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日本で食べるマクルーバ⑥千葉・柏「ミナ・レストラン」
2023年もいよいよ年の瀬。12月2日に、東京・中井から始めた、アラブの炊き込みご飯マクルーバの食べ歩きも、今年はこれで最後になる。千葉県柏市のミナ・レストランに行った。埼玉から、行きは武蔵野線を利用、帰りは東武野田線を利用。どっちで行っても、結構遠くて、北関東の東西の公共交通機関のアクセスの不便さを実感する。
さて、そのミナ・レストラン。インド・コルカタ出身でドバイやバーレーンで料理人だったシャウカトさんがシェフを務める。茨城県坂東市のパキスタン料理店「レッツイート」のシェフもそうだったが、湾岸アラブ諸国で料理人だった南アジアの方が、日本でアラブ料理の腕もふるうという事例が結構目立つ。そういえば、千葉県富里町のアラブ料理店「ロイヤルアラビアン」もそうだった。
日本に住むアラブ料理好きとしては、とてもありがたいし、外国人料理人の移動パターンとしても興味深いと言えそう。
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今回の食べ歩きは、8人でスタート。中東や南アジアのコメ料理に関心を持つ人は意外に多く、今回も、SNSで連絡をくれて初参加、初めて会うという人が2人いた。そうした同好の士との交流も楽しい。
マクルーバは、大鍋でひっくり返さずに、大皿3つに分けてもってきてくれた。大量に作ってくれていたので、ひっくり返すのは至難の業だったかも知れない。長粒米にスパイス控えめの優しい味つけ。羊肉が、骨付きも含めてゴロゴロ入っていた。驚異的な肉の量。採算を度外視していないか? 野菜はナス、じゃがいも、ブロッコリーなど、こちらもたっぷり。
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前菜はホンモス(フムス)。ゴマペースト「タヒーニ」の味があまり感じられなかったが、これはこれでおいしかった。酸味のきいたユニークな味。薄型パンは柔らかな食感。サラダは大根、ニンジンも入っている大盛りだった。
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前菜のあとに、シシ・タウークという鶏肉の串焼き。つけだれで、時間をかけて、味つけされたようだ。おそらく、玉ねぎ、ヨーグルト、ニンニクあたりだろう。「これはインド料理ではなくアラブ料理です」とスタッフが再三言っていた。インドのタンドリーチキンとは違うと強調したかったのだろう。
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デザートは、中東菓子バクラヴァ。シロップは多めだが、生地のパリパリ感が特徴的だった。実はこの店、首都圏有数の、バクラヴァ製造所としても知られる。都内のあちこちで、ここで作られた、アジアや中東のパック菓子が売られているので、食べことがある方もいるかも知れない。
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こんな感じでいただいた、南アジア料理店で食べるアラブ料理。シェフや店員さんの出身地、インド・コルカタの味や流儀を封印して、すべてアラブ式で通してくれたことがありがたい。高いプロ意識を感じた。最後もアラブ式のミントティー。生ミント葉を使っていた。
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最後になるほど、と思ったこと。店の入り口に置いてあった灯油ストーブに鍋がのっていて、あ〜クミンだな、とわかった。店員さんが説明してくれたところでは、クミンティーというもので、インドでよく飲まれるそうだ。一杯いただいたら、クミンの香りや風味をそれほど強くなく、マイルドなハーブティーといった感じ。水を足せば、いくらでも飲めると言っていた。食材店で大量買いして、家に眠らせてしまっているクミンがある人は、試してみてもいいかも知れない。
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この「ミナ・レストラン」、東武野田線(東武アーバンパークライン)の増尾駅から徒歩10分弱の住宅街の中にある。普段は、南アジア・中東菓子の製造に注力していて、1階食堂が、各地に出荷するお菓子で占拠されている可能性もある。食事に行く際は、事前にレストラン営業しているか、確認することをおすすめする。
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では、みなさま、よいお年を!
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