温かいカフェでの語らいをもう一度…mixi2スタートのニュースを聞いて
「日本初のSNS」という言葉を聞くと、まず思い浮かぶのは「mixi」だ。2000年代の半ば、あの頃のインターネットは、ギスギス、殺伐としたシーンをよく目にする今とは違い、どこか手作り感と温かみのある、まさに「カフェ」のような場所だった。mixiはそうした雰囲気を持つツールの代表格といえた。
アラブカフェ好きの交流の場を目指していた「カフェバグダッド」としても、いちはやくこのSNSの波に乗った。本名ではなく、ハンドルネームで自分を表現するという日本的ネット文化もあり、「カフェバグダッド」と名乗って、mixiの世界に参加した。自然な流れで、2005年2月28日に「カフェバグダッドラウンジ」というコミュニティを開設した。
そこには中東に関するイベントの情報が飛び交い、参加者が中東への思いや旅の記憶をつづることもあった。まるでイラク・バグダッドのカフェに集って、コーヒーを飲みながらおしゃべりしているかのような空間とも言えたかも知れない。すでに開設していたブログと共に、mixiのコミュニティはカフェバグダッドの情報発信において欠かせない「車の両輪」となっていた。
mixiは、ブログに比べて、「情報発信」の手段というよりも「出会い」の場だった。遠くに住む人、異なる世代、異なる職業の人たちと、ただ「中東が好き」という共通点だけで繋がれたのだ。mixiはまさに、心の中にある小さな「好き」を大切に育てる、温かい場所だった。
だが、時代は常に移りゆく。2008年頃、米国初のSNS「Facebook」が日本にも広まり始める。実名制と「いいね」の仕組みは新鮮で、mixiの「ゆるやかなつながり」の時代は終わりを迎えた。私自身もその頃、新聞社の人事異動で日本からイランへ移り住むことになった。当時のイランのインターネット事情は劣悪で、ページが開くのに何分もかかることも珍しくなかった。自然とmixiからも、そしてそこに集う人たちからも、少しずつ距離ができていった。
そんなmixiが「mixi2」として帰ってきたというニュースを聞いて、胸の奥がふっと温かくなった。あの頃の「ゆっくりと繋がる」というSNSのスタイルが、再び蘇るのだろうか。さまざまなSNSが登場し、コミュニケーションのスピードも速まったが、「心」を置き去りにしてきた面もあるのではないか。mixi2には、あの時代の「人の温かみ」をもう一度取り戻せるようなSNSになってほしいとも思う。
カフェバグダッドとしても、かつてのように、誰かの中東への憧れや旅の記憶が交差する場所を作れるのではないだろうか。時代に逆らうわけではないが、ゆっくりと、人と人とが出会って語り合う場所。あの頃の空気感をもう一度、取り戻せないか。mixi2が新たに始まると聞いて、そんなことを思った。
※追記
早速、mixi2にコミュニティを作ってみました。旧mixiの時と同じ「カフェバグダッドラウンジ」です。
実は、「旧」のほうにも、ラウンジは存在しているのですが、もう十年以上、書き込みがなかったので…