カフェバグダッド年代記⑥-アラブとイランの詩と音楽
カフェバグダッド活動の年代記。2007年はイベントをひとつも開催しなかった。理由はもう記憶にはないが、おそらく、勤務地が、北関東の県庁所在地から東京本社になり、いろいろ忙しくなって、イベントを開く余裕がなくなったためではないかと思う。東京に引っ越したのだから、逆にやりやすくなったんじゃないのか、と言われそうだが、まあ、そんな感じだったと思う。明けて2008年、この年の夏には、私は日本からイランに異動になる。その前の4月に、おそらく過去で最も盛況だったイベントを実施する。
2005年のイベントでゲストとして登場していただいた、文筆家の師岡カリーマさんと、アラブの弦楽器ウードの奏者の常味裕司さんの二人によるイベント。カリーマさんがアラビア語の詩を朗読。さらに「アラブ人からみたアラブ音楽」とはどういうものなのかを解説。常味さんはさまざまなアラブの曲を演奏してコラボレーションする、というものだった。
参加希望者がかなり多くなることを予想し、渋谷の映画館「アップリンク」の一番ホールを借りた。おそらく今は改装されて変わってしまったが、定員が100人ぐらいのホールだったと思う。ちょうどこのイベントの直前、カリーマさんが「イスラームから考える」と題した著書を出版したこともあり、イベント終了後、本にサインを求める参加者の行列がずらりできたのにも驚いた。
そして、私がイランに旅立った後の12月にはイランの音楽と詩をテーマにしたイベントを行う。それまで一緒にイベントを企画・運営してきた水野香里さんが切り盛りした。
イランの詩文学を研究する鈴木珠里さんと小野寺菜穂さんが詩の朗読や解説
。イランに留学してセタールなどの弦楽器を学んでいた北川修一さんが演奏した。会場は池袋のイラン料理店「ペルシャン・ダルビッシュ」。こちらはは私は参加していないので、詳細は分からないが、かなりの盛況だったと、後から聞いた。
私のイラン滞在は、2011年春のまで続く。2009年から翌10年にかけて、e-food.comの青木ゆり子さんとのコラボレーションで、「東京アラウンド・ザ・ワールド・プロジェクト」というイベントを計4回開催。世界の郷土料理を研究する青木さんのアイデアもあり、トルコやアラブの料理教室も取り入れた、さらに多角的な企画に進化をとげていく。この辺は、青木さん自身から、改めて詳しく振り返ってもらう機会を作りたいと考えている。
東日本大震災という未曽有の事態で日本が混沌とする中、私は異動でイランから帰国。ふたたび東京本社勤務となるが、それまでのスタイルのイベント(私は「カフェバグダッド・イベント」と呼んでいる)は、行っていない。
だから、2004~2010年は、カフェバグダッドの「第1期時代」と位置づけたい。数年の休眠期間を経て「第2期」が始まるのは、2014年となる。それについては次回に譲りたい。