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甘味好きのワンダーランドをめぐる…岡崎伸也さんトーク④(お菓子編)=おわり
岡崎伸也さんのトルコ料理トークの紹介も、これで最終回。お菓子編となる。ここでは、見出しにした料理名については、なるべく日本語に翻訳して書いてみた。ところが、お菓子について書き進めるいたところ、お菓子については、日本語に置き換えるのが難しいものが多いことが分かった。それだけユニークで、多言語での説明が難しいということなのだろう。確かに、ロクムは「ゆべし」とか、バクラヴァは「パイ」とか、そんな言い換えもよくみられるが、何かしっくりこないのだ。
まあ、可能な範囲で日本語に置き換えてみて、まず無理だ、というものについては、そのまま、岡崎さんが採用しているカタカナ表記で紹介していく。
ノアの箱舟プリン
アシュレといい、太陰暦の1月10日に食べる。麦、米、豆、フルーツ、ナッツなど数十種類の材料を入れた、「お汁粉みたいなもの」だという。いろいろな食感を楽しめるデザート。
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アダナのお菓子屋の風景
トルコ東南部アダナには、歩道に沿ってお菓子の露店がたくさんあるという。写真の店には、すべてシロップ漬けのお菓子が並ぶ。手前にある紙を使って、つまんで、お金を払う前に、まず食べる。気軽な食事システム。
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カトメル
ガジアンテップの名物。ピスタチオをふんだんに使う。薄い生地が層になっていて、表面はカリカリ、底はしっかりとしている。
※ガジアンテップで食べた。これを一つ食べきるのは大変。トルコ人は平気な顔でたいらげていた。
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カルン・スクマ
バクラヴァの一種、といえば一種。表面パリパリ、サクサク。かむと生地がガラスのようにパラパラと砕けるという。芸術的といえる。岡崎さんはチョルム県で食べたそう。
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キュネフェ
カダイフという線状の麺を使う。シロップ漬け。アイスクリームや乳脂肪がのっていることがある。東南部ハタイ地方では、大きなトレイに作り切り分けるスタイル。
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ギュラッチ
コーンスターチが入っている。中にはクルミ。牛乳にひたしている。1日の断食終了時の夕食によく食べる。ローズウォーターが入っている。
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甘いピデ(ターヒンリ・ビデ)
ターヒンとはゴマペーストのこと。岡崎さんは、著書で「きなこ黒蜜ピザ」と表現している。
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ドヴメチ
乾燥クワの身とクルミを臼でたたき、固める。かなりねっとりしている。エルズィンジャン県で食べたそう。
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ドンドルマ(トルコアイス)
切って食べるのが本場。東南部カフラマンマラシュが発祥。羊のミルクを使い、サーレップを入れることで粘り気が出る。サーレップというドリングが冬に固った偶然から考案されたとの説あり。
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バクラヴァ
岡崎さんが、ガジアンテップの老舗「イマーム・チャーダシュ」で作り方を見学し、著書で紹介している。それぞれの工程にプロが配置されている分業制。今までで一番おいしいバクラヴァだったと岡崎さん。上あごにパイ層上部が来るように、さかさまにして食べるのがおいしい食べ方だという。
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貝型のバクラヴァ
きょうのトークでお出ししたバクラヴァは、貝の形をした「ミディエ・バクラヴァ」。家庭的な感じで、素朴な感じのもの。
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塩クッキー
スーパーでよく売っている。お茶うけにいい。ほかには、リンゴクッキーもメジャー。
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ロクム(ターキッシュ・ディライト)
トルコみやげとしてあまりに有名。写真のものは、中に水牛の生クリーム(マンダ・カイマック)が入っている。岡崎さんが、黒海地方サムスン県バフラで食べた。
※組み合わせ、かけあわせの妙
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ライスプディング
写真は焼いたもの。コーンスターチ、卵、レモン汁を入れ、少しづつとろみをつける。家庭でも作っている。
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ハルカ・タトゥルス
スペインにあるチュロスのようなお菓子。南東部アダナにて。
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カボチャとゴマペースト(カバック・タトゥルス)
「僕もはまった」と岡崎さん。
※南東部アンタキヤで食べた。かための食感、日本のカボチャ料理とはまた違った、味の引き出し方。ゴマペースト(タヒーニ)との組み合わせも絶妙。
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ペイニル・へルワス
無塩のチーズを熱してとろとろにして、卵黄、砂糖などを入れ練り上げる。西部テキルダーの代表的なお菓子のひとつ。アドゥヤマン県、チャナッカレ県、バルケスィル県などにも似たようなお菓子があるという。
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マームル
南部メルシンの名物の焼菓子。セモリナ粉を使い、皮につぶつぶ感がある。中にはなつめやしやクルミのあん。アラブ圏から伝わった。
※アラブ菓子としてもおなじみ。
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とということで、岡崎伸也さんが、約2時間にわたるトークショーで紹介した料理のだいたいすべてを紹介した。岡崎さんの著書「食で巡るトルコ」には、この何倍もの料理が詳しく紹介されている。みているだけで、トルコに引き込まれてしまう、とても素晴らしい本。みなさんにも、ぜひ一読をすすめたい。(完)
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