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20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑥

カフェバグダッド草創期の話はつづく。六本木のバーや、目黒のホテルのラウンジでも水たばこが出されていて、シーシャ普及の時代到来を感じさせた。話の後半は、比呂さんが中東を好きになったきっかけに話題が移る。失恋直後に向かったイエメンが、人生を変えたのだという。

 カフェバグダッド・イベントを始めた2004年頃には、下北沢の「シーシャ」のほかには、六本木には「ボンバーシーシャ」というバーみたいな店も水たばこを出していた。六本木交差点の近くに。あと、目黒の目黒通り沿いにあった、「クラシカ」というホテルのラウンジみたいなところもシーシャを出していた。

比呂 水たばこの本も出ましたね、その頃。

 そう、出た出た。

比呂 だから、その頃、水たばこが少しはやったんだよね。

 うん、はやった。なんでだったのか、よくわからないけど。前の年からイラク戦争が始まって、日本で中東への関心がある程度高まったことが影響している可能性もあるかも。
まあ、このカフェバグダッド初期の頃に、来てくれていた人たちが何人か、今回のこのイベントにも来てくれていて、継続性、というか、まあ、地道に続けていてよかったな、とは思っています。あの頃は、イベントもネット予約とかできなかったので、電話か、メールという時代ですからね。

比呂 うん、メールだった。あと、ブログが使われはじめていたよね。私も、最初、ブログに連絡したんですよ、カフェバグダッドのブログに。

 なるほど、あの頃、ブログが使われ始めましたよね。カフェバグダッドのブログは、設立とほぼ同時にはじめて、カイロ駐在時に撮った写真に、簡単な説明をつけてアップしたりして、結構熱心にやってました。

比呂 あと、あれか、ミクシィ。

 そうそう、ミクシィ。なつかしい(笑)。コミュニティ作ったりして、そこで情報発信をしてました。その頃、比呂さんは、今も集めている世界の肖像画のこととか、ミクシィで紹介したりしていなかったんですか?

比呂 うーん、まあ、日々食べたものをアップしたりとか、そんな感じだったかな~あとそういえば、世界の郷土料理研究家の青木ゆり子さんが、e-food.comというサイトを始めていて、それを見つけて速攻で連絡とったんです。「私もこういうの、食べたいんですよ~」とか言って。

 へえ、そうだったんですね。

比呂 あと、ミクシィのカフェバグダッドのアイコンが、アラブ人が水タバコを吸っている写真で、それが面白かった。私もイエメンの写真をあげて、イエメンはこんな感じです、とか言ったりして。

 あのアイコンの写真、サウジアラビアに行った時に、世話になったサウジ政府の職員の写真だったんですよ。取材の監視役みたいな。私が「水たばこ行こう、行こう」としつこく言っていたら、最初は乗り気じゃなかったけど、行ったら行ったで、巨大なシーシャ器械で吸って楽しんでいた。なつかしいなあ、あのサウジ人、元気かな~

比呂 顔が、なんかイケメンだった…

 よく覚えてますね

比呂 中東大好きですから! 最初に好きになったきっかけは、小学生の時にみたヒッチコックの映画「知りすぎた男」なんですよ。フランス統治時代のモロッコが舞台で、クスクスを食べる場面があって、主人公がクスクスに乗ったチキンを左手で食べようとするんだけど、「不浄の手だ」といわれる場面があるんです。それがすごく印象的で。

 モロッコは、欧米の映画の舞台によく使われるよね。「カサブランカ」はハリウッドで撮影されたけど、ロケ地ということでいうと、「アラビアのロレンス」は一部モロッコで撮影されたはず。

比呂 まあ、イスラム圏でいうと、モロッコは何かと撮影しやすかったんでしょう。街に古い建物も残っていて、けっこう雰囲気がいい場所があるから。

 確かに、そうですよね~

比呂 あと、イエメンにひかれたのは、NHKテレビの「海のシルクロード」をみたのが大きい。カートをやっている場面があって、「あれは何だ!」と思って、1999年に実際にイエメンに行くことになる。このころも、イエメンは結構危ない、といわれていて、なかなかいく決心がつかなかったんだけど、その頃、大失恋をして、「もう死んでもいいや」と思って、イエメンに向かった。行って本当によかったと思う。人生、イエメンに行って変わりました。イエメンって、みんながハッピーに生きているから、自分もハッピーになって戻ってきた。1か月で価値観が完全にひっくり返る、という経験だった。

 「比呂さん、イエメンで再生する」だったわけですね。この話は、また改めで詳しく聞きたいな~

比呂 食べ歩きをがんがんするようになったのも、その後からなんです。当時働いていたニューヨークで。

 もう、人生のターニングポイントですね。ドキュメンタリー番組になるかも。

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カフェバグダッド
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