トルコ南東部を行く②〜オロンテス川のほとりで
イスタンブールに2泊滞在してから、トルコ航空機で約2時間の国内移動。トルコ南東部のハタイ県に到着する。日差しが強くなった気がする。タラップを使って滑走路に降りる。簡素な空港ビルを通り抜け、宿泊地の県庁所在地アンタキヤに向かうため、シャトルバスに乗り込む。宿は街の中心部にあり、バスの終着点から、徒歩で10分かからないことは確認ずみだった。
ほぼ満員の車内で、隣りに座った男性に、「中心部に、水タバコの吸えるいいカフェはないか?」と聞いてみる。水タバコは、ちなみにトルコでは通常「ナルギーレ」と呼ばれている。男性は、一軒、名前をあげて教えてくれた。念のため、スマホでグーグルマップを開いて、一緒に確認する。こういう確認ができるようになったのは、近年の旅の大きな変化だろう。このあたりについては、またあとで書いてみたい。
シャトルバスの終着点は、どうも旧バスターミナルだった場所らしい。新しいターミナルは少し郊外にできたようだが、こちらもかなりのバスが発着していた。
川べりにぶらぶらホテルに向かって歩きだす。日本の感覚でいっても、そう大きいとは言えない川。「オロンテス川」といい、シリア北部に源を発し、地中海にそそぐ。水の流れはあまりなく、ややよどんでいる感じの川だ。
この川は、紀元前1296年、古代エジプトとヒッタイト帝国が戦った「カデシュの戦い」の舞台となったことでも知られる。正確に言うと、戦場は、アンタキヤから上流の現在のシリア領の河畔だったようだ。
この戦いの後、両者の間で結ばれた和平条約は、粘土版に刻まれ、近代に入って、ヒッタイト帝国の都ハットゥシャの遺跡から発見された。「世界最古の成文化された国際条約」と言われている。
そのオロンテス川の水辺から、商店が連なる旧市街に入っていく。立派なモスクが立っている。「ハビビ・ネッジャール・モスク」。アナトリア半島で最古のモスクだそうだ。
紀元前のセレウコス朝時代に建設され、ローマ帝国の重要植民都市アンティオキアだった町。中心部の風景からはそうした歴史の重さが感じられた。