スカタライツ(スカ、ロックステディの歴史②)
スカの誕生
スカ草創期から活躍するギタリスト、アーネスト・ラングリン(Ernest Ranglin)。彼のインタビューが、Guitar Magazine(2017年9月号)「ジャマイカ:楽園のギタリストたち」に載っており、そこでスカ誕生秘話について語っています。
スカはコックソン・ドッド(ジャマイカの重要プロデューサー)が設立したスタジオ・ワンで、セオフィラス・ベックフォード(vo,p)が最初のレコーディングを行なった日に生まれたんだ。彼が歌った独特なビートの「Easy Snappin」がスカの最初の曲だね。
スタジオ・ワン(Studio One)は、デューク・リードが設立したトレジャー・アイル(Treasure Isle)と並ぶ、スカ、ロックステディ時代のジャマイカの2大レーベルの1つで、数々の名曲がここで録音されました。
こちらが、その「Easy Snappin」です。
シンプルな曲ですが、ここからスカ、ロックステディ、そしてレゲエと続くジャマイカ音楽の歴史が始まったと考えると、感慨深いものがありますね!
スカタライツ結成
1962年、ジャマイカはイギリスから独立しました。
アップテンポな音楽であるスカは、独立を祝う気持ちにピッタリで、一気にジャマイカ音楽シーンを席巻していきます。
そんな中、1963年、コクソン・ドッドがスタジオ・ワンでのレコーディングのため凄腕ミュージシャンを集めました。
こうして結成されたのが、スカタライツ(The Skatalites)です。
まずは、スカタライツによるジャマイカ独立賛歌「Freedom Sounds」をお聴きください!
続いて、名著「スカ・ディスク・ガイド」によると、”スカを聴くならこの1枚からと決まっている”というアルバム「Ska Authentic Vol.1」から2曲をご紹介します!
「President Kennedy」
「Bridge View」
僕もこのアルバムで初めてスカタライツを聴き、カッコよさに打ちのめされました。改めて聴くと、あの時の感動がよみがえりますね~
ドン・ドラモンド(Don Drummond)
スカタライツの代表的メンバーは、ドン・ドラモンド(トロンボーン)、ローランド・アルフォンソ(サックス)、トミー・マクック(サックス)、ジャッキー・ミットゥー(キーボード)の4名です。
中でも、ドン・ドラモンドは、アップテンポでワイルドなカッコいい曲(キラーチューン)を数々作り、スカの時代を牽引していきました。
では、この2枚のドン・ドラモンドの名盤から、数々のキラーチューンをご紹介したいと思います!!
「Eastern Standard Time」
「Confusious」
「Heaven and Earth」
「Down Beat Alley」
「The Reburial」
「Occupation」
ご紹介した曲以外にも、スカタライツはたくさんの名曲を作っており、それら名曲を集めたコンピレーション・アルバムがいろいろとあります。
スカタライツ解散
ジャマイカ音楽史上に残るバンド、スカタライツの活動期間は非常に短く、結成から2年後の1965年には解散してしまいます。
これは、ドン・ドラモンドが原因でした。
実は、ドン・ドラモンドは元々精神を病んでおり、これらの名曲を録音している間も精神科病院に入退院を繰り返していました。そして、なんと1965年の元旦、ドン・ドラモンドは恋人を殺害してしまうのです。
裁判で触法精神障害者と判断され、精神科病院に入院となったドン・ドラモンドは、入院からわずか4年後の1969年、37歳で他界しました。遺体は、貧民街の墓地に、墓標なしで埋められたとのことです。
ドン・ドラモンドが姿を消すとともに、スカの時代は終わりました。
スカよりもっとメローな音楽、ロックステディの時代の到来です。
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