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折にふれて思い出すこと…3匹のエジプト猫きょうだいとの出会い

もう10年以上も前。2014年7月の暑い日の朝、エジプトの首都カイロのナイル川の中州、ゲジーラ島の路上で捨てられていた3匹の猫を保護した。それぞれ喜美、寛平、小梅という名前をつけた。果物かごの中ですやすや眠っていた3匹を見つけた瞬間、猫たちのその後の数奇な運命が決まったのかもしれない。

喜美は、政治家(渡辺喜美)の髪型に似ていたことから命名。小梅は鼻が小さな梅干しのようだったため、寛平は関西の芸人に似ていると感じたことから名付けた。当時住んでいたカイロのアパートで育てることにした。缶入りの粉ミルクを哺乳瓶に入れて与えると、何とか飲むようになった。

この年のカイロは例年にない猛暑で、時折体調を崩すこともあったが、3匹の子猫たちは元気に育っていった。成長するにつれ、猫たちの個性や特徴がだんだん明らかになっていった。捨て猫だったので、本当にきょうだいかどうかは分からないが、彼らの絆は強く、互いに寄り添いながら過ごしていた。

2016年春、日本に帰ることになり、3匹も一緒に連れて行くことにした。テヘランに住んでいた2010年冬に保護した元野良猫にゃーこと、カイロの路上でひん死状態だったのを保護したシロを加えた計5匹。この日本帰国の旅は「史上最大の作戦」と呼ばれるほど大がかりなものだった。

エジプトから成田空港に到着した猫たち

ルフトハンザ航空便を利用し、フランクフルト空港でトランジットを経て、約24時間の長旅の末、無事に成田空港に到着。動物検疫も問題なくクリアした。

日本にやってきた3きょうだい

そうして今も、3匹のエジプト猫は日本で暮らしている。もうエジプトの土を踏むことはないかもしれないと思うと、少し気の毒な気もする。だが、彼らが野良猫として無事成長したとして、あのカイロの街の過酷な環境で、どれだけ生きながらえることができたかは、わからない。私にとっては、彼らとの日々が、たくさんのの喜びと癒しをもたらしてくれている。エジプトがくれた宝物といってもいい。10年前の夏のことを思い出しながら、時々そんなふうに感じる。

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