教えてください。
今年は、CG制作の枠を超え、エンジニアリングやシステム開発といった新たな分野への取り組みを本格化させた一年となりました。これまでのハイクオリティCG制作の経験を活かしながら、次なる成長を見据え、エンジニアリング技術やAI時代を見据えたアイデアを積極的に取り入れてきました。この取り組みによって、新しい価値を創出するための基盤を築くことができたと感じています。
特に注力したのは、CG制作におけるパイプラインの整備です。効率性を追求しつつ、品質を高める仕組みを構築することで、これまで以上に高度なクリエイティブを実現する体制を整えてきました。将来的には、こうしたパイプラインを自社での活用にとどめることなく、他社にも提供可能な形に進化させることで、業界全体の発展に寄与したいと考えています。
(新規事業発足のきっかけや経緯については以下の記事をぜひご覧ください!)
ー課題を感じたことはありましたか?
エンジニアリング分野(Cafe Engineering)への進出を通じて、異業種のクライアントや多様な職種の方々との連携が増えた一方で、「業界間の溝」を改めて実感する機会も多くありました。
業界ごとにCG制作に関する事情が異なる
アニメやゲーム、映像制作、さらには産業分野といった多岐にわたる領域では、それぞれの工程やニーズ、考え方が大きく異なる。エンジニアリング要素の加わる複雑さ
クリエイターとエンジニアでは使用する技術が異なるため、“共通言語”を見つけることが容易ではない。
CafeGroupは、多くの産業にまたがって事業を展開していることを強みとしています。この多様性と柔軟性により、特定の業界の枠にとらわれることなく、俯瞰的な視点で物事を捉え、新たな可能性を模索することができます。業界ごとに異なる課題にも、新しい視点とアプローチで挑むことで、これまでにないシナジーを生み出す土壌が整いつつあります。
さらに、業種や技術の垣根を超えた協力体制を築くことで、これまでに存在しなかった価値や、革新的なコンテンツを創出するチャンスが大きく広がると確信しています。
「今後は業界や技術の壁を取り払うため、CafeGroupとして積極的に連携を深めていく」
――これが、今年得た大きな学びであり、今後の取り組みの大きな指針となっています。
CG業界の今と未来
ー今年のCG業界全体で印象に残った変化は何でしょうか?
今年、特に印象的だったのは、企業の統廃合とAI技術の進化です。企業の統廃合により、規模拡大や経営効率化を図る動きが加速しています。
この変化は、特に大規模プロジェクトにおけるリソースの集約や、制作フローの効率化に影響を与えています。一方で、小規模なスタジオや独立系のクリエイターにとっては、新たな生存戦略が求められます。
CafeGroupとしても、こうした市場環境の変化を注視しながら、自社の立ち位置をより明確にする必要があると感じています。
もう一つの大きな変化は、AI技術の進化です。AIがクリエイティブの領域に徐々に浸透しはじめたことで、より短い時間で高品質な成果物を生み出せる可能性が高まってきました。しかしその一方で、「作業者的ポジション」とされていた業務がAIによって代替される可能性が高まり、業界内で新たなスキルや役割が求められるようになっています。
だからこそ、CafeGroupではAI技術を積極的に活用しつつ、それだけに頼らない人材育成に力を入れていきたいと考えています。
AIにできない「課題解決型」のクリエイターを育てることで、人間にしかできない独創性や洞察力を強みにした新たな領域を開拓していきたいと考えています。
ーCafeGroupは業界にどんな価値を提供していきたいと考えていますか?
大きく二つあります。まずは「クリエイティブパイプラインの整備」。自社で構築したCG制作のパイプラインを他社にも提供し、クリエイターがクリエイティブに集中できる環境を作っていきたいと考えています。
もう一つが「IP創出」のパイプラインの整備です。これまでもバーチャルヒューマンの「imma」をはじめ、数々のオリジナルIPをグループ内で生み出してきましたが、今後はIP制作のパイプラインを整備し、創出したIPを世界に向けて展開していく仕組みを作っていきたいと思っています。
投資先とのシナジーを狙ったIP拡張
自社で創出したIPをさらに拡張させるため、投資先の選定にも力を入れています。
具体例として、今年投資した「NO MORE」は体験型エンターテイメントを得意とする企業。
デジタルテクノロジーを駆使し、没入感のある体験型コンテンツを開発・展開しており、それらを体験できる空間やイベントを世界規模で運営していく予定です。
こうした投資先とのコラボレーションは、CafeGroupが創出したIPの世界観を広げ、リアルとバーチャルの双方で表現する絶好のチャンスといえます。
ユーザーが“体験”を通じてIPへの愛着を深め、さらなるファンコミュニティを形成できる。
まさに、IP経済圏の拡張に繋がると期待しています。
リーダーとしての成長と学び
ーリーダーとしての成長と学びはありましたか?
とてもありがたいことに、社内では各セクションを任せられる信頼できる人材が着実に増えてきました。これにより、業務全体の効率性と安定感が大きく向上し、各部門がより自立的に動ける体制が整いつつあります。
その結果、クライアントからもこれまで以上に信頼を寄せていただき、安心して仕事を任せていただけるようになりました。
一方で、こうした体制が整ったからこそ、メンバーが自信を持って業務を進めるためには、明確な指針を示し、迷いを取り除く環境を作ることが一層重要であると感じています。
次の10年を支えるメンバーが集まり始めている今、私自身が代表としてどのようなビジョンを掲げ、それをどのように形にしていくのかをはっきりと示す責任があると改めて実感しました。
さらに、このような環境を整えることで、各メンバーが自分の役割をより深く理解し、それぞれの能力を最大限に発揮できる基盤を育むことができます。それは結果的に、組織全体のさらなる成長や、新たな挑戦への原動力となるはずです。
これからの10年を見据え、私自身もリーダーとして進化し続ける必要があります。この変化の中で、自分がどのような姿勢や行動で組織を牽引すべきかを常に模索し、それを実行に移していくことで、より強固で信頼される組織を築き上げたいと考えています。
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2025年に向けたチャレンジとビジョン
ー来年はどんな挑戦をしていく予定でしょうか?
まずは、チーム間の連携をさらに強化することに注力します。CafeGroupには、各分野のスペシャリストが揃っています。これらの人材が持つ強みを最大限に活かすためには、部門間の連携を一層深め、共通のゴールに向かって一体感を持って取り組む体制を整えることが不可欠です。単なる分担作業に留まらず、各チームが相互に補完し合うことで、より高品質な作品やプロジェクトを生み出せる可能性が大きく広がると確信しています。
この目標を実現するため、組織構造の次なる進化を検討しています。これまで専門性の高いチームが独立して業務を進める場面が多かった一方で、今後はそれぞれのチームが連携し、より高難度で規模の大きいプロジェクトに対応できる体制を構築します。その際、組織体制の見直しだけでなく、システムやパイプラインへの戦略的な投資も進める予定です。
また、技術や知識を共有する場を積極的に設けることで、新たな発想や視点を取り入れる機会を増やします。たとえば、定期的な社内ワークショップやプロジェクトごとの振り返りミーティングを実施し、部門間の垣根を取り払い、情報共有や協力を促進します。このような取り組みによって、各分野の専門性を超えたシナジーを生み出し、プロジェクト全体の完成度をさらに高めていきます。
さらに、社内外で活用可能なクリエイティブパイプラインの開発にも力を入れます。このパイプラインは、作業の効率化にとどまらず、制作プロセス全体の透明性や再現性を向上させることを目指しています。これにより、チーム間でのスムーズな情報共有が可能になり、外部パートナーやクライアントとのコラボレーションもより円滑に進むと思います。
最終的には、このパイプラインを自社内だけでなく、外部の企業や個人クリエイターにも提供することで、業界全体の効率化やクオリティ向上に寄与したいと考えています。
ー次の10年に向けたCafeGroupの姿を教えてください。
これまで構築してきた専門チーム同士の連携をさらに強化し、エンターテインメント分野だけでなく、産業や教育、医療といった幅広い分野におけるクライアントのニーズにも応えることで、クリエイティブな価値を最大限に引き出す仕組みを構築したいと思っています。特にAI技術の進化がさまざまな業界に与える影響を踏まえながら、柔軟に変化に対応し、クライアントやユーザーが抱える課題を解決し、「こんなソリューションが欲しかった」「こんなコンテンツで遊んでみたい」といった希望を形にすることで、面白く楽しい未来を創造する組織へと進化する必要があります。
また、CafeGroupという名前には、「カフェのように気軽にクリエイターや専門家が集まり、業界の垣根を超えて価値ある作品生み出す場でありたい」という理念が込められています。この理念は、グループ内の連携だけでなく、エンターテインメント業界に限らず、産業界や教育界など、さまざまな分野の人々との交流にも広げていきたいと考えています。
現在、社外の方々を招いたミートアップを定期的に開催していますが、これをさらに拡充し、異なるバックグラウンドを持つ専門家同士が出会い、新たな発想やコラボレーションを生む機会を増やしていきます。
こうした場を通じて、業界や技術の垣根を越えたアイデアやプロジェクトが生まれる土壌を育み、CafeGroupがクリエイティブの力で新しい価値を常に生み出し続けることができる存在へと進化することを目指しています。
さいごに
ー今年CafeGroupを支えてくださった皆さんへ、一言お願いします。
今年も多くのプロジェクトに挑戦する中で、作品の規模がこれまで以上に大きくなり、難易度の高い案件にも数多く取り組みましたが、社員をはじめ、パートナー企業の皆さま、そして多くのステークホルダーの皆さまが支えてくださったおかげで、数々の成果を生み出すことができました。
これらは、CafeGroupがさらに成長し、次なるステージへ進むための大きな土台となると確信しています。
特に、CafeGroupは他のCG会社とは異なり、新規事業の立ち上げや戦略的なスタートアップ投資にも積極的に取り組んでおり、こうした挑戦を続けられるのは、社員の努力はもちろんのこと、パートナー企業やクライアント、さらには応援してくださる全てのステークホルダーの皆さまのご理解とご支援があってこそです。
皆さんのご理解とサポートなしにこれほど短期間で多くのチャレンジに取り組むことはできませんし、今のCafeGroupも存在し得なかったと思います。
これからも「クリエイターが軸となり新しい価値を提供しつづける」という想いを胸に、さらなる進化と成長を目指します。
引き続き、皆さまの温かいご支援とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
CafeGroupは日本最高の3DCGコンテンツを制作するクリエイティブスタジオや、投資先のスタートアップ群で構成されています。
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