幻想的ドキュメンタリー「古代都市シャフレ・スーフテ」
東京イラン映画祭の最終日(3日目)。アフガニスタン国境近くの荒涼とした土漠で発掘が進められるシャフレ・スーフテ遺跡の発掘の様子を、当時の古代都市の人々の暮らしを再現する映像を交えて紹介するドキュメンタリー。
発掘に参加するイタリア人考古学者なども登場。地の果てといいたくなる場所で国際的な研究が行われている、ということにまず驚いた。
研究でおぼろげながら分かってきた、古代都市の実像も興味深い。映画によると、この古代都市には、住民の間に強い上下関係がなく、多重的・並列的にネットワークで結ばれていたという。イタリア人考古学者は、「ヘテラルキー」という言葉を使っていた。武器で傷つけられた遺体も見つからないことから、戦いのない平和な社会だったとも推測する。
そうした学術研究の成果を、幻想的な再現映像も交えて紹介する、という手法が興味深かった。
上映後には、明治大学で日本映画・イラン映画関係史などを研究するイラン人、ザーケリー・ゴドラトッラーさんと、長年イラン映画を研究する鈴木均さんの対談トークがあった。
ザーケリーさんは、日本・イラン合作映画の歴史を総ざらい。イラン革命前に制作された高倉健主演の「ゴルゴ13」などについても触れた。
鈴木さんは、1979年に起きたイラン・イスラム革命当時の、革命指導者ホメイニ師のドキュメンタリー映像などを紹介しながら、現在のイラン映画は、イスラム革命抜きには語れない、と強調していた。
2人の話は、個別作品の論評ではなく、イラン映画全体を俯瞰した内容で、どちらの話も面白かった。
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