トルコ南東部を行く⑤--国や地域で微妙に異なる料理を楽しむ
トルコ南東部アンタキヤでの最初のディナーは、はじまりの冷前菜からとてもすばらしいものだった。次は、やはり温前菜ということになるが、歴史的シリアの歴史ある都市であるアンタキヤでは、イチリキョフテということになるだろう。
イチリキョフテは、シリア料理ではケッベと呼ばれて、やはり温前菜の代表。いってみれば肉コロッケ。衣にひきわり小麦ブルグルが入っていて、クリスピーな食感も楽しみのひとつ。イチリキョフテは、トルコ全土で食べられるのだが、アンタキヤ、ハタイ地方のものは、面長なラグビーボール型なのが特徴だ。
シリア・レバノン料理でも定番中の定番なので、これまで何度も食べてきたのだが、胴体が長いと衣の面積が大きいので、他のイチリキョフテやケッベに比べて、カリカリ感が大きい感じだ。
この以前のつぶやきをみると、イチリキョフテ(ケッベ)の形のバリエーションの多さが分かると思う。
冷前菜、温前菜ときて、次はサラダ。
トルコでサラダ、というとチョバン(羊飼い)サラダと呼ばれるものが真っ先に思い浮かぶ。
アンタキヤのチョバンサラダに、特別な特徴はなかったと思うが、トマトやキュウリのキューブがやや大きめだったこと、イタリアンパセリも入っていたことが目についた。この料理も、アラブ圏では「オリエンタルサラダ」、イランでは「シーラーズサラダ」と呼ばれる同類のものがある。各国、地域での違いを比べながら食べるのも楽しい。
さらに、サラダをもう一つ頼んだ。ルッコラのサラダ。トルコではロカといい、他の中東諸国と同様、ポピュラーな野菜だ。
ここのロカサラダ、ドレッシングが南東部の特産でもあるザクロソースで、スマックがたっぷり混ぜ合わせられていた。どちらも果実に由来する酸味を特徴とする調味料。好みでレモンを絞るもよし。酸っぱいもの好きにはこたえられないサラダだ。