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かつてのイラン映画らしい緩やかな作風...『ロクサナ』

今年の東京国際映画祭に出品されたイラン映画の中で、もっともイラン映画らしい作品という印象だった。切ないストーリーではあるものの、あまりどぎつい感じではなく、テンポが早い作風でもなかったからだろうか。
結婚式の写真・動画撮影事業を興した20歳代女性苦闘を描いているが、最初は、やや焦点がどこにあるのかわからない「とりとめがない」感もある展開。ただ、どこに向かって進んでいくのか分からないところが、逆に、かつてのイラン映画らしい、と感じた。うまく言えないのだが、最近の一部のイラン映画の、息をつかせぬ展開とは違う、ということ。

イラン人の週末の遊び先である「北」(カスピ海沿岸地方)と、テヘランからそこまでの道のりがひんぱんに登場するあたりもかつてのイラン映画風。緑と水の風景が目にまぶしく、映像的にも楽しめる。

現代イランの都市部での若者文化の一端も描かれていて、なるほどな〜と思うことも多かった。いろいろな意味で、見て損はない作品だと思う。


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