究極の読書小説「冬の夜ひとりの旅人が」(文学ラジオ紹介本)
文学ラジオ第30回の紹介本
「冬の夜ひとりの旅人が」
イタロカルヴィーノ 著
脇功 訳
白水社
〈あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている〉という書き出しから始まる型破りな小説。作中には10本の小説内小説が挿入され、主人公の男性読書とともに読者(ややこしい)も物語に翻弄されますが、それがとにかく楽しいです。文学の魔術師、イタロ・カルヴィーノの代表作。究極の読書小説。
一方、おもしろいものの挫折しやすい小説でもあります。ミエは約350ページ読むのに10時間以上かかりました。案内役二人でどうすればこの小説を挫折せずに読み進めていけるのかも話しています。
本書のあらすじ
あなたはイタロ・カルヴィーノの新作『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている。しかしその本は30頁ほど進んだところで同じ文章を繰り返し始める。乱丁本だ。あなたは本屋へ行き交換を求めるが、そこで意外な事実を知らされる。あなたが読んでいたのは『冬の夜ひとりの旅人が』ではなく、まったく別の小説だったのだ。書き出しだけで中断されてしまう小説の続きを追って、あなた=〈男性読者〉と〈女性読者〉の探索行が始まる。大学の研究室や出版社を訪ね歩くうちに、この混乱の背後に偽の本を作り続ける翻訳者の存在が浮上するのだが……。
様々な文体を駆使したメタフィクションの手法を用いて、「あらゆる本を書く」という不可能事に挑み、読書という不思議ないとなみ、その至上の歓びを謳いあげる〝文学の魔術師〟カルヴィーノによる究極の〈読書〉小説。
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ラジオ案内役の二人
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