ブラック・ユーモアの影にある現実「フライデー・ブラック」
文学ラジオ第38回の紹介本
「フライデー・ブラック」
ナナ・クワメ・アジェイブレニヤー 著
押野素子 訳
駒草出版
今回は第7回 #日本翻訳大賞 の最終候補5作を紹介していく第二弾。
ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤーは1991年生まれのアメリカの作家。規格外の新人として注目を集めています。デビュー短編集はアメリカにおける黒人社会を痛烈な風刺と共に描き、様々な問題を浮き彫りにしています。
昨年世界的に波及したBlack Lives Matter運動の流れの一冊でもあります。軽快に読めるフィクションですが、強烈に現実を目を向けさせてくれました。
「フィンケルスティーン5」では理不尽な事件にブラックネスが爆発し、「フライデー・ブラック」ではショッピングモールの客がゾンビ化し、「ジマー・ランド」では正義の名の下殺人を擬似体験できるテーマパークがあり…ブラック・ユーモアで描かれる日常に潜む歪みと暗い未来。おもしろいし、重いですが、忘れられない一冊になりました。
本書のあらすじ
現代に生きるアフリカ系アメリカ人につきまとう暴力と理不尽さを描いて鮮烈な印象を残す「フィンケルスティーン5」、大量消費社会のグロテスクな姿をホラー的感覚でブラックユーモアたっぷりに描いた表題作「フライデー・ブラック」などの短編、全12編を収録。
新人作家としては破格の注目を集め、一躍アメリカ文学界の最前線に立つ一人となったナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー。その視線は、ローカルな日常から近未来的なディストピアを照射し、全人類に根源的な問いかけを挑む。
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